Tufan Turenc コラム:鳥インフルエンザ恐怖のなかでのクルバン・バイラム(犠牲祭)(Hurriyet紙)
2006年01月09日付 Hurriyet 紙
重苦しい雰囲気の中でのクルバン・バイラム(犠牲祭)になりそうである。世界で東アジアの後に初めて鳥インフルエンザの死者が出た国となったことは、安易に受けとめることはできない…。
先月マンヤスではじめて鳥インフルエンザが確認され、非常な焦りの中この危険に終止符をうつための早期的発表がなされた。
が、その後全くなんの手立ても施されていない。
しかし、ウイルスが渡り鳥によって運ばれることは周知のことだった。
渡り鳥が他の地域へ同じウイルスを運ぶことはなぜ考慮されなかったのか。
あるいは考慮すること自体望まれなかったのか。というのも、感染がヴァンから始まった後すぐに他の県へ広がったことから、なにも手立てが施されていないことがわかる。
そんな状態のため、鳥インフルエンザに関連した薬品さえ感染の認められた都市へ送られることはなかった。
しかし、渡り鳥がトルコのどこを移動していくかは明らかである。
マンヤスの後に鳥が向かう地域に注意を呼ぶ告知がなされれば必要な対処をすることができたであろう。
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もっと恐ろしいのは、最初の犠牲者のコチイートさんについて間違った診断結果が発表されたことである。
レフィキ・サイダム衛生センターは、ムハッメト・アリ・コチイートさんが鳥インフルエンザでなく肺炎で死亡したと発表した。
この誤った診断の発表の結果、重大なタイムロスが生じた。
私たちが常に強調してきたことがある。科学から遠ざかれば遠ざかるほど、悩みからの救済も遠ざかるのである。
しかし、政府はどういうわけか強情にも科学、科学機関、科学者を好まない。
政府は、自分たちに立場が近く専門的な知識に欠けた人々にあらゆる科学機関を委ねている。
このことに対する代償は政府だけでなく皆で支払うことになる。
新聞報道が正しければ、『鳥インフルエンザではなく、肺炎』と一月一日に発表した衛生研究所の会長は一月三日にメッカ巡礼に行ってしまったそうだ。
その後鳥インフルエンザは各地で猛威を振るい始めた。この伝染病と戦うべき最も重要な機関の会長はというと新聞報道によればまだ巡礼の最中である。
このような甘い考えでこの時代をどうわたってゆけるだろうか。
科学機関をもてあそばないことや少なくとも親イスラムの人々の間でのみの人事をしないことの必要性を、事件が政府に知らしめることを願う。
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トルコは鳥インフルエンザに対して常に備えなければならない。
というのも、我々の土地は渡り鳥のルートの上にあり停泊地であるからだ。
常に油断なく待ち構えなければならない。
それでなければ、つまりアッラーの前にひれ伏しその意思に准ずるような慣習を続けるのであれば、事はより重大な惨事に相対することになるであろう。
このことは間違いなく冗談では済まされない。
鳥インフルエンザという災害は経済や観光に打撃を与える。回復しがたいほどの多大な損害を与える。
注意しているのでしょうか、エルドアン首相。このことにあまり関心を払わないような態度をとっているが。
パニックが広がらないためにこのようにしているのだろうか。この理由で重要視していないように見せているのか。
金曜の夜に同僚や何人かの新聞記者仲間の参加したフェリエ・レストランでの夕食でも、この話があまり重要視されていないことを理解した。
というのも、その夕食会に出席した同業者の記事を読んだが、鳥インフルエンザに関する記事はひとつもなかった。
我々の国がこの災難を最小限の損害で乗り越えることを祈る。
このような突然のひどい事件の渦中で過ごさなければならないが、皆様バイラムおめでとうございます。
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( 翻訳者:堀ノ内夏子 )
( 記事ID:1679 )