カルバラー警察長:「イラク国境は、犯罪者グループの遊び場と化している」 ハムシャフリー紙
2006年05月17日付 Hamshahri 紙

2006年5月17日付ハムシャフリー紙

【事件部】市街戦を自らの戦略とした武装テロリストによる激しい攻撃が、イラク新政府を深刻な脅威に晒している。そしてこの国の市街の安全を守る治安部隊は、いつ起こるとも知れぬ武装テロリストや自爆テロの危険につねに背中合わせの状態で、活動を続けている。しかしにもかかわらず、この国の街の唯一の治安維持部隊であるイラク警察組織は、治安当局が言うように、「イラクと国境を共有している隣国へ容易に行き来しているならず者や、武器・麻薬密輸団に対して、自身の治安維持能力を強化することができていない」状態にある。

 その一方で、新政府に対立しているテロリストによるイラク治安部隊や警察に対する攻撃は、イラク国内のメディアからですら、治安関係者高官を遠ざける深刻な要因となっている。第一回イスラーム諸国警察長官会議に派遣された使節団の中で、インタビューはおろか、自らの写真のメディアへの公表すら拒んだのは、イラク警察長官使節団のみであった。

 イラク国境地帯での武器・麻薬密輸団の往来や、同国からイラン・イスラーム共和国への武器の密輸が、イラン治安当局にとって問題となっている。この問題が、ハムシャフリー紙とカルバラーの警察署長を務める《ラッザーク・アブド・アリー・モハンマドターイー》准将とのインタビューのテーマとなった。同警察署長とインタビューが行われたのは、他のイラク警察当局高官がインタビューの要請を断ったためである。

 カルバラー警察署長は、イラクへのアメリカの攻撃によってサッダーム政権が崩壊した時期について言及し、「この時期、イラク治安部隊は完全に崩壊してしまい、ならず者たちが容易にイランへ行き来できるようになってしまった」と語る。

 ラッザーク准将は、どんな国にも犯罪を好み、あるいは経済的問題や失業などの理由で犯罪行為に及んでしまう集団や人々が存在しているとの見方を示した。

 彼は「もし犯罪者を取り締まるべき治安部隊が存在しなければ、彼らは衆人の目の前で白昼堂々と平気で犯罪行為を実行してしまう」と述べた。

 ラッザーク准将は、イラク治安部隊の崩壊が武器や商品の密輸目的での犯罪集団の他国からのイラクへの流入の根本的な要因となっている、とした。

 彼の信じるところでは、イラク治安部隊は再建の途上にあり、このこと自体、特にイランのような隣国との国境をコントロールすることができるほどの治安部隊を、イラクが有していないことの証左に他ならない。「イラクはこの混乱の最大の被害者である。我々の隣国は、統一の取れた軍隊や治安部隊を有し、自らの国境をコントロールすることができている。それに対して、残念ながらイラクは、このような軍隊を持っていない。警察がいるだけである。しかし、国境の維持は本来軍隊の役割である。このため、イラクの国境は犯罪者集団にとって、遊び場と化している。なぜならイラク国境は開放状態にあるからだ」以上が、カルバラー警察署長の発言であった。

 ラッザーク准将は当然、「米軍はイラク占領者」であり、「イラクに軍事基地を保有しておきながら、国境維持のためには何もしていない」との見解を示した。

 同准将は無許可の武器が出回っていること、そして武器の密輸が行われていることの危険性について、次のように語った。「イラク占領から2ヶ月目に、イラク警察が始動し始め、全部隊に対して職務に復帰するよう求めたのだが、警官らが職場に戻ってみると、全て略奪されているのを目にした。カルバラーは国内でもっとも多くの武器庫を有していたのだが、占領時に人々とはそれら全てを略奪してしまった。われわれが現在行っている唯一の職務とは、これら略奪された武器の収集なのである」。

〔後略〕

Tweet
シェア


現地の新聞はこちらから

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:藤川 淳 )
( 記事ID:2470 )