ムハンマドの肖像画、教科書掲載可否について宗務庁が見解示す(Milliyet紙)
2006年02月07日付 Milliyet 紙


教育省は、来年以降採用する教科書に預言者ムハンマドのミニアチュール(細密画)を掲載しない決定を下した。デンマークの新聞紙に掲載された預言者ムハンマドの風刺画がイスラーム世界に大きな反発の波をもたらし世界を震撼させている今、宗務高等委員会は「(預言者の絵画の掲載を)禁止する記述がコーランの一節とハディース(訳者注・ムハンマドの言行録)にないとしても、預言者を描いたミニアチュールが教科書に掲載されることはわれわれの伝統とは言えない。」との見解を示した。一方、学識者による委員会はミニアチュールの掲載について問題がないと表明した。


■教師の反論
ミニアチュールに関して興味深い記事を掲載したギョズジュ新聞の記者サイグ・オズチュルクは、昨日このテーマをコラムに載せた:
教科書に預言者ムハンマドの絵として印刷されているイランのミニアチュールの原画はジュネーブの美術館にあるし、オスマントルコ時代のミニアチュールもトプカプ宮殿にある。ミニアチュールは何年間も教科書に掲載されてきたのだ。

この記事に対し、ある教師労働組合は「ミニアチュールの預言者ムハンマドの顔が白く塗りつぶされ、これに子供たちが絵の上に眉毛、目、口ひげ、鼻などいたずら書きをしてしまう。絵がユーモアの対象となり、預言者が嘲られることとなる。」と反論し、その記事が掲載されたのを受けて教育省は有識者に見解を求めることとなった。



■宗務庁の見解
教育省教育課程委員会は、アンカラ大学神学部教師組合と宗務庁宗務高等委員会に見解を求めた。しかし、双方の見解に矛盾があった。大学側からは、概略として「視覚的資料は学習を容易にするので、イスラームの教えには反することではないとの判断を下す。よってミニアチュールの掲載は問題ない。」との報告書が出された。

これに対して宗務高等委員会の見解は、次のように示された:
-預言者を描いたミニアチュールを教科書に掲載することは、われわれの伝統にそぐわない。われわれの預言者の描写を禁ずる記述はコーランの一節、ハディースにはないが、預言者を絵で描写しないという伝統を持ち続ける必要がある。このような方法では、私たちは預言者に尊敬の念を示さない。
-預言者の絵は教養のない人々から崇拝や神聖視される対象となりうる。
-人々が心に抱く預言者の思想、イメージを、これらミニアチュールが狭めてしまう恐れがある。そのため教科書から預言者が描かれたミニアチュールを削除することが妥当だ。
教育省は、出版社に対し高等委員会の見解に従い教科書に預言者ムハンマドを描いたミニアチュールを掲載しないことを求めた。これにより、預言者ムハンマドのミニアチュールは来年以降教科書に掲載されない予定だ。



■抗議活動は昨日も
預言者ムハンマドの風刺画掲載問題はトルコでも大きな反響を呼んでいる。国内ではデンマークに対する抗議活動が起こっている。デンマーク国旗が燃やされるデモも相次いで起こった。コンヤのセルチュクル郡ではアナトリア青年協会の加盟グループがアラビア語で「ムハンマド」と書かれたプラカードを掲げていた。スローガンやイスラム教の祈りの言葉をとなえながらデモを行おうとした集団を緊急展開部隊が取り押さえた。イスタンブルのタクスィム広場でも違法組織であるIBDA-C(イスラム大東部戦士前線)のメンバーに属する集団がフランス総領事館の前で抗議活動を行った。



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( 翻訳者:栗林 尚美 )
( 記事ID:1857 )