アンカラの治安の悪化、深刻(Radikal紙)
2006年11月19日付 Radikal 紙

アンカラ県警本部長ユルマズ氏は、若者2名が死んだ2つの事件を受け、「人口450万人の都市においてあえて大げさに取り上げるべき事でない」と述べた。だがアンカラでは犯罪が昨年に比べて57%増加している。

アンカラでこの1週間におきた2件の事件で、25歳の店員、アイシェ・アックズと17歳の高校生、ハジュ・ブルトが通りの真ん中で殺された。アックズは強奪犯に、ブルトは以前に口論となった友人に殺された。若者2名が通りの真ん中で殺されたことで、アンカラの治安問題が議論されることとなった。アンカラ県警本部長エルジュメント・ユルマズ氏は、人口450万人の都市であるアンカラで治安に問題はなく、「1件の強奪で1名が犠牲になった。これは人口450万人の都市において特にとりざたされるような事でない」と述べた。だが治安に関するデータはユルマズ氏の主張を立証していない。アンカラでは犯罪事件が昨年に比べて57.33%の増加を見せている。

■ 17YTL(日本円で約1500円)のために起きた殺人
アンカラの治安を巡る議論のきっかけとなった最初の事件は、イェニマハッレで起きた。布を扱うアトリエの店員だったアイシェ・アックズは、仕事で外出した際に強奪犯に襲われた。アックズは現金と携帯電話を狙う強奪犯に抵抗し、強奪犯の中のB.Aに腿のつけ根をナイフで刺された。強奪犯は17YTLと携帯電話の入ったアックズのかばんを奪って逃げる一方、重傷を負ったアックズはアンカラ・ヌムネ病院に収容された。だがアックズは4日後に病院で息をひきとった。アイシェ・アックズをナイフで刺した18才のB.Aは、事件の後4名の犯罪仲間とともに拘束された。彼らが彼女のかばんにあった香水を酒代わりに飲んでいたことが明らかになった。B.Aは逮捕されたが、18歳未満の4名の犯罪仲間は釈放された。アンカラ住民をおびえさせる2番目の事件はイェニドアンで起きた。ユルドゥルム・ベヤズィット高校3年のハジュ・ブルトは、学校の帰り道、凶器を持った犯人に襲われた。空の弾薬筒からの改造銃で頭に傷を負ったブルトは、重体でドゥシュカプ教育・研究病院に収容された。だがブルトも5日後に病院で息をひきとった。ブルトのポケットにあった5YTLと携帯電話が奪われたことが発表された。アンカラ県警本部長エルジュメント・ユルマズ氏は、ブルトが以前に口論となった友人のO.E(18歳)によって撃たれたと説明した。ユルマズ氏は、ブルトが以前に父親がいる前でO.Eを見下すような発言をしており、これが原因で事件が起きたことが判明した、と述べた。ユルマズ氏は、アンカラで治安に問題はないと主張し、次のように述べた。「ここは人口450万人の都市だ。1件の強奪で1名が犠牲となった。人口450万人の都市において、これはとりざたされるような事でない。事件が起きれば警察が犯人を逮捕する。強奪犯を逮捕して裁判所に突き出す。他の事件の犯人も判っているし、逮捕する。他の県に比べれば、治安状況は非常に良い。心配する必要はない」

■ 2006年上半期の犯罪件数は24,833件
アンカラ県警本部長エルジュメント・ユルマズ氏は「あえてとりざたされるような事はない」と言っているが、警察庁のデータはアンカラにおける治安問題の深刻化をはっきりと示している。このデータによると、アンカラでは2005年上半期に合わせて15,784件の犯罪事件が扱われており、今年の同時期ではこの数が24,833件に増えている。この統計によれば、昨年と比べたアンカラの犯罪増加率は57.33%である。アンカラで昨年上半期に起きた7,356件の強盗事件が今年の同時期には12,660件に、窃盗事件数は152件から257件に、殺人事件は65件から84件に、傷害事件は1,024件から1,335件に、殴り合いの喧嘩の数は1,866件から2,067件に急増した。

■ アンカラ市長:「流れ者」の仕業だ
アンカラ市長であるメリフ・ギョクチェキ氏は、「流れ者の窃盗犯」により犯罪が行われている、という考えをしめしている。ギョクチェキ氏は、アンカラ県関係者への報告で、アンカラの過去12年における110%という人口増加率に着目した。ギョクチェキ市長は次のように話した。「アンカラでは、2004年犯罪件数は減少を示していたが、2005年に15%、2006年に30%と増加した。犯罪を犯しているのはアンカラ市民でない。彼らにはあらゆる社会的援助をしている。それは『流れ者』と我々が呼ぶ窃盗犯だ。『彼らを甘やかしている』と私を批判するものもいる(こうした意見も正しいとは思うが)。トルコ南東部では、『アンカラに行けば、お腹をいっぱいにしてくれる』と言われているそうだ。すると彼らはアンカラに来て、身を寄せられる場所を見つけて市からの援助を待つ。我々も彼らにあらゆる援助をして社会的な不満が爆発しないよう阻止している。ある意味では、いずれにせよこれも我々の宗教的義務だからだ」






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( 翻訳者:井上さやか )
( 記事ID:3928 )