ジーロフト遺跡再び  ハムシャフリー
2006年12月13日付 Hamshahri 紙

2006年12月13日付 ハムシャフリーオンライン

[アーラシュ・ヌールアーガーイー]
 ジーロフトでの新たな発掘調査のために、ユーソフ・マジードザーデ教授がイランを訪れた。

 ジーロフト(注1)は文化遺産としての数々の価値に加えて、我が国の重要な観光地のひとつにも数えられる。今年のデイ月(12月21日~1月20日)にケルマーン州の文化遺産協会及び、テヘランのイラン住宅建設協会との協力により、ジーロフト文明を知るためのセミナーが開催される。

この機会に本紙はマジードザーデ教授に取材を行った。最初の質問は著書『ジーロフト:東洋最古の文明』に対する教授の熱意についてであり、興味深い点が述べられた。

 マジードザーデ教授によれば、同書は、略奪されたジーロフトの発掘物が世界市場で取引されるのに対する予防策になったという。彼によれば、これまで118片の発掘物が本書での立証によってイギリスからイランに返還された。従って『ジーロフト:東洋最古の文明』は単にジーロフトの古代文明に関する議論を行った学問的な本というだけでなく、ジーロフトのいくつかの発掘物を紹介することで、国際法廷において略奪された発掘物の所有権を擁護することが可能となったのである。

 また一方、本書の出版は考古学の分野における近年の発見と結びついており、イラン人自身にとっての栄誉となろう。というのも、これまでこうした本の著者は、イランで発掘を行って研究成果を自分たちの名前で出版してきた[海外の]考古学者たちだったからである。本書はこれまでにペルシア語、フランス語、英語の3カ国語で出版されている。

 マジードザーデ教授はジーロフトに対して行った調査について次のように述べている。「約2年前、文化遺産協会の要請によって国際セミナーが開催された時、世界的な17人の東洋学者が参加した。この識者たちの講演や論文はまもなく1冊の本として出版される予定である。この本はイランではペルシア語、またアメリカのペンシルヴァニア大学では英語で出版される。」
 マジードザーデ教授はジーロフト文明に関する10本以上の論文を様々な言語で執筆しており、パリで行われた記者会見では、50社以上の通信社がジーロフトの新しい発見を世界中に報道した。

 同様に、外国のテレビ局によって『アラッタ』というドキュメンタリー映画が制作、放映されたが、この55分間の映画の視聴者は世界中で20億人に達したと想定される。またジーロフトに関するサイトも構築中である。

●ジーロフトについて

 ジーロフトの発掘以前、イラン東部ではイーチー丘陵、イブリース丘陵、シャフダード丘陵などでの発掘調査や、バンプール丘陵での短期間の発掘調査が行われていた。イラン東部に関する我々の知識は全てこれらの発掘に対する[海外の]考古学者の情報に限られていたが、その後、ジーロフトの発掘物の密輸に対する報道が全ての人々の耳に届いた。

 その1年後にジーロフトでの発掘調査が始まったのだが、もちろんのこと、1年が経っても、密輸者たちは依然として密輸業に携わっており、神がご存じであるように、貴重なジーロフトの発掘物がいったいどれ程海外に持ち出され、イラン国境の外に運ばれたことか。

[後略]


(注1)ジーロフトはイラン南東部ケルマーン州の小都市であり、世界最古(これまでの研究では紀元前3000年~紀元前500年とされていたが、より古いとの見方が強まっている)のジーロフト文明が存在したことで知られ、更にここ数年の発掘調査で世界最古とされる文字が発見され、世界的な反響を呼んだ。現在、少なくとも12カ所での発掘調査が続けられている。文字の解読やジーロフト文明の詳細な年代等についてはまだ調査の段階である。


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( 翻訳者:下山伴子 )
( 記事ID:4133 )