トルコ・ギリシャ機空中衝突事件:背景に「飛行情報区」解釈の差異(Radikal紙)
2006年05月24日付 Radikal 紙

 エーゲ海域での「空中戦」の背景には、両国の飛行区域線と飛行情報区に解釈の違いがある。ギリシャは海域6マイルの島の飛行区域が10マイルであると認識している。トルコは海域と飛行区域が同じ広さであるべきと考えている。トルコとほぼ全てのNATO加盟国は、ギリシャの飛行区域が6マイルであると認識していたことを示した。そのため、両国の戦闘機間の緊張は多くがグレーゾーンの4マイルの飛行区域で起こっている。

 ギリシャはこの領域における全ての飛行を領空侵犯だと考えている。飛行情報区と呼ばれる、民間機の飛行プランを監視する飛行区域をもアテナは「領空」と見なしており、トルコの戦闘機の飛行が主権を侵しているとしている。

 昨日ロードス島の35マイル、カルパトス島の12マイル南東で起こったように、ギリシャ政府はエーゲ海のほぼ全域をギリシャの飛行情報区とし、飛行プランの提出を求めている。トルコは、国際法によれば飛行情報区の権限は民間機だけに適用されるという理由から、ギリシャ政府に飛行プランを提出していない。トルコ政府は、エーゲ海域での飛行が公空で行われているうえ、訓練飛行計画は3日前にNATOへ連絡済みだったことを主張している。また、エーゲ海域でのトルコ戦闘機の飛行は非武装で行われており、飛行回数はギリシャの年間2万4千回に対してトルコは4千回であることを述べた。

■「ホットライン間もなく」
両国間においても、NATO間においても緊張緩和の方法を探ることは出来なかった。両国の外務省は「研究」と呼ばれる打開策を探る目的の会合を行い、見解の相違を一掃したいと考えている。しかし、会合が34回に及んでもまだ具体的解決策は出ていない。「空中衝突」を予防するために去年エスキシェヒルとラリッサ航空行動センター間でホットラインを設けることが決定された。外務省は昨日「ホットラインは間もなく開通する」と発表した。

■1996年まずトルコ戦闘機が、二日後にギリシャが墜落
1996年10月8日、トルコとギリシャの戦闘機が空中で小競り合いとなり、まずトルコのF16戦闘機が墜落した。ギリシャのタナグラ基地から飛び立った、「マジック」ミサイルを搭載した2機のミラージュ機は、エーゲ海上空でトルコ戦闘機と空中戦に突入した。ギリシャ人パイロットのタノス・ギリヴァス、オスマン・チチェックリ中佐とナイル・エルドアン大尉の戦闘機がロックされミサイルが放たれた。ミサイルがトルコのF16戦闘機に命中し、チチェックリ中佐は戦闘機から脱出して助かったが、エルドアン大尉はエーゲ海へ墜落した。レムノス島の南方に450ファゾム(900ヤード)まで沈んだ遺体は、技術不足と海流のために引き上げられなかった。

トルコのF16機が墜落したすぐ2日後に、エーゲ海域を飛行していたギリシャのミラージュ戦闘機が墜落した。当時の空軍総司令官アフメト・チョレックチ氏は「トルコはあの日から(F16が墜落した日から)非武装飛行を始めた。我々は墜落とは無関係だ」と語った。

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( 翻訳者:塚田真裕 )
( 記事ID:2515 )