4名の閣僚候補、信任得られず シャルグ紙
2005年08月25日付 Sharq 紙

2005年8月25日付シャルグ紙1面

【政治部=イーラジ・ジャムシーディー】4日間にわたる討議によって、国会議員らはアフマディーネジャード大統領提出の閣僚候補についての審議を終えた。その結果教育相、共済相、社会福祉相、石油相の4名の閣僚候補が国会の信任を得ることができなかった。他方、17名の閣僚候補が信任を得た。大統領は今後3ヶ月間の間に、信任を得ることができなかった各省に対して、新たな閣僚候補を国会に提出することとなった。大統領はこの間、大臣が空席の4省に対して、代理大臣を指名しなければならない。

 国会議員による投票は、昨日夕暮れ時に終了した。投票の際に議場に出席していたのは284名であったが、〔実際に投票した人数は〕電光掲示板には274名とあった。国会議長が投票終了時に、10名が棄権したと発表したことからも、議場には284名がいたことが分かる。議長はさらに、「議員に配られた投票用紙の数は、議場出席者数ときっかり同じの284枚である。それゆえ、獲得票が143票未満の閣僚候補は、国会から信任されないことになる」と述べた。

 国会の公開審議が終わった直後に一部議員が語ったところによると、大統領個人が直接指名した閣僚候補は信任票を得ることができず、他方で他の組織、特に国会の一部有力議員から推薦のあった閣僚は難なく信任票を得ることができた模様である。

 〔投票前、〕大統領の周辺人物や同大統領の閣僚候補は国会の公開議場や議事堂の通路を埋めつくし、反対議員から信任票を取り付けるべく、説得工作を行っていた。閣僚候補自らも、議員との直接の話し合いに加わった。夕暮れ前になると、アフマディーネジャード大統領は最後の演説者として、閣僚候補を擁護する演説を行い、全閣僚を信任するよう直接議員らに訴えた。同大統領ははじめに、賛成/反対に関わらずすべての議員に謝意を表明し、内閣に関する国会の議論を真剣に受け止めると述べたが、同時に批判が辛辣に過ぎる場面もあったと強調した。大統領はまた、再度「イスラーム国家」の確立を力説し、国会に対して、辛辣な批判は水に流し、「イスラーム政府」の確立のために互いに努力しようと訴えた。

 〔中略〕

 アフマディーネジャード大統領は再度、協調的で目的を同じくし、創意に富み、高い学識を備えているとして、閣僚候補らを高く評価した上で、次のように述べた。「私は今までとは異なることをやった。表面的にはあまり知られてはいないが、実際には有能で相応しい新たな世代の実務者に活躍の場を提供したからである」。大統領はさらに「この内閣は、これまで国政を預かってきた伝統的な古いサークルを打ち破った内閣である」と付け加えた。アフマディーネジャード大統領はまた、再度公正を旨とすることを強調し、同時にテヘランへの一極集中を解消するとの決意を述べ、「新政権では、各州政府の権限強化も可能だ」と訴えた。

 大統領による演説が終わると、ハッダード=アーデル国会議長は、大統領及び閣僚候補らに対して、議事堂より退席するよう求めた。議長は「国会の内規により、議員以外は投票の際に議場にいることは許されておりません。従って大統領は議場から退席願います」と述べ、議員による投票が始まった。〔中略〕〔投票結果につきさまざまな憶測が流れたが〕最終的にハッダード=アーデル議長より投票結果が発表され、憶測にも終止符が打たれた。記者らは、結果についてある程度前もって知っていたことは事実であるが、にもかかわらず4名もの閣僚候補が不信任とされたことは予想外の結果であった。4名もの閣僚候補が不信任とされたのは、閣僚候補者選挙の歴史において、はじめてのことだったからである。

■ 国会の模様
 ところで、昨日の公開本会議では、エリヤース・ナーデラーン氏とエマード・アフルーグ氏の両氏がモスタファー・プールモハンマディー師の内相入閣に反対意見を表明し、政府批判勢力の主要人物へ転じた。アフルーグ氏は国会にて閣僚候補者について討議したこれまでの4日間のうち、3回にわたり、アフマディーネジャード政権の施政方針及び閣僚候補に対して、反対意見を表明、そのいずれの意見表明も賛成/反対議員間の激しい議論の応酬へと発展していた。エリヤース・ナーデラーン氏の演説も、批判的な反応を誘発していた。

 〔アフマディーネジャード大統領に対する〕批判がわき起こった端緒となったのは、プールモハンマディー師に対して反対意見を表明していた二名の議員が、同師の諜報機関での前歴について指摘し、長年にわたって情報省において重要かつセンシティブな役職を占めてきた人物を内相に選ぶことは、内務省に治安維持的で強権的な手法をもたらすことになると警告したことであった。

