イギリスの新任大使が赴任 シャルグ紙
2006年04月08日付 Sharq 紙

2006年4月8日付シャルグ紙2面

【政治部:ニールーファル・マンスーリヤーン】三日前より、イギリス大使館はリチャード・ダルトンに代わり、ジェフリー・アダムズを新たな大使として迎えた。リチャード・ダルトン前大使は、3年数ヶ月に及ぶ在任期間を終え、バービー・サーンダズ通りとフェルドウスィー通りの交差点に位置するイギリス大使館の大使室の鍵を、48歳になる後任大使に託した。後任のアダムズ大使は、イランの選択した新たな外交状況の中で、イギリス大使館の舵取りを担うこととなる。

 ジャック・ストロー英外相の私設事務所の所長を務めていたアダムズ大使は、ファルヴァルディーン月12日〔4月1日〕、妻と3人の子供とともに、イラン入りした。同大使はイスラーム史と中東政治をオックスフォード大学で学び、サウジアラビアやフランス、南アフリカ、エジプトなどの国々で活動した経歴を持つ。同大使は1979年に南アフリカ担当部局で、イギリス外務省でのキャリアを開始した。その後、パレスチナ自治政府のイギリス代表として活動した経歴を持っているが、大使として仕事をするのは、これが初めてのようだ。もちろん、彼のイスラーム諸国での経験が、リチャード・ダルトン前大使の後任として彼が選ばれた大きな要因となっていることは間違いないだろう。

 いずれにせよ、ジェフリー・アダムズ新大使が駐イラン・イギリス大使館の舵取りを担うことになったのは、イラン核問題の国連安保理への報告、そして声明の採択という経緯を経て、イラン・イギリス関係が新たな段階に突入した時期に他ならない。イギリス政府は、仏独両政府とともに、2年前よりイラン政府との核交渉の当事国として、複雑に絡まり合った話し合いを行ってきた。そして現在、国連常任安保理事国の一つとして、イランに30日間の猶予を与えた当事国でもあり、今後イラン・イギリス関係は新たな局面を迎えつつある。

 ところで、核問題が過去27年間の浮き沈みの激しい両国間関係のすべてではない。イスラームの預言者に対する侮辱的な風刺画が一部のヨーロッパ諸国で掲載された問題がわき起こった時、イギリス大使館前の通りは、デンマーク大使館やその他の大使館と同様、抗議集会の舞台と化した。それ以前にも、イランの核問題を巡る論争が契機となって、イギリス大使館前でイラン核活動を擁護する抗議集会が開かれたこともある。

 もちろん、イギリス大使館関係者にとって、大使館前で時折起こるこのような抗議集会は、すでに何年も前から慣れっこになっている。しかし、駐イラン新大使がイランに着任したこの時期がこれまでと違うのは、イラン政府が駐イギリス・イラン大使のモハンマド・ホセイン・アーデリーを解任してから2ヶ月が経った現在も、後任大使を決めていないということである。以前にも増して駐イギリス大使の存在が必要とされているこの時期に、大使ポストが空席のままとなっているのだ。新しい駐イギリス・イラン大使の人選はすでに終わっているとも言われているが、イランより新たな大使が紹介されたとの情報は、イギリス政府からは確認されていない。

 現在、イランにとってイギリスとの関係は「公使レベル」であるのに対し、イギリスにとってイランとの関係は「大使レベル」となっている。イラン核問題解決のためには、その重要性に鑑み、有能な外交官がイランの大使・代表としてイギリスにいることが必要があるにもかかわらず、アーデリー大使が解任されたという事実そのものが、〔イラン・イギリス二国間関係の〕問題を象徴している。

 ともあれ、ジェフリー・デヴィン・アダムズ新大使がイランに赴任した。しかし彼のイラン赴任は、リチャード・ボルトン前大使がイランに赴任した時とは、状況が異なる。ダルトン前大使がイギリス政府を代表してイランに赴任したのは、セイエド・モハンマド・ハータミー前大統領が外交における緊張緩和を政策原理として掲げ、他国特に欧州との関係増進に尽力していた時期に当たる。実際、対欧州関係の領域における、過去8年間のハータミー前大統領の実績を見れば、同前大統領が緊張緩和を旨としていたことが分かる。

 また、ダルトン前大使がイラン政府によって駐イラン英大使として受け入れられたのは、イラン政府がダルトン氏の前に駐イラン大使として紹介のあったデイヴィッド・レダウェイ(Reddaway)氏を拒否し、その理由を彼がスパイでありシオニストであるとした、という紆余曲折があった後のことであった。こうして、一年間大使不在のまま、駐イラン・イギリス大使館がイギリスの利益代表部として活動していた時に、リチャード・ダルトン氏がイラン政府によってイギリス大使として受け入れられた訳だが、このようなイギリス大使受け入れの決断は、イラン当局がハータミー政権の緊張緩和外交の一環として、欧州の一国であるイギリスとの関係拡大に関心を示したものと理解されたのであった。

 しかし、大使を初めて務めるジェフリー・アダムズ氏がイラン大使として着任した今回は、事情がまったく異なる。イラン核問題に関する評価・検討、それとの関連でここ数ヶ月間に発出されたさまざまな声明(その発出にはイギリス政府が深く関与している)、アフヴァーズでの最近の複数の爆弾爆破事件(イラン治安当局によれば、これらの事件すべてにイギリスが関わっていたとの証拠があるという)などなど、イラン・イギリス間のこれらの衝突を見れば、大使初体験の48歳のジェフリー・デヴィン・アダムズ氏がイランでの職務を始める際の状況は、リチャード・ダルトン氏の時とはまったく違うということが分かるであろう。

 アダムズ新大使は、先週水曜日、信任状の写しをマヌーチェフル・モッタキー外相に手交し、イランでの職務を公式に開始した。モッタキー外相との会談で、アダムズ大使は、イランでの在任期間中、イラン社会の現実を伝えるべく最大限努力する旨希望を述べている。

〔後略〕

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:2191 )