Metin Ercanコラム:トルコ企業は大規模になれ(Radikal紙)
2005年08月24日付 Radikal 紙

少しノスタルジックな話から始めよう。70年代に子供だった私は夏に家族で映画を見に行った。その映画の間に挟まれた企業紹介のための公告映画を今でも鮮明に思い出す。なかなかに長かったその公告映画では自動車のバッテリーを作っているあるトルコ企業が「中東とバルカン半島で最も大きい」と紹介されていた。私はそれを観て誇りに思った。80年代に経済が自由化されるとトルコで貿易をしている企業の規模は急速に拡大し、中東・バルカン地域の「最も大きい企業」の中に入っていった。

同様の規模拡大は教育にも見られた。教育の大部分をトルコで終えて、その後は海外に修士号や博士号を取りに行くという学生の数が爆発的に増えたのだ。このようなトルコの「変貌」に私の世代も80年代に参加した。今でも多くの人が学術界や実業界で「世界的に」重要な足跡を残しているところだ。


昔は統制経済体制の中で「小さくてもいいから自分のものであってほしい」という認識があり、それが企業の成長の最大の障害となっていた。国営企業も予算の苦しさから十分な成長を見せられなかった。現在ではトルコ経済の成長と平行していくつかのトルコ企業が「世界規模」にまでなった。ベステル(Vestel;総合電気メーカー)やベコ(Beko;総合電気メーカー)、トゥルクセル(Turkcell;携帯電話会社)をはじめとする多くの民間企業や、テュプラシュ(Tüpraş;製油会社)やエルデミル(Erdemir;鉄鋼会社)といった国営企業が販売量と質の高い製品・サービスで世界的な企業となっている。いまだに民営化の途中にあるトゥルクテレコム(Turktelekom)もそのうち通信産業で「世界の巨人」になるチャンスがあるだろう。


政治的・経済的観点から明らかな安定を確保したトルコ経済において吸収合併により企業は大きくなっていくだろう。資本の余っている外資系企業も広範で確実な投資計画に入るはずだ。今トピックとなっている吸収合併の後ろには一部グローバル化によっても引き起こされた経済的理由がある。


何よりも、製品やサービスの生産において「規模の経済」の効果を得られていない企業は国際的な競争では遅れを取ることになろう。なぜなら一般的に企業の規模と生産性の間には直接の関係があるからだ。競争するためには生産性の向上を確かにする必要がある。しかし十分な「大きさ」に達していないという理由で、基本的な経営と技術基盤のために必要な資本を確保できない企業は生産性を向上させることができない。国家統計局が2000年に行った製造業でのアンケートによれば、全企業の94.7%を占める従業員10人未満の企業では一人当たりの生産性は、平均の22.2%である。一方、従業員が250人より多い企業では一人当たりの生産性は平均の76.8%以上を実現している。つまり、トルコでは企業の大きさと生産性の間には比例関係があるといえる。


「健全な」成長のもたらすもうひとつの経済効果は資金と人的資本の獲得、商業関係の発展、法システムを利用するという段階で見られるだろう。一定の規模に達している企業は融資制度や企業に関する法律をよりスムーズに使うことができる。また生産、マーケティング、財務管理のために必要な最新の経営技術を使いこなす有能な人材を簡単に引き寄せることができる。要は、小さいのもいいかもしれないが健全な成長はより一層いいということだ。




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( 翻訳者:加賀谷 ゆみ )
( 記事ID:741 )