Haluk Şahinコラム:象徴としてのラクダ -占星術とラクダ事件を繋ぐもの
2006年12月17日付 Radikal 紙

イスタンブルのアタテュルク国際空港の滑走路で解体されたラクダのことは、我々だけでなく、世界中の注目を集めた。というのも、象徴的な事件として様々な次元に影響を及ぼしたのだから。

例えば、『ファイナンシャル・タイムズ』紙は「EUサミットの場でトルコについて協議されている場合でも、ラクダが」解体されたことが何らかの意味を持つこととなった、と伝えた。この事件が少なからざるヨーロッパ人の脳裏に、トルコは「自分たちとは別物で受け入れられない」ことの証として刻まれたことは、何ら疑いない。

「白と青のトルコ人たち」(=Radikal紙読者層)の多くが、この事件について恥ずかしさを感じていることも疑いようがないところ。

ラクダは、アラブ人や砂漠を思い出させてしまうのだろう。ラクダは、我々とセットで思い浮かべられると、嬉しくない動物のひとつだ。一時、アメリカン・キャメル・タバコのラクダのパッケージの脇に「トルコ産葉タバコ使用」と載っていたが、それさえ不愉快なものだった。

動物界の素晴らしい創造物のうちで、この下劣な創造物(=ラクダ)が、最先端テクノロジーを備えたジェット機に関する理由で解体されたという皮肉は、当然のことながら、見逃されるものではなかった。

こう考えてみると、ラクダ解体事件が、国家を不当な権力から救わんとした指導者、つまりアタテュルクの名を冠した場所で起こったことも、間違いなく興味深かった。

ラクダ事件は、象徴的であったがゆえに非常に大事(おおごと)になった。この事件について我々は更に議論することになろう。

但し、私は思うのだが、そうすると我々は少々誤ったことをしてしまいかねないのではなかろうか。

同じことを、より小さなレベルでやっている人は沢山いる・・・。

「白と青のトルコ人たち」の周りでも、犠牲獣のお供え、願掛け、まじないといったことが広く行われていることは容易に見ることができる。時に、ニュー・エイジ系の斬新な装いをまとった、そういう事例に我々は出くわすが、コトの本質は、そういう装いをまとっても、おんなじだ。

一方で最新鋭のジェット機に乗りながら、いま一方では犠牲獣を捧げているのだ!

アメリカのロナルド・レーガン大統領の妻ナンシー・レーガン氏が、夫のソ連首脳との「宇宙開発戦争」に関する首脳会談の日程について占星術師に相談したことを思い出してください。どの日の運気が良くて、どの日の運気が悪いのか――それを知らずして、そもそも日程を決定することはなかったらしい。

我々について見ても、高位の将軍の妻が、夫の昇進問題を占い師に頼って解決しようとしたといった類のニュースはこれまで報じられなかっただろうか?

このようなことは我々が考えるよりはるかに広く行われている。そして、最も望ましくない場面で我々の前に現れる。

そもそも、ラクダ事件にかこつけてトルコ人を今一度過小評価する機会を手にした「かの」ヨーロッパ人の脳みそのシワに目をやれば、彼らにだって「そんなのありえない!」と言いたくなるような妙なコダワリがあるのがお分かりになろう。

ラクダ事件は、再び「中世」化のきざしを示している現在の状況と少しばかり関係があるし、人間の本性や宇宙の救いようのなさとも少しばかり関係がある。

はっきりしているのは、人間は、この世が「この世」だけでできていることを認めたくないということだ。そして、時として、この状況について何ら不平を洩らさないラクダが、とんだとばっちりを受けている。

****************関連翻訳記事****************
Miliiyet紙コラムニストの見方は以下
2006-12-16  Taha Akyolコラム:空港でラクダ解体!――トルコ社会における「文化遅滞」――(Milliyet紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/newsdata/News20061217_4142.html


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( 翻訳者:長岡大輔 )
( 記事ID:4147 )