行政裁判所:通勤中の教師にイスラーム風スカーフは不適切(Milliyet紙)
2006年02月09日付 Milliyet 紙


 行政裁判所は公の場におけるスカーフ着用を巡る議論が続く中、重要な決断を下した。「教師が通勤中にスカーフを被ることも「教育の観点から見て不適切」であり、その教師が幼稚園園長の職を追われるのも政教分離の原則から見ると適切である。」

 アンカラにあるアルトゥンダー・アタム小学校で教師をしていたA.Kは、ギョルバシュ・バイラック駐屯地にあるバイラック幼稚園園長に任命されたが、園長を務める予定の幼稚園に入る際スカーフを被った写真が載った身分証明書を見せたところ、中に入れてもらえなかった。県教育局は教師A.Kに対し「給料カット」の罰則を与え、児童教育担当の教師としてママク・キプロス村小学校に任命した。アンカラ第6裁判所は、教師A.Kが起こした訴訟のため2002年にこの決定を却下した。
 決議では、アタム小学校の教師や清掃員の話により、教師が通勤中にスカーフをかぶっており、学校に着くとスカーフを脱いでいたことが明らかにされた。

■身分証明書にスカーフをかぶった写真

 決議には教師A.Kの「身分証明書を無くしたので、教師になる前に撮ったスカーフをかぶった写真が載っている身分証明書を見せた」という主張も明記されており、服装指導規定に反した行動をしていない教師が身分証明書の写真のせいで園長の職に就けないというのは「法律に反する」とした。県の控訴に対して資料を精査した行政裁判所第2局は、その決議を却下した。決議では、憲法の基本原理を示した「序文」にある「政教分離原則の必要性は、神聖なる信仰心が政府や政治によって決して犯されないためである」という表現が主張されていた。
 行政裁判所の決議は、憲法第130条に述べられている「現代的な教育の基本に依拠する」制度のなかで政教分離の原則は無視されていないこと、国民性や独立、統一のように政教分離も同じ状況下に置かれる必要があることを強調した。「知性や観察力を方向づけるための科学的学習に参加する者は、科学的な必要性を除き、どんな影響も受けないように教育される必要がある」ことが主張されている決議で、「このように、教育はいかなる信条からも距離を置く必要がある」と結論づけられた。

■教育における政教分離の原則

 憲法の「教育の権利と任務」と題された第42条を根拠にした決議では、政府の監督の元でアタテュルクの原則に適した形で行う必要のある教育活動の基本原則は、アタテュルクの原則と改革に付随した政教分離、現代性、科学性であることが述べられた。国民教育では政教分離が原則であることも述べられている。決議には教師の仕事もこの原則に適して行う義務があることも示されており、教育現場における教師の外見は生徒に影響を与えること、このため法律に反した行動は出来ないと強調した。
 決議では、スカーフをかぶる教師が、スカーフが原因で2度の風紀処分を受けたと明らかになった場合、指導者として任務を行う幼稚園の子供達に対し論理的評価と推測を行っていた時代はもう遠いことが注目を集めた。最も良い手本となる必要がある教師は、学校の外であっても基本原則に反した振る舞いは出来ないこと、園長の職を追われたのも「公のため」ということが明らかにされた。アンカラの第6裁判所が最初の決議に反発しても、資料は行政裁判所行政訴訟局総局に送られる。




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( 翻訳者:住永 千裕 )
( 記事ID:1870 )