Uğur Gürsesコラム「農業の多角的関係」(Radikal紙)
2005年06月22日付 Radikal 紙

2004年のEU拡大では10の国が新たにEUに加盟した。EUは15国体制(EU15)から25国体制(EU25)になった。EU15では農業従事人口は約700万人だったが、10カ国が新たに加盟したことでこれに400万人が加わることとなった。

この新加盟10国において、農業が国民総所得に占める割合は5%に満たないが、農業従事人口が全ての労働人口に占める割合はおおまかに言うと10%ほどである。

トルコの農業従事人口は約750万人。国民総所得に占める農業の割合は10から12%ほど。そして農業従事人口の全労働人口に占める割合は約35%である。2001年以来の改革で不動産部門ではEU基準への適合が急速に進んだが、同じことが農業部門にも言えるだろうか?

世界貿易機関(WTO)の農業枠組み合意やEU加盟基準を見ると、他の部門に比べ農業部門での本格的な改革が必要であるということが分かる。トルコ実業家協会(TÜSİAD)に「WTOとEUにおける展開に照らした21世紀トルコの農業」と題した報告書を提出した中東工科大学のエロル・チャクマク、ハリス・アクデル両教授は今日の農業には固定的ではなく動的な視点が必要だと考えている。2人はトルコでの農業政策は今後20から30年の展開をうまく読むことができれば、そして今からステップを踏んでいけば成功することができると強調する。

問題は明白である。農業に従事する人口が多いこと、世界的に農産物への関税が変わってきていること、競合する国が増えていること、公的補助に変化があること。WTOの合意に伴い世界の農産物貿易で保護が弱まる中、EU加盟基準をクリアするために必須の改革が、農業部門に影響を与える。WTOやEUの農業政策ですら今なお変化の途中にある。WTOが進める多角的自由化とともに、公的補助金の減少は国際的な農産物価格の基準を高めると期待されている。国の農業関連予算の削減も見込まれている。自由化賛成派の国々は利益を得ることができるだろう。EUの農業政策は共通価格政策というよりも地方の開発に流れている。今後10から20年の農業の展開はトルコにとっては不利にも有利にもなりうるだろう。

この視点によって、農業の競争力を保つための改革を今のうちから計画しておく必要がある。チャクマク、アクデル両教授は「トルコの農業の構造的問題は、生産資本に関係している。まず第一に大量ではあるが質や教育水準の低い人的資本。二番目はほとんどないというくらい不足している資本金。三番目は広大だが生産性の低い土地である。」と言う。競争力を持つためにはまず生産性を上げることだ。ここで農業従事人口の規模を考えると、労働者の水準を上げることが必要になってくる。チャクマク、アクデル両教授は「農業従事者の18%は読み書きができない。農業従事者の60%を占める女性の、3人に1人は学校へ行ったことがない。」と述べ、問題を強調する。

農業はただ耕作だけでなく酪農、漁業、林業まで広がる分野である。もはや「農夫には安いディーゼル油と肥料を与えた」などという無目的な政策で今後2,30年の改革をやっていくことはできない。なぜなら世界は変化しているのだ。地方では教育への投資や援助から相続法の改正まで様々なステップが全て農業への投資という意味を持つのだ。安易な政策では農業に利益をもたらすことはない。


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( 翻訳者:加賀谷 ゆみ )
( 記事ID:296 )