欧州委員会、トルコにおける「ドメスティック・バイオレンス」を非難(Milliyet紙)
2006年03月07日付 Milliyet 紙

欧州委員会のウラジミール・シュピドラ雇用・社会・機会均等担当委員(元チェコ首相)は、「あなた方の国において、年に少なくとも1600件の「名誉殺人(※)」が行われたとの報告を受けました。この習慣による犠牲者の数は、イラクでの米軍兵士の年間死亡者数に等しい。また、自殺に追い込まれた人の数も調べるべきです。」と語った。シュピドラ委員のあげた「名誉殺人」の件数が、なぜこれほど誇張された数値になったのかは不明だ。警察庁のイスマイル・チャルシュカン報道官は、最近6年間に起きた「名誉殺人」事件は、1091件だったと述べた。

EUを代表し、アンカラを公式訪問したシュピドラ委員は、本紙のインタビューに答え、トルコのEU加盟交渉にあたっては、社会的な権利、労働者の権利、女性の権利についての構造的な問題を解決することが必要だとの認識を示し、以下のように述べた。

女性への暴力の問題について:
「あなた方の国におけるドメスティック・バイオレンスの問題は深刻です。ほかの国でも暴力は問題となっていますが、違いがあります。トルコのいくつかの地方では、女性に対する暴力が、今もそのまま普通のこと、当然のことと見なされています。この見方には社会的に暗黙の了解があります。法制面では、トルコ刑法の改正により、前向きな変化が保証されました。しかし、トルコでは伝統の力が重要な役割を果たしています。女性に暴力を振るうことを認める認識は、改められなければなりません。同じような暴力の一種である、結婚の強制の問題とも闘わなければなりません。」

「名誉殺人」について:
「少なくとも、年に1600件の「名誉殺人」が行われたとの報告を受けました。この習慣による犠牲者の数は、イラクでの米軍兵士の年間死亡者数と同じです。また、自殺に追い込まれた人の数もすぐ調べるべきです。自殺事件の数と、公式な記録には残っていない事件の数も加えると、「名誉殺人」の数は2倍の3200件に達するでしょう。」

女性の雇用問題について: 
「緊急の課題は、トルコの労働市場への女性の参加を確保することです。EUにおける女性の雇用率は56%ですが、貴国においては24%です。これはEUの水準からすると、極めて低い。女性が働けば、経済的な自由、自立が得られます。」

■高いインフォーマル・セクターの割合い

トルコのインフォーマル・セクター[公式統計では捉えられない雑業を中心とする経済分野]の存在は、EUの政策基準からすると問題だ。GNPの50%がこれらのインフォーマル・セクターによるものと見られることは、すなわち経済活動が「奴隷状態」に近い条件に基づいて機能しているということを意味する。こうした状況では、女性であれ男性であれ誰も最低賃金について口に出すことさえできず、いかなる社会的権利も主張することはできない。


(※)名誉殺人: 家族や共同体の「名誉を守る」ため、家族や共同体の恥とされた女性に対して行われる殺人。

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( 翻訳者:高田 利彦 )
( 記事ID:2019 )