イランのチーター、衛星で追跡調査:少なくとも60頭が生息 ハムシャフリー紙
2005年09月03日付 Hamshahri 紙


2005年9月3日付ハムシャフリー紙

【イラン学生通信(ISNA)】イラン環境庁自然環境・生物多様性担当次官は、イランではじめて、衛星システムを利用したアジア・チーターの追跡システムを導入して、この動物のおおよその生息数と生息地を特定する計画があることを伝えた。

 ソレイマーンプール氏は、アジア・チーターの保護のための国家プロジェクトを実施する予定であることについて触れ、「我が国で初めて行われたトラップによるチーターの最新頭数調査で、世界で絶滅の危機に瀕しているアジア・チーターが4頭、タバスのナーイバンダーン保護地区〔イランの中央部の沙漠地帯〕で目撃された」と語った。同氏はイランのチーターの実態については信頼できる統計はいまだないと強調した上で、「衛星捕捉システムを使ってイラン・チーターの生息地域、移動の速度及び方向を特定する計画が進行中である」と述べた。

 イラン環境庁自然環境・生物多様性担当次官は、このプロジェクトは我が国で初めて行われるものとした上で、ISNAに対し「このシステムのための設備が整い次第、今冬にもこの計画を実行する予定である」と語った。

 同氏は、この計画のためにはチーターの捕獲が必要であるとした上で、ISNAに対し、「チーターを捕獲した後、チーターの首に捕捉システムを取り付ける。そうすれば、その後衛星システムを用いて、チーターの行動について調査することができるというわけだ」と説明した。同次官はさらに、「この計画を実行することで、アジア・チーターのおおよその生息数が判明するはずだ」と指摘した。

 アジア・チーター保護国家プロジェクト局長のズィヤーイー氏もまた、ISNAとのインタビューで、アジア・チーター保護国家プロジェクトは約3年前に始動したものであると前置きした上で、イラン・チーターの貴重な写真がダレ・アンジールで撮影されたことに触れ、「この写真は遠距離操作のカメラによって、ダレ・アンジール保護地区で撮られたもので、4頭の子チーターを連れた母チーターが木陰で休んでいる様子が写されている」と語り、さらに「このような写真が撮影されたのは貴重な成果である。というのも、このような大型のネコ科の動物は自然ではごくわずかしか生き残っていないからだ。指摘しておきたいのは、かつて紅海からインドまでをその生息地域としていたアジア・チーターの生息数は、今日ではアジア大陸全体で60頭程度にまで減少しており、そのほとんどがイラン中央高原に生息していることだ」と強調した。

 野生動物保護協会のメンバーで、2001年よりこの大型ネコ科動物の調査でイラン人動物学者と協力してきたピーター・ザフラー(Peter Zahler)氏は、このことに関してBBCに対し、「チーターは野生動物種として、イランではいまだに厳しい状況におかれている。それゆえ、見たところ健康そうなチーターの家族が自然の生息地において目撃されたことに、非常に勇気づけられている」語り、さらに「このようなチーターの写真は、野生動物保護活動家に、この奇跡の動物を救うためにはまだ時間はあるとの希望を与えてくれるものだ」と付け加えた。

 野生動物保護協会は、国連の開発計画の一部である行動・資金援助構想の下で、イラン人研究者と協力して、チーターの生息地であると思われる5保護地区の調査をすでに始めている。この調査グループは、可能性のあるチーター生息地域を特定したが、このような地域においても、この猛獣のエサとなるカモシカや野生のヒツジといった動物は稀少であることが判明した。それにも関わらず、チーターの新たな写真が撮られたことは、少しずつこの野生の狩人の数が回復しつつあることを示している。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:798 )