EU加盟に失望のトルコ、中東諸国に接近?:英エコノミスト誌(Milliyet紙)
2006年05月06日付 Milliyet 紙

イギリスのエコノミスト誌は「トルコのエルドアン首相は、フランスやオーストリアといった国が絶えず(EU加盟への)障壁を作ることにうんざりした。その失望感は、トルコ政府によるイランやシリア、ハマスへの接近を説明できる」と書いた。

最近トルコで民主主義の領域で起こっているマイナスの進展を調査したエコノミスト