 過激な権力主義的全体主義体制が頭をもたげつつあると、これまで警告してきたアフルーグ氏は、昨日の公開本会議で、諜報機関での経歴のある人物を内務省という重要な省庁のポストに就かせることで、この警告が現実のものとなろうとしていると断じた。しんと静まりかえっていた議場において熱弁を振るっていたアフルーグ氏はさらに、過去に起きた知識人連続殺人事件〔*〕に触れ、いまだ容疑者も特定されていないこのような事件が起きてしまったのは、権力主義的な考え方が支配していたからだと述べた。
〔*注:1998年から99年にかけて、フォルーハル氏など体制に批判的な知識人数名が連続して殺害された事件。情報省関係者が関与していたとされている。プールモハンマディー師は1999年まで情報省で要職に就いていたが、知識人連続殺人事件のあおりで、当時のドッリー・ナジャフアーバーディー情報相が辞任すると、同情報相とともに情報省を去った〕

 エリヤース・ナーデラーン氏も同様の警告を発し、もしプールモハンマディー師が情報省のポストに推薦されていたならば適材であっただろうが、諜報関係の人物が内務省のポストに選ぶことは、国家にとって否定的な結果をもたらすと述べた。ナーデラーン氏はさらに、プールモハンマディー師に対する反対意見を取り下げるよう、自らに圧力が加えられたと語った。「一部の友人が冗談交じりに、反対しないよう私を脅迫した。このような脅迫のおかげで、私のプールモハンマディー師に対する反対意見は確信へと変わった」。

 彼ら反対者の意見表明によって、本会議場はアフルーグ、ナーデラーン両氏に対する一部議員からの抗議の声につつまれた。まずシャーフルード選出で国会の安保委員会のスポークスマンを務めるカーゼム・ジャラーリー議員が、抗議の口火を切った。プールモハンマディー師の内相入閣を支持する立場で演壇に登った同議員は、自らも諜報機関での経歴を有しながら、プールモハンマディー師の内相入閣に反対する一部反対議員の変節ぶりを揶揄し、「時のイマーム〔*〕の無名戦士たちに対して、このように侮辱が加えられるとは、考えてもみなかった」と述べた。

 同議員はさらに、適切な能力を有した者であれば、諜報機関の関係者を内務省で活用することに、何ら問題はないと主張した。同議員はまた、プールモハンマディー師を擁護することで、同師と個人的な見返りを得る約束などしていないと誓い、ハータミー内閣の内相としてプールモハンマディー師が推挙されたとしても、〔改革派が多数を占めていた〕第6議会ですら原理主義の友人たち〔アフルーグ氏ら反対者のこと〕が同師に対して浴びせているようなことを言ったりはしなかっただろうと非難した。
〔*お隠れ状態にある第12代イマームのこと。イランで支配的な12イマーム・シーア派神学では、イスラーム世界の指導者たるイマームは第12代イマームのときにお隠れになり、終末の際救世主マフディーとして再臨すると考えられている〕
〔以下略〕

*なお、閣僚候補に対する票数の詳細は以下の通り

信任された閣僚
ゴラーム=ホセイン・モフセニー=エジェイー師(情報省)  :賛成217、反対51、棄権13
ダーヴード・ダーネシュ=ジャアファリー(経済大蔵省)   :賛成216、反対47、棄権19
マヌーチェフル・モッタキー(外務省)           :賛成220、反対47、棄権16
セイエド・マスウード・ミール=カーゼミー博士(商業省)  :賛成169、反対85、棄権25
カームラーン・バーゲリー=ランキャラーニー博士(保健省) :賛成169、反対86,棄権27
モハンマド・ソレイマーニー博士(通信省)         :賛成220、反対43、棄権16
モハンマド=レザー・エスキャンダリー技師(農業ジハード省):賛成214、反対45、棄権24
ジャマール・キャリーミー=ラード(司法省)        :賛成191、反対59、棄権24
モスタファー=モハンマド・ナッジャール技師(防衛省)   :賛成205、反対55、棄権17
モハンマド・ラフマティー技師(運輸交通省)        :賛成214、反対43、棄権21
アリー=レザー・タフマーソビー博士(鉱工業省)      :賛成182、反対58、棄権30
モハンマド=メフディー・ザーヘディー博士(科学研究技術省):賛成144、反対101、棄権35
セイエド・モハンマド・ジャフロミー博士(社会労働省)   :賛成197、反対59、棄権20
モスタファー・プールモハンマディー師(内務省)      :賛成153、反対90、棄権31
モハンマド・サイーディー=キヤー技師(住宅都市建設省)  :賛成222、反対31、棄権25
セイエド・パルヴィーズ・ファッターフ技師(電力省)    :賛成194、反対56、棄権23

不信任された閣僚候補
アリー=アクバル・アシュアリー(教育省)         :賛成73、反対175、棄権31
アリー=レザー・アリー=アフマディー博士(共済省)    :賛成105、反対134、棄権34
セイエド・メフディー・ハーシェミー技師(社会福祉省)   :賛成131、反対108、棄権36
アリー・サイードルー博士(石油省)            :賛成101、反対133、棄権38

http://www.hamshahri.org/hamnews/1384/840603/news/siasi.htm#s870より

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:745 )