兵役中の事故で息子を失った遺族に軍が賠償金を要求(Milliyet紙)
2006年05月17日付 Milliyet 紙

 エルデム・カヤックルはビンギョルでの軍事作戦から帰る途中、軍用車のブレーキが故障したため、民間人の運転する車に衝突し殉職した。そのカヤックルの骨が嘆いている。国防省は遺族に対し二つの訴訟を起こし、保険会社へ補償として支払った約1万6千新トルコリラ(約130万円)を利子とともにカヤックルの遺族に要求した。裁判で遺族は、事故が車の不具合によるものだと主張した。カルタル司法裁判所は遺族ではなく、国防省に責任があると言い渡し訴えを棄却したが、国防省は上訴した。

■国の所有物を傷つけた!
2000年に兵役に就いた下士官エルデム・カヤックルは、アールで運転手に任命された。カヤックルは兵役の間の2000年10月にビンギョルで行われた軍事作戦へも参加した。しかし、帰路についていたカヤックルの運転する車のブレーキがエルズルムのチャト郡で故障した。車から飛び降りて命を守る代わりに車を守ろうとしたカヤックルは、反対車線から来た民間人の車と衝突した。事故でカヤックルと民間人の車に乗っていた一人が命を落とした。

 この事故にショックを受けた遺族は、2005年に父親のビラル・カヤックルを失った。その一週間後、遺族のもとに裁判所の召喚状までも届いた。国防省は、事故に巻き込まれた民間人の乗用車のために民間保険会社から支払いを求められていたが、その補填を遺族に要求したのである。2005年2月15日に行われた訴訟でカヤックルに事故の責任があるとし、また国の所有物を傷つけたとして裁判を進めていた。

 遺族側の弁護士ファフリ・シャーヒンは、カルタル司法第一調停法廷で行われた訴訟の棄却を求めた。輸送部隊の司令官ムラト・シムシェクも、証言でカヤックルの運転していた車は法を守っていたこと、車を守ろうとしたことを述べた。

■法廷:原因は車に
 司法医療委員会によって準備された報告書では、カヤックルに責任がないことが明らかになった。法廷は2005年12月22日に下された判決で、古くなった車の使用を続けた管理体制に責任があるとし、原告側の訴えを棄却した。国防省は上訴のために書類を最高裁へ送る一方、今度はカヤックルが任務に当たっていたアールで同種の他の訴訟を起こした。シャーヒン弁護士は判決文をアールの裁判所に送り、棄却を求めた。訴訟は今も続いている。


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( 翻訳者:塚田真裕 )
( 記事ID:2455 )