宗教的祝日を削減することへの反対(その一) シャルグ紙
2005年08月21日付 Sharq 紙

2005年8月21日付シャルグ紙1面
【社会部=サイード・アルカーンザーデ・ヤズディー】国の公式な祝日の数を削減することを狙った国会の提案をめぐってわき起こった問題に決着を付けるべく、ついにゴムのマルジャエ・タグリード〔信徒が従うべきシーア派宗教指導者〕の一人が論戦に加わった。

 昨日、アーヤトッラー・マカーレム=シーラーズィーは、イマーム・アリー〔シーア派初代イマーム〕生誕記念日、イマーム・サーデク〔第六代イマーム〕殉教記念日、イマーム・レザー〔第八代イマーム〕殉教記念日の3日を国の祝日から外そうとの提案を行った国会議員に対して、批判の声を上げた。アーヤトッラー・マカーレム=シーラーズィーは、シーア派初代イマーム生誕記念祭の式典での演説で、ここ最近の国会議員の動きを批判し、次のように述べた。

 「一部国会議員が、国会にてこれらの〔宗教的〕祭日を〔国の祝日から〕外そうなどと話しているとは、どうかしているのではないか。悲しいかな、彼らはどこで生活していると思っているのだろうか。イスラーム評議会という国会は実に立派で誇るべき議会である。ところがそこで議員を務めている4名の無知なる国会議員のために、国会〔の権威〕に疑問が生じてしまっている。このようなことは決して実施されることはないし、誰もそれを許すようなことはないだろう。しかしそれにしても、アリー、イマーム・サーデク、そしてイマーム・レザーという偉大なる3名の名を外そうなどと囁かれているとは、何たることか」。

 同師はさらに、次のように明言した。「この偉大なる3名の名を冠した祝日を外すことで、国が発展するなどということがあるだろうか。夏休みやその他の休日も多い。一年のうち2ヵ月もの期間、木曜日として休日になっている。ところが彼らはこれら3日を祝日から外すことで、〔休日が多すぎることが、イランの経済発展の阻害要因となっているとの〕問題を解決しようとしている。何と愚かなことか。この問題が提起されたのは、〈敬虔なる者の主〉〔イマーム・アリーのこと〕の生誕日のことであったが、それは目立たぬかたちでひっそりと新聞紙上に流された。神がわれらに正しき生を見つけるための理性、知性、智慧を与え給わんことを」。

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 公的な祝日を削減しようとの議論は、2週間前、国会の社会委員会のスポークスパーソンがファールス通信とのインタビューの中で、断食明けの祭日を休日として一日追加する予定であると述べたことに端を発する。しかし、同スポークスパーソンがこのインタビューで述べた内容でより重要だったのは、国の公的な休日を6日間削減する案が〔委員会において〕承認された、という点にあった。モハンマド・アリー・モガニヤーン氏は国会の社会委員会の内部での承認に関して、次のように語っている。「スンナ派の人々が住む地域にとって、月は通常シャッワール月〔断食月であるラマダーン月の翌月で、ヒジュラ太陰暦第10月にあたる〕1日の午後に現れ、人々は祭日の際の親戚・友人宅への相互訪問ができないなどの問題が生じていることから、シャッワール月2日を祝日とする予定である。その一方で、公的な祝日が多いことから、祝日の数を6つ削減する案が〔委員会に〕提案され、了承された。しかしどの祭日を公的な祝日から外すかについては、まだ決定されてはいない」。

 その数日後、国会の社会委員会の委員を務めるアブドッ・レザー・サルヴァティー氏は問題を明確にするために、イラン学生通信(ISNA)に対し、祝日の数を削減する案は実は政府が提出した法案であり、それによるとファルヴァルディーン月12日(4月1日)、預言者ムハンマド生誕日、イマーム・アリー生誕日、その他歴代イマームの命日3日が公的な祝日から外されることになっていたと語った。

 それ以降、次第に祝日の削減に反対する声が聞かれはじめた。サルヴァティー氏が指摘した祝日のほとんどが宗教的祭日であったことから、国会内外のウラマーや宗教的人物から反対がわき起こることが予想された。〔サルヴァティー氏が祝日削減案について語った〕モルダード月23日〔8月14日〕の翌日夕方には、国会の社会委員会は祝日削減案第二回審議会にて、公的祝日が5日削減される案が検討されていることが明らかとなった。それによると、ファルヴァルディーン月12日、ホルダード月15日〔6月5日=ホメイニー師命日の翌日〕、イマーム・サーディク殉教日、イマーム・レザー殉教日(〔イマーム・レザーの墓廟のある〕ホラーサーン州を除く)、イマーム・アリー生誕日の5日が、国の祝日から外されることになった。このニュースが伝わると、さまざまな懸念の声が聞かれるようになった。

