インドネシア訪問中の大統領「我々はアメリカとの対話に条件を設けていない」 ハムシャフリー紙
2006年05月13日付 Hamshahri 紙

2006年5月13日付ハムシャフリー紙政治面

【政治部】マフムード・アフマディーネジャード大統領も出席している第五回発展途上国8カ国首脳会議(D8会議)〔*〕が、インドネシアの観光地バリ島において現地時間の今朝から開催されている。
〔*訳注:DはDevelopingの略で、8カ国(エジプト、バングラデシュ、インドネシア、イラン、ナイジェリア、マレーシア、パキスタン、トルコ)による経済・通商問題をテーマとした会議。1997年にトルコのイニシアティヴで発足した。〕

 アフマディーネジャード大統領は火曜日にインドネシアへ向けて出発し、木曜日にはデポック大学とインドネシア・ヘダヤトッラー大学で講演を行い、その後ジャカルタで記者団との会見に応じた。

●木曜日のアフマディーネジャード大統領会見
 大統領はデポック大学での講演のなかで、現代において他国の領土に国家を構築するとはなんとも不可解なことであると述べ、「たとえ、イスラエルは早急に地上から消滅するであろうという我々の見解に同意せずとも、西側諸国はイスラエル支援から 手を引き、結果がどうなるか見守るべきだ。」

 アフマディーネジャード大統領は、西側諸国が第二次世界大戦で600万人のユダヤ人が殺害されたと述べていることに言及し、「かれらは虐殺という事件の償いとしてイスラエルを建設し、保護している。仮にそのこと(ユダヤ人虐殺)が事実であったとしても、なぜイスラエルが東(非西欧)に、パレスチナの地に造られねばならないのだろうか。もしも誰かが犯罪を犯したのならば、その当人が責任を負うべきではないだろうか。」と述べた。

 大統領は講演の後、インドネシア大学政治社会学部の講堂で数名の教授および学生たちとの質疑応答に臨んだ。
 アフマディーネジャード大統領は国際関係を学ぶ学生が、西側との関係における新たな状況に関して質問したのに対し、「我々はあらゆる国々にとっての平和を望んでいる。もし我々が西側との対話を望むなら、我々は西側に対し彼らの行動をやめるよう助言しなければならないと考えている。あなた方もご承知のように、インドネシアのような(親密な)国々との一時間の関係は、西側諸国との千年の関係にも置き換えられるものではない。」と答えた。

 大統領の談話の後、ジャカルタ大学学長ウスマン・ハティーブ氏は、アフマディーネジャード大統領の講演は同大学の歴史にとっても転換点になるだろうと述べた。また、ハティーブ学長はさらに、両国の大学間において学術的・文化的な意見交換を行う必要性を説き、先頃、同大学では新たにペルシア語コースも開講されたことを伝えた。

●記者会見での応答
 アフマディーネジャード大統領は、ジャカルタ時間木曜午後5時、現地マスコミとの記者会見の席上、彼らからの多くの質問に答えた。
 大統領は会見の冒頭、我々は世界の問題の根本的な解決を求めていると説明し次のように述べた。「ブッシュ大統領に送った書簡は、実際、預言者のお導きを受け、それを基礎として今日あらゆる人々がタウヒード(神の唯一性)に基づくに平和と平安を望むような、預言者たちの文化への招きなのである。」

 大統領は書簡に関連して、ブッシュ大統領から返答がないことに対する記者の質問に答えて次のように発言した。「あの書簡は核問題よりも高い次元のことを述べている。」「我々はそもそも核問題をさほど重要なものとは位置づけていない。我々は法に則して行動しているからである。」

 大統領は、書簡送付後のアメリカとの対話の可能性に関する質問にも答え、「我々は常に対話を受け容れる姿勢を示している。しかし、様々な立場の人間が様々な条件をつけようとするのもまた当然だ。我々は会談を行なうにあたって何の条件も設けていないのだが、非道徳的で侮辱的な態度で対話に臨もうとする者は、そのような態度を改めなければならない。」と述べた。さらに「もしもこめかみに銃を突きつけられて話し合おうと言われたならば、あなただって話し合いには応じないだろう。」と続けた。

 アフマディーネジャード大統領はアメリカによるイラン攻撃の可能性は無いとの認識を示し「彼らが非理性的な行動を取ることはないだろうと考えているが、我々は常にいかなる状況にも対応できるよう備えている。」と述べた。

 また、他の記者からの、アメリカとの二国間の対話においてインドネシアが調停役を担うことはできるかとの質問には次のように答えた。「我々は誰かと争うつもりはない。我々は自らのなすべきことを遂行しているのであり、我々自身で国の運命と将来のために決定を下すことを望んでいる。他国への干渉を習慣としている者たちは、その癖を改めるべきであろう。」

 大統領は続けて「我々はインドネシア大統領とさまざまな問題に関して話し合ったが、イランへの最良の助けは、干渉する国々に対し、干渉するなとのメッセージを伝えてくれることだ。。もしもアメリカとの対話を他の国々も参加して行うのであれば、インドネシアには是非ともその場に加わってもらいたいところだ。」と語った。

●アフマディーネジャード大統領金曜日の会見
 アフマディーネジャード大統領は昨日(金曜日)も幾つかのイスラーム団体を訪問し、インドネシアの商人たちとともに金曜礼拝の式典に参加した後、イスラーム法学者や説教師らとの会見を行なった。

 大統領はインドネシア・モハンマド・イスラーム機構のメンバーと会見し「インドネシア国家とその国民はイスラームにとってひとつの希望の源であり、幸運なことに様々な問題に対して二カ国は共に協調しあう関係にある。」と述べた。彼は今日のイスラーム世界は無数の問題に直面していると述べ、次のように語った。「圧制や国家間の経済的格差、武力紛争や、様々な無秩序、そして、メディアの影響による急速なアイデンティティ喪失が、拡大する傾向にある。」


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( 翻訳者:牧良太 )
( 記事ID:2418 )