700人の研究者、教科書の天地創造説、削除求める(Radikal紙)
2006年02月21日付 Radikal 紙

国民教育指導要綱にある理科と生物の教科書で21年間掲載されてきた「創造説」に対して、進化論を支持する700人の研究者が抗議活動を行った。国民教育省に対し、要望書を2月10日に提出した研究者たちは、今回も創造説の指導要綱からの排除を求める嘆願書を提出した。この活動を後押しする大学評議会は、国民教育省に要望が聞き入れられないようであれば裁判を開くとしている。

昨年メルスィンの学校で授業でダーウィンの進化論を教えた教師が懲戒免職となったことを受けて、2年前設立された大学評議会協会(ÜKD)が活動を始めた。
ÜKDは1カ月前、「(1)進化論を教えたために懲戒免職となった教師に対する捜査をやめること(2)公正発展党政権と国民教育省が進化論の指導を妨害する決定やその実行をやめること(3)学問的見地から、生徒の啓蒙に資する指導要綱を制定すること」という3つの要求を含む要望書に研究者の署名を求めた。700人の研究者らが署名したこの文書は、形式上の問題から国民教育省の担当者に受理されなかったため、2月10日に情報公開法の枠組みに従って同省に送られた。文書には次のように書かれていた。

■「同様の議論はアメリカでも」
「進化論が保守政権の(攻撃の)的となっているのは、トルコに限ったことではない。アメリカの多くの州でも進化論は指導要綱から外された。アメリカと密な関係にある原理主義的キリスト教団体が反進化論を唱えていることが、トルコの反進化論的活動の基本的議論を成している。進化論に対して始まった攻撃は、中世的暗黒思想の産物である。進化論を攻撃の対象とすることで始まった論議は、科学的思想を拒絶するところにまで至っている」。

ÜKD書記長でボアズィチ大学バイオメディカル学科助手のオズギュル・ゲンチ氏は、トルコでは1985年の国民教育基本法改正で創造説が指導要綱に加わったと指摘。現在8年生の理科と11年生の生物の教科書で創造説自体、または進化論が「証明できない」理論であると紹介されていることを説明したゲンチ氏は、次のように続けた。「教育基本法の改正以降、創造説は進化論に代わる科学的根拠のある論文のように紹介されている。しかも主流派の教師は、進化論ではなく創造説を教えている。近年こうした非科学的な態度を取る教師が増えているように見える」。

ゲンチ氏は、この法の施行停止を求めて来週国民教育省に嘆願書を出すと述べ、さらに返答によっては行政裁判所に裁判を起こすつもりであることも明らかにした。

■「進化論」シンポジウム開催
(ÜKDとして)小冊子を準備したと話すゲンチ氏は、その中でアメリカの管理下にあるキリスト教団が進化論に反対する創造説を広めていることを説明すると述べた。同氏は、20人ほどの研究者とともに5月に「進化論」をテーマにしたシンポジウムを行うための活動を行っていることも付け加えた。

大学評議会は、2年前に設立された。昨年までにイスタンブル大学経済学部のイッゼティン・オンデル教授が会長を務めていた。9エイリュル大学医学部のイズゲ・ギュナル教授も運営委員会のメンバーの一人。ガージ大学ヌレッティン・アバジュオール教授とアクデニズ大学のイルケル・ベレッキ教授も協会のメンバーである。

■「創造説」と「進化論」が同じ項目に
国民教育省出版局によって2005年に出版された、ダヴト・サードゥチ、オゼル・ブルト、セリム・コルクマズ氏編集の高校3年生用生物の教科書には、「生命の起源に関する見解」という見出しの部分に「進化論」と並んで「創造説」も紹介されている。教科書の190ページには次のように書かれている。
「創造説は、世界が神が定めた法則にのっとり明確な秩序に従って機能しており、この秩序は偶然や自然には作られないとする。この説によると、世界にあるすべての物は一つの目的に従って作られたことになる。この目的を定めたのも神自身である」。

■「ダーウィンが躊躇した」進化論
進化論については、「生命の進化に関する見解」という見出しの部分にラマルク博士の説とともに掲載されている。ダーウィン理論の説明には創造説の2倍の分量が割かれている。
やはり国民教育省が出版した8年生用の理科の教科書の2005年版では、ダーウィンの理論に関して2004年版にはあった記述のいくつかが削除されている。教科書の102ページでは次のように書かれている。
「ダーウィンは新しい種が生物淘汰の結果生み出されたと仮定したが、十分な証拠が集まるまでは(発表を)躊躇していた。ダーウィンは「種の起源」というタイトルの本を出し、理論を明らかにした」。

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( 翻訳者:栗林 尚美 )
( 記事ID:1942 )