■ 宗教的祭日を祝日から外すことへの懸念の声
 歴代のイマームたちの殉教日を祝日から外す案が第7議会から提起されたことは、予想だにしないことであった。もちろん、第5議会でも、祝日を削減するという似たような案が提起されたことはあった。しかし、現在提起されている案ほど大胆なものではなかった。当時、第5議会の一部のグループは、エスファンド月29日〔3月19日〕を祝日から外すことを考えていたが、反対者の強い抵抗にあい、それ以来同案は立ち消えのままとなった。ところが、今回社会委員会で検討された案は、祝日を5日、しかも一部は宗教的な祭日を祝日から外すというものである。当然、この案はさまざまな反応、ときに激しい抵抗を招くこととなった。

 最高指導者専門家会議の議長団の一員であり、ゴム神学校講師協会のメンバーであるホッジャトルエスラーム・アフマド・ハータミー師は、メフル通信に対し、「祝日数を削減する案が国会の社会委員会で最近了承されたことに対して抗議を行うことは、〈勧善禁悪〉に適った行動である。第7議会は敬虔なる者に借りがあるはずだ。もし宗教を中心に生活している者たちが選挙に参加しなかったら、今の国会などあり得なかったはずなのだ。国会議員になってしまえば、あとは何でもできるなどと考えているのなら、大きな間違いである。政府も、人々の神聖な感情を蔑ろにするような法案を了承するようなことがあれば、コム神学校講師協会の非難は免れないだろう」と語った。

 他方、最高指導者専門家会議の他のメンバーであるアーヤトッラー・ハーシェム・ハーシェミーザーデ・ハリースィー師は、法案に対してより慎重な態度を示す。同師は、これらの祝日を外すことは人々の敏感な感情を刺激することになると指摘した上で、マス・メディアや新聞はこれらの敏感な感情を最小限に抑え、社会に問題が生じぬよう、祝日を減らすことの重要性についてきちんと説明すべきであると提唱している。同師はさらに、イスラーム法学の見地からは、祝日を削減することに問題はなく、またこれらの日を休日にすることはイスラーム法上の義務ではなく、これらの日に労働をすることもイスラーム法上禁止されているわけではないと付言した。

 イマーム・ホメイニー著作物編纂出版協会の代理で、イマーム・ホメイニー研究所イスラーム法学・法律部部長も、国会が検討している祝日削減案、特にホルダード月15日を祝日から外すことに反対している一人である。このような中で、サーヴェ、及びザランディーイェ選出の国会議員であるホセイン・エスラーミーは、次のような驚くべき発言をしている。「イマームたちの生誕日を祝日にする必要はない。というのも、これらの日は祭日であり、人々は祭事に従事しなければならないからだ。しかし殉教日は、人々が喪に服することができるよう、必ず休日にしなければならない」。

 結局、二日後ハッダード=アーデル国会議長は審議前のスピーチにおいて、「国の公式の祝日を削減しても、人々に懸念を生じさせることにはならないだろう。われわれは人々の宗教的感情に十分敬意を払いたいと思う」と強調し、さらに壇上にて「われわれはウラマーや宗教指導者の方々のご指導に耳を傾けたいと思う。私は社会委員会委員長を事務所に招き、本件に関し話し合いを行い、いくつかの点につき通達をした。同委員長もこれに従ってくれるものと思う」と述べた。

 その翌日、憲法90条委員会の委員を務めるセイエド・アリー・リヤーズは、一部祝日を削減することは提案の段階であり、公式のものではまったくないと指摘し、さらに案がマス・メディアを騒がせることになったことを批判した上で、「社会委員会で祝日数を削減する案が提起されただけであり、国会の多数決で可決されない限り、効力を有するものではない」と述べた。先週金曜日には、国会社会委員会委員長のアブドッ・レザー・メスリー氏はシャルグ紙とのインタビューで、案はまだ最終化されていないと強調し、こうして宗教的祝日を削減することをめぐる騒動は、一時的に終息へと向かったのであった。

■ 一年の37%が休日
〔つづく‥‥。〕

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:723 )