緊急越境追跡を懸念するイラクにトルコが回答 -PKKがいる限り続ける(Milliyet紙)
2006年04月27日付 Milliyet 紙

外務省は、北イラクで「PKK(クルド労働者党)追跡作戦」を行ったとしてトルコに非難通告を出したイラクに対し、「PKKの存在がある限り、トルコ軍は北イラクでの作戦を続ける」と伝えた。

イラクは、トルコ国軍(TSK)が北イラクで緊急追跡作戦を行ったとしてトルコに非難通告を出した。外務省は、PKKのイラクにおける活動が国境対策を必要とするからである、という回答を出した。
トルコが緊急追跡作戦を行ったという情報とイラクの非難通告が、イラク側への「越境作戦」に関し厳しい見解を示したアメリカのライス国務長官のアンカラ訪問と同時に起こったことが注目を集めた。得られた情報によれば、バグダッド政府はトルコに対し、PKK掃討のため北イラクのあちこちに越境してまで緊急追跡するような警戒態勢はやめるように要請したという。

■ イラクは、「やめるように」言った
イラクは、この件に関しての初めての通告をトルコのイラク大使館で行った。トルコ軍が時折、国境を越えて小規模の掃討作戦を行っていたことを明らかにしたイラク政府は、この種の活動がイラクの主権を侵すものであることを述べ、やめるように要請した。
この通告の後、昨日在アンカライラク大使サバフ・オムランは、トルコにおけるイラク特別代表のオウズ・チェリックコル大使に同様の見解及び要請を伝えた。その際トルコ側からイラク大使に、PKKが存在する限りトルコ軍は北イラクでの作戦を続けるとの意向が伝えられた。

■ 「空襲作戦」の疑いも
さらに、非公式の情報によると、トルコ国軍が北イラクを含め空襲を行ったこと、多くのPKK党員を死に追いやったこと、夜中の爆撃すら行ったことが分かっている。

■ 外務省のスポークスマン、タン:やむを得ないこと
外務省のスポークスマン、ナムク・タンは、本件に関して次のように述べた。「イラク大使に対して、北イラクでの警戒態勢は安全保障上の必要性からであったこと、こういった警戒態勢は、毎春の数ヶ月間、とられてきたものであること、そして、トルコはイラクとアメリカとの会談上議題に上ったPKKの存在に対し対策を講じる必要があることを伝えた。大使には、イラクにおけるPKKの存在及び活動は終了させるべきだという我々の見解を、改めて伝えた。」

■ イランは圧力を強めている
イラン軍がここ5日間でテロ組織PKKに対する2度目の攻撃を開始したことがわかった。北イラクのイランとの国境に近い地域であるハジウムラン、ヘルグルト、そしてベルデソル地方を迫撃砲、カチューシャロケット砲などでミサイル攻撃を行ったイラン軍の攻撃によって、いかほどのPKK党員が死んだか確認されていない。イラン軍は、PKKのイラン国境における主要拠点を標的に10キロに渡る範囲を壊滅させようとしたことも明らかとなった。

■ 採石場を襲撃
ハタイ県、イスケンデル郡でPKKグループの一派が、一昨日夜半にアマノス山のふもとのヤズジュラル・デミルチェリキ社の採石場に侵入し、警備員2人を含む5人の社員を2時間にわたり人質にした。2台のトラックとダンプカーに重油を浴びせて火をつけたテロリスト達は、組織のプロパガンダを行った後、逃走した。
保安隊チームは、日没に乗じて姿を消したテロリストの追跡を行った。

■ ガバルでの軍事演習
越境作戦に関する話が公になってからは、国境地域ではいくつかの部隊も、北イラクに出て軍事演習を始めた。シュルナク(※1)付近のガバル山に駐屯する部隊は軍事演習を行う際に、ジズレ(※2)駐屯の大隊付属の戦車を北イラクに出して、訓練を行った。北イラク国境の危険地帯に集結する兵士たちも、昨日、国境地方をくまなく調べ、天候が悪化して高地では雪がふりはじめたにもかかわらず、追跡活動を続けた。

※1シュルナク・・・シリア、イラク国境付近に位置する町。
※2ジズレ・・・・イラク国境付近に位置する町。


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( 翻訳者:田林 玲 )
( 記事ID:2305 )