Türker Alkanコラム:首を傾げたくなる「人々とのつながりかた」
2006年12月05日付 Radikal 紙

「神への祈り(ibadet)」も「神に対する罪(kabahat)」も隠れたものだ(=成否が外目にわかるものではない)」と先人たちは言った。まず、「神に対する罪」がどうして隠れてなくちゃいけないのかってことは分かる、と言いましょう。じゃあ、「神への祈り」はどうして隠れてるべきなんでしょうか?きっと、みせかけであってはいけない、ってことなんですね。「祈り」というのは、神と僕(しもべ=人間)の間の個人的対話。間に誰かを関わらせるべきものではないのです。

しかし、ここ数年、ますます、「祈り」とはすなわち「人々とつながる手段」だ、と考える人々がいる。国家公務員である知人が私に話してくれた。「礼拝の時間になるとみんな礼拝所へ走るんですよ。役所の各廊下も礼拝する人で溢れます。」えぇ、簡単にはいかないものだな。君の上司が祈っている時には、君も同じことをしないと、君の頭は苦悶から解き放たれないってことか!

とあるトルコ人の学者がトルコ国鉄(Türkiye Cumhuriyeti Devlet Demiryolları[略称TCDD] 文中ではDevlet Demir Yolları[DDY]:訳者)に要望したらしい。「列車内でコンパートメント以外で礼拝するのは非常に困難です。車内に礼拝所を設けるというのはいかがでしょう?」

国鉄からは決まりきった答えが返ってきた。「列車は常に動いておりますので、礼拝の際にメッカの方角がどちらかを示すのは極めて難しいのです。このような訳で、貴方の要望には沿いかねます。」

当然、学者先生は知っている。旅行中であれば礼拝する義務はない。事情(この場合旅行だが)があってできなかった分の礼拝はあとになってから――ふさわしい形で――できるし、そうでなくても、座っているその場で祈りをささげることもできる。しかし、ここで問題となっているのが、「事情によるあとになってからの礼拝」はやりたくない――そう考える人たちの場合だということははっきりしている。

この種の要望は我々トルコだけではなく、他の国々でも段々と増えている。数日前のことだが、イギリスの航空機内で旅行中のイスラム聖職者数人が礼拝を始めた。他の搭乗客のクレームを受けて、礼拝をした人々は警察に身柄を拘束された。機内で礼拝のためにメッカの方角を向くことができたものなのか否か、私にはわからないのだが。

おそらく、メッカの方角を示す専用のコンパスを使ったのだろう。もちろん、飛行機が方向を変えるたびに、礼拝をする人々もメッカに向かって向きなおるという状況になったことだろう。これだけで、場合によっては機内が混乱しかねないのだが、今回の場合には、他の搭乗客と客室乗務員がどういった行動に出るのか、どうやら(礼拝をした当人たちは)あまり気に留めていなかったらしい。

言うまでもなく、「神への祈り」は自由にできるべきだ。これが自然権であることに何ら疑いはない。しかし、飛行機内や廊下、列車内で礼拝をすることが、「祈る」自由(そのもの)をおびやかす側面はないのか?、と読者の皆さんはおっしゃるのでは?

最近目に付く――上のような例とはまた別の――「人々とのつながりかた」がみせる振る舞いぶりは、次第に高まっているナショナリズムの片棒を担いでいる。とりわけ政治家たちは、湧き上がったナショナリズムの波の上でサーフィンをしたがる。その中でも特筆すべきは、正道党(DYP)のメフメト・アアル総裁だ。彼は、昨今、「ヨズガト(トルコ中部の都市:訳者)とキルクーク(北イラクの都市:訳者)の命運は一体のものとなることでしょう」といった拡張主義的志向を帯びた演説を行ったのであった。2日前、彼自身に向けられた「モースルやキルクーク(いずれも北イラクの都市:訳者)で我々が財産を売却する場合、課税されるのか?」という質問に対して彼が述べた返答は強烈で我々を考え込ませるものだ。――「人が自分の土地に入るのに、いちいち課税されるものでしょうか?」

今日まで、こんな無責任で挑発的な文句を口にしたトルコの政治家は一人としていなかった。アルパスラン・トゥルケシュを含めて、急進的な右派の場合ですら、こんなことが口にされた例(ためし)はなかった。私は、「少々の得票のために言うに値することですか?アアル氏」と思わずにはいられないのです。

実際のところ、読者の皆さんは、このような発言に「人々とのつながり」のうわべを取り繕う以外の大した意味がないのは見え見えですよ、なんておっしゃいますよね。ただ、私たちは政治のレベルをこんなにも低下させてはいけないのです。これは恥であり哀れむべきことなのですから。


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( 翻訳者:長岡大輔 )
( 記事ID:4065 )