欧州委員会が第9次EUプログレス・レポートを公表 マイナス点が目立つ(Milliyet紙)
2006年11月09日付 Milliyet 紙

 欧州委員会が発表した第9次プログレス・レポートでは、否定的な点が肯定的な点を、批判が賞賛を上回った。レポートで公表されたプラスとマイナスは以下のようなものである:

■プラスの面
・ トルコは、コペンハーゲン基準に十分なレベルの対応を進めている。
・ トルコは政治改革の実現を進めている。
・ 裁判所の改革にも進展がある。
・ 職権乱用に対する取り組みにおける法整備にも改善がみられる。
・ 拷問や虐待にかんする苦情が減少している。
・ 軍事裁判所では文民に対する裁判がなされないという問題についての改革は肯定的なものである。
・ デリケートな問題についてオープンな議論を行う環境を作ることにも積極的である。
・ 集会や会合の自由に対する制限は緩和された。
・ 女性の権利に関する問題に関心が高まっている。法の整備は全体的には満足のいくものである。
・ 子どもの権利の分野でも制限的にだが進展はある。
・ トルコは、キプロス問題の解決に関し、国連の枠組内で行われている活動を支持し続けた。
・ ギリシャとの関係は肯定的な方向に発展した。
・ トルコ自由市場経済は特別な重要性を保っている。
・ 共同外交の分野でEUの路線と調和の取れた一歩が踏み出されたことと、地域の問題で演じた建設的な役割は重要である。
・ 悪化しつつある南東部の状況の根本原因として、PKKの攻撃が指摘されている。PKKがテロのリストに入っていることが強調され、同組織は非難されている。

■マイナスの面
・ 改革の過程に減速がある。特に表現の自由の分野ではより多くの改革が必要である。
・ 政治に影響力を行使しようという試みを続けている。軍部の発言は政府の任に基づいて、軍事、防衛、安全保障に関する内容だけに限定すべきである。
・ 司法の分野における改革の適用は、混乱した様相を呈している。
・ 暴力を含まない意見表明に対する(トルコ政府の)アプローチは、深刻な不安を生じさせる。第301条はヨーロッパの基準にあわせるべきである。
・ 職権乱用は広く見られる。職権乱用に対する取り組みが不十分である。国会議員の特権は、職権乱用への取り組みという観点からは問題である。
・ 宗教的マイノリティは問題のある状況に置かれたままである。ヘイベリ島修道学校はいまだに閉鎖している。
・ アレヴィーの状況に変化は無く、差別に晒されている。
・ マイノリティに対するアプローチに変化はない。
・ 母語がトルコ語ではない子どもたちは、トルコの学校制度の中では母語を学ぶことが出来ない。
・ 南東部の問題に関する包括的な社会経済計画を政府は持っていない。クルド人問題解決に向けたレジェプ・タイイプ・エルドアン首相の前進は中断している。
・ テロ対策法に示されたテロリズムの定義が広い。同法は、表現の自由、ジャーナリズムとメディアの自由に法的制限を与えている。
・ 宗務庁と地方の宗教的権威が行う説教や彼らの出す出版物は、宣教師の活動に対して敵対的なことがある。
・ デモ隊に対し治安部隊が過度な強制力を用いることがある。
・ 名誉の殺人をより組織的な形で捜査しなければならない。
・ 団結権の改善を保障しなければならない。
・ キプロスとの関係を正常化すべきである。追加議定書を完全な形で適用しなければならない。

■「吸収」が「統合」に変化
 戦略文書において、以前は「吸収能力」、今回は「統合能力」となったアプローチに関し、ある評価が下された。この概念枠組においてトルコにとって最も注意を引く要素の一つは、将来的に、政治改革と加盟申請プロセス全体との間に、より密接なつながりが形成されることが強調されている点である。
 特にトルコの加盟に関し、「深刻な不安」を抱くフランスやオーストリアのような国の干渉によって作成された文書では、ヨーロッパの世論が尊重されるべきことが強調された。また、EUのすべての政策は、国民の信頼を得なければならないと強調されている。そして、この支持を確保するために、厳格な規範に従う態度を身に付けることの必要性が指摘されている。


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( 翻訳者:佐藤淳也 )
( 記事ID:3866 )