クルド人は望むものを全て獲得した:イラク憲法草案(Milliyet紙)
2005年09月04日付 Milliyet 紙

アメリカの主要紙の1つであるニューヨーク・タイムズ紙は、先週国会を通過し、10月15日に国民投票にかけられることが決まったイラク憲法草案を取り上げた社説で、イラクの今後の政治・司法のあり方を規定する憲法において、クルド人は新たに何も獲得しなくても、スンナ派とシーア派に対して一切譲歩せず、望むものを全て手に入れることになるという見方を示した。
「反抗勢力だったクルド人は、イラクの政治で手にした勝利を満喫している」という、クルド人の指導者メスド・バルザーニー氏を想起させる見出しをつけた同紙は、バルザーニー氏がクルド人がこれまで獲得しようと努めてきたすべてのことを憲法草案に盛り込ませることに成功したとし、クルド人地域に与えられる自治権は独立と同等の意味を持つと報じた。
憲法草案の準備作業の一部がバグダッドにあるバルザーニー氏の自宅で行われたことに触れ、部屋の壁にクルド民主党(KDP)の創設者でありバルザーニー氏の父であるモッラ・ムスタファ氏の肖像画が掛けられていたことは皮肉だとした。
憲法審議に参加したスンナ派と一部のシーア派の代表者は、今の形の憲法草案が採択された場合、イラク分割は不可避だと考えていると報じる同紙は、シーア派の代表者であるバーイル・アブドゥラティフ氏の「クルド人の審議員はまるで独立国の代表者のように振舞った。我々に対して別の国を代表して話しているようだった。つまり我々はイラクの1つの国であり、彼らはまた別の国なのだ。この憲法によりクルド人の独立が宣言されるのは時間の問題だ」というコメントも載せた。

■中継地

ニューヨーク・タイムズ紙は、憲法草案に「明確な条件のもとで分離する権利」という条項を盛り込むことに成功したクルド人が、憲法を“完全独立までの中継地”と見ていると述べた。新憲法によってクルド人が多くの連邦法案を改正できる立場に立ち、さらに連邦税の変更も行うことができると伝える一方、クルド人地域の自治政府が1992年から現在までに認めた全ての法律がイラク全土で有効になる点にも言及した。同紙は、(新憲法のもたらす)こうした状況がクルド人自治区の独立承認と同義であるという見方を示した。
同紙はバルザーニー氏の言葉にも紙面を割いた。記事中でバルザーニー氏は、「この10年間に世界では人々に自由を与える多くの出来事があった。我々の地域に似たようなことが起こっても、私は全く驚かない」と語った。また同紙はバルザーニー氏が言葉を選ぶ際にとても慎重になっていたことや、アメリカ人や多くのクルド人の少数民族が居住するトルコやイランのような敵対国に対し、攻撃的な態度を見せないよう努めていたことも伝えた。

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( 翻訳者:坂 泉穂 )
( 記事ID:800 )