İsmet Berkan コラム:世界基準で考えること 付加価値を生み出すこと(Radikal紙)
2006年01月21日付 Radikal 紙

少し前までトルコ経済の最大の課題は国家の対内債務を処理できるかどうかだった。この問題は、先日マフフィー・エイルメズも書いたように解決されたと思われるので、いまや最大の課題は国際収支の莫大な赤字である。ご存じない方のために説明しよう、ある国の経済の国際収支が赤字だということは、その国の外貨の流出が外貨の流入より多いということだ。その差を借入や直接投資の流入によって埋めることもできるが、その場合まさに「ファイナンスされた」ことになってしまう。


トルコ経済が成長する時は必ず深刻な外貨不足が起こる。なぜならわが国の経済には、歪んだとまでは言わないが間違って作られ正されるのを待っている、ある構造があるからだ。我々は輸出による成長をする必要があるのだが、輸出をするためには輸入をする必要も出てくる。結果として我々の成長は少しばかり輸入の増加に頼っているのだ。これは1つの悪循環だ。この循環を壊す道はトルコが輸出する製品の付加価値を高めることにある。


付加価値を高めるとはどういうことか?例えばトルコは世界屈指の織物生産国の1つである。世界の1流ブランドの製品はトルコで製造されている。わが国の企業が布地を作り、縫製したブルージーンズを発注元の企業に例えば10ドルで売ったとする。このブルージーンズに発注元の企業が100ドル以上の値札を付けていることを我々は知っている。つまり我々は10ドルで売るが、発注会社はその製品を消費者へ100ドル以上で売っているのだ。この間の差こそ、我々にはない、その企業の付加価値であり利益である。


その利益の源泉はというとそのブランドへの投資、経営者のアイディアに隠されている。つまりもし我々が国際的なブランドを作り上げることができれば、また国際的に認められるアイディアや発明を手に世界中の消費者の前に出ることができれば、今よりもずっと多くの輸出利益を上げられるのだ。


もちろんそのためにはまず世界基準で考える必要がある。トルコで5本の指に入るべき会社が今まさにそれを成し遂げているところだ。世界基準で考えている。独自のデザインと優れた生産技術で世界の消費者と対峙している。この少数の企業の1つがエヂザーヂュバシュ・ホールディングに属するヴィトラ社だ。この衛生陶器製品の大手メーカーは長年世界中にヴィトラとして存在を示してきた。独自のデザインをもって欧州をはじめ世界中でマーケットを広げてきた。しかし昨年ヴィトラ社はこの勇敢な歩みを一歩また先へ踏み出したのだ。それは製品を考案するために世界的に有名なロス・ラブグローブ氏と契約したことである。ラブグローブ氏のデザインしたイスタンブルコレクションはすでに少し前からトルコと世界で販売されている。そしてこのデザインは世界で最も有名なデザインとファッションの雑誌の1つであるウォールペーパー誌によって表彰された。


「無名の雑誌の無名の賞だ」などと考えないでほしい。この雑誌の賞を取ったことで一瞬にしてヴィトラは世界のトップリーグに入ったのだ。このヴィトラの成功が続けばヴィトラ製品の価格が上がることは今から予想できる。すでに現実になり始めていると言ってもよいだろう。


もちろんここでのヴィトラは1つの例だ。ヴィトラのようにトップリーグに入ることを目指し世界的なアイディアをもっている企業、ブランドはある。しかし私が言っているように、その数が今は不十分なのだ。トルコが西洋の生産基地という存在から抜け出しトップリーグのプレーヤーとなるためにはこれらの企業、ブランドの数をもっと増やしていけるかが重要だ。


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( 翻訳者:加賀谷 ゆみ )
( 記事ID:1753 )