ジャハーンベグルー氏、当局に拘束
2006年05月04日付 Sharq 紙

2006年5月4日付シャルグ紙2面

【ファールス通信】テヘラン州刑務所総局長は、著作家でイラン教育研究センター現代思想部部長のラーミーン・ジャハーンベグルー氏が、当局により拘束されたことを認めた。

 ソフラーブ・ソレイマーニー氏は「同氏は火曜日の夜に拘束され、現在エヴィーン刑務所に収監されている」と述べた。ソレイマーニー氏はジャハーンベグルー氏の拘束理由については、明言を避けた。他方、匿名希望の消息筋によると、ジャハーンベグルー氏は安全保障上の問題が原因で拘束された模様である。

 BBCの報道によると、ラーミーン・ジャハーンベグルー氏は、哲学の分野で活躍する人物として知られており、近年では哲学や政治で活躍する世界のさまざまな著名人と対話を行い、その一部がすでに出版されている。ジャハーンベグルー氏は数カ月前にも、研究のためにインドを訪問、チベット仏教徒の精神的指導者ダライ・ラマと対談している。英語で書かれた同氏の最新著作は『インドを語る』(Talking India)であり、今年の8月にオックスフォード大学出版によって出版予定である。

 ジャハーンベグルー氏は長らく海外での教育に携わっており、フランスのソルボンヌ大学より哲学博士号を取得、ハーヴァード大学やトロント大学などアメリカやカナダで研究・教育職に就いてきた。イランに帰国後、同氏は教育研究センターで務める傍ら、テヘランの《文化人の館》で一連の講演を開催、昨年はアメリカの著名な哲学者リチャード・ローティー氏を、講演のためにイランに招聘したこともある。

 ジャハーンベグルー氏のペルシア語での著作には『近代人』、『近代性、民主主義、知識人』、『近代的理性批判』などがある。また同氏の英語やフランス語の著作としては、『伝統と近代性のはざまにあるイラン』(Iran: Between Tradition and Modernity)、『ガンジーと非暴力の哲学』などが挙げられる。また、ジャハーンベグルー氏は過去、BBCペルシア語放送で、「思想」と題されたシリーズを提供していた。

*訳注:同氏の著作の一つに、アイザイア・バーリンとの対話集"Conversations with Isaiah Berlin"があり、同書は『ある思想史家の回想—アイザィア・バーリンとの対話』(アイザィア・ バーリン、R. ジャハンベグロー共著、河合秀和訳、みすず書房、1993)として、邦訳が出版されている。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:2356 )