トルコ政府、EU加盟交渉で妥協策示す―北キプロスでの1港湾に限った開放を提案(Milliyet紙)
2006年12月08日付 Milliyet 紙

政府は、EU加盟交渉を支障なく継続させるため、南キプロス(キプロス共和国)に対し港湾1ヶ所を1年間無条件で開放することを提案した。

EU加盟交渉の行方に関し、EU側からの強い圧力の下にあるトルコが予想外の政策を採った。(北キプロスの)港湾および空港の南キプロス側への開放の可否に端を発した交渉の行き詰まりの打開を望んでいた政府は、港湾1か所を暫定的に無条件でキプロス籍の船舶に開放するという提案を示した。

EU議長国フィンランドのトゥオミオヤ外相は、この提案は、加盟交渉継続のためにはまだ不十分だが前向きな一歩であると述べた。トルコ政府関係者は、港湾開放への見返りとして「いくつか期待できること」があると語るが、EU議長国フィンランドは、トルコ側の提案は「いかなる条件にも達していない」と表明している。

提案提示ののち、トルコ側の公式発表が何も行われない中、この動きがEU加盟国間の見解の相違を、より深めているという見方も出ている。トルコ政府およびEU側から明確な説明がないことが、提案の内容について様々な憶測が出る原因となった。トルコ政府関係者の情報では、トルコ側は、追加議定書に基づく義務の履行と、加盟交渉の停滞回避のため、1年間無条件で南キプロス側に開放することを認めた。

■詳細を明らかにする必要

南キプロスの航空機への空港開放に対しては、トルコ側はエルジャン空港を国際便に開放することを求めている。それ以外のトルコ側の希望は、「2007年に、国連がキプロス問題の包括的な解決に向け取り組むこと」、「EUから北キプロス・トルコ共和国に向けられた絶縁状態を取り除くこと」である。トルコ側から伝わるこれらの情報に対し、同日のフィンランド側からの説明は、トルコ側の提案に疑問符を付けるものだ。

フィンランドのエルッキ・トゥオミオヤ外相は、「トルコ側は、主要な港湾を暫定的に南キプロスの船舶に開放する考えである」と明らかにした。トルコがこのようにイニシアチヴを示すことは、追加議定書の完全実施に向けた積極的な一歩ではあるが、詳細を明らかにする必要があるとトゥオミオヤ外相は述べ、「トルコが、このように条件を付けない取組みを準備するなら、その積極的な一歩は、理事会で取り上げられるトルコのEU加盟交渉継続に関する議論に前向きな影響を及ぼすだろう。」と述べた。

欧州委員会からは、提案を「前向きな一歩」とする評価もあったが、「中身と情報の不足」も指摘された。委員会は、トルコは提案の詳細を明らかにする必要があると述べた。

提案は昨日(12月7日)、EU加盟国の常駐大使からなる常駐代表委員会(COREPER)によって初めて討議された。イギリス、スペイン、イタリア、スウェーデンは提案を支持したが、南キプロス・ギリシャ人地域(キプロス共和国)とギリシャの最初の意見表明は、提案は受け入れられないというものだった。

提案には、より高級レベルの政治的対応が必要であり、デリケートな駆け引きに属するものであることから、各国代表はそれぞれの中央政府との協議を行うことが決められた。このため、常駐代表委員会でのトルコ加盟交渉問題の討議は延期された。

このような経緯の後、「大使レベルの議題を超えていること、提案を詳細に検討することができなくなったこと」が述べられ、常駐代表委員会での議論は月曜日(12月11日)に行われる予定となったことが伝えられた。

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( 翻訳者:高田 利彦 )
( 記事ID:4088 )