行政警察官の採用で、イマーム・ハティプ卒業生に優遇措置?(Radikal紙)
2006年01月19日付 Radikal 紙

行政警察官の採用にあたってイマーム・ハティプ校卒業の条件を設けようとする自治体の言い分:我々の地域は宗教旅行の中心であり、行政警察官は宗教心につけ込んだ犯罪を防ぐだろう。

公正発展党系のイスタンブル・エユプ市は、イマームの資格を持つ行政警察官の募集を続けている。同市は、ÖSYM(学生選抜・配属センター※)の行う公務員採用試験により採用する予定の警察官に、イマーム・ハティプ校卒業の条件を課すと強固に主張した。アフメト・ゲンチ市長は、イマーム・ハティプ校出身者を優先することについて次のように語った。「これは、イマーム・ハティプ校出身者への優遇措置ではない。我が郡は宗教旅行の中心であり、イマーム・ハティプ校卒業の条件もこれによるものだ。イマーム・ハティプ校出身の行政警察官は“観光面に従事する行政警察官”の任務を担い、宗教心につけ込んだ犯罪を防ぐだろう」。

中央、地方行政において、職員採用問題をも包括する形でイマーム・ハティプ校出身者をめぐる議論が沸き起こっている一方で、ÖSYMの行った公務員試験でイマーム・ハティプ校卒業生を優遇したのは、またもイスタンブルのエユプ市だった。
公正発展党系のエユプ市役所は、世間の注目を集める優遇措置について隠すどころか、ÖSYMが昨年7月に発行した2005年公務員採用案内にもその旨を記載していた。一昨年に公務員採用試験を受けた候補者に仕事を割り当てることを任務とするÖSYMが用意した、空きポストと募集条件、募集人員が書かれた小冊子には、エユプ市の採用する行政警察官のための別個の告知が載せられていた。第一グループ(15人)の行政警察官の採用には、コード番号2305番として知られる特別な条件が設けられた。

■2305番の条件
中等教育を終え、行政警察官になることを希望する人に、エユプ市が加えたコード番号2305番の条件はというと、ÖSYMの公務員採用案内の中で以下のように書かれている。「中等教育でイマーム・ハティプ校、イマーム・ハティプ校(外国語コース)、アナドル・イマーム・ハティプ校、イマーム・ハティプ学校、複数のプログラムを持つ学校のイマーム・ハティプ・プログラム、複数のプログラムを持つ学校のアナドル・イマーム・ハティプ・プログラムのうちの一つを修了していること」。

■当局の主張:優遇措置ではない
この変わった条件は、公務員職を求めて競争する人たちの批判を受けている。対するエユプのゲンチ市長も他の記事の中で イマームの資格を行政警察官の採用条件にすることについて次のように擁護している。「エユプ郡はトルコの宗教旅行の主要な目的地である。職員採用にあたってイマーム・ハティプ校出身者を優遇するという趣旨のものではない。これは全く、宗教旅行の比重が高く、多くの墓地や霊廟が点在しており、こうした場所を訪れる旅行者が多いといった我が郡の状況と必要性を考慮しての措置である。残念なことに、我が国では宗教と宗教心を悪用する者が宗教旅行の盛んな地域を取り囲んでいる。宗教心につけ込んだ犯罪を防ぐために、採用予定のイマーム・ハティプ校出身者を“観光警察官”に任命し、彼らの力を借りるつもりだ。こうした措置は法律にも反していない」。

■他の選択肢なし
公正発展党系のエユプ市は、公務員試験の追加任用でも引き続き行政警察官の採用条件にイマームの資格を課した。ÖSYMの準備した追加採用案内によれば、エユプ市が採用する行政警察官は再び2つのグループに分けられた。定員6人の第一のグループでも、一般の条件に加えてイマーム・ハティプ校卒業を条件とした2305番の条件を課せられた。これによりエユプ市では、公務員試験で非常に良い成績を収めたとしても、イマーム・ハティプ校以外の中等教育修了者は、行政警察官にはなれないことになる。


※ÖSYM---学生選抜・配属センター(Öğrenci Seçme ve Yerleştirme Merkezi):高等教機構(YÖK)に属し、年に一度試験が行われる。中等教育を終えた生徒が受験し、成績によって、高等教育や専門教育の場に受け入れられる。

Tweet
シェア


現地の新聞はこちらから
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:田林 玲 )
( 記事ID:1741 )