トルコ東部での医師不足問題で、同業者から批判の声 -(Milliyet紙)
2006年03月10日付 Milliyet 紙

 東部で働くのを拒んでいる医師たちを厳しく批判した「裁判官、教師、軍人が粛々と東部に向かうのに対し、医師は東部での任務を不当なものと考えている」というトゥルキャン・サイラン教授の記事は「義務的奉仕」論争に油を注いだ格好となった。

 トルコ医師連盟の申し立てに対し行政裁判所は「義務的奉仕措置停止」決定を下したが、この論争は次第に拡大しつつある。

 国際的に活躍しているトゥルキャン・サイラン教授は、医師が義務的奉仕を拒否するということは理解できないと述べ、「わが国の不便な地域を「流刑区」や「貧困地区」という風に疎外するが、医師たちの果たすべき役割はないのか? そこで生まれて死んでいく人々に対して医師の責任はないのか? これをどのように改善することができるか?」と問いただした。サイラン教授の見解に賛成を示すイスタンブル医師会会長のゲンチャイ・ギュルソイ教授は「ボランティアとしてもこの問題を解決できる」と述べる。また保健大臣レジェプ・アクダーも「もしボランティアの医師がいれば解決できるかもしれない」と話した。
 ラディカル紙で昨日、「国の問題に意識の高い医療関係者への公開書簡―今こそ答えを出す時」という見出しの記事(注)においてサイラン教授は、医師たちに「あなたはこのスープに何を加えますか。国民の健康を維持するためにあなたは心も、脳も、骨も使い何を提供することができますか」と問うた。

■プレハブ建ての医療施設
 サイラン教授は、医師は保健任務の解決策について現実的な計画とプロジェクトを社会や、入れ替わりの激しい政権に受け入れさせるべく努力するのではなく、長年野党がしてきたのと同様に、あらゆることに短絡的に反発することしかせず、しかもたいていは誤った選択だったと指摘した。
 サイラン教授は1983年頃にヴァンのチャルドゥランとムラディエで働いているとき、仕事場はプレハブ建ての簡易医療施設だったという。当時、軍から提供された2段ベッドに寝て、日中は村に散らばって仕事をしながら、若い医療関係者は愛国心と仕事の楽しさを心に育てていたのだ、と述べた。

■「粛々と向かっている」
 「貧困地域」という認識も批判しているサイラン教授は、以下のように続けた。「裁判官、検事、軍人、教師は粛々と向かうのに、医師は東部へ行くのを不当などと考えるのだろうか? 『貧困地域』を私たちは自分で作っている。行かないことで、行っても仕事をしないことで、すべてのものをネガティブにとらえることで、得た教育をすぐに金に変えたいという欲望で、任地に着くやいなや帰京の道を探りだすことで、私たちはそんな地域を作り上げているのである。」
 サイラン教授は、「義務的奉仕」が報告書によって、なれ合いのもとで県のセンターに配属されることになり、ピリオドが打たれたと解説し、以下のように述べた。
 「義務的奉仕は、医学部や専門学校の卒業生にとって、たったの一年間、その後の人生を決めることなく気楽に行うことができる仕事である。若い医療関係者には、いずれ決定を下す地位に就いた時、不人気を恐れポピュリズムに陥るのではなく、現実的で実現可能な決定を下せるようになるための機会を与えなければならない。それには祖国や国民を知り、土地に触れ、知識と経験でもって国全体の問題に解決法を見出すことができるようになる必要がある。まさに外国からの医師導入問題が取りざたされている現在において、この国の国民である栄誉を担う全ての医療関係者が、人間の医療について現実的で実現可能な解決法を見出す手助けをしたい。」

注:ラディカル紙の3月9日掲載コラム「今こそ答えを出す時」
http://www.radikal.com.tr/haber.php?haberno=180826


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( 翻訳者:近岡 由紀 )
( 記事ID:2036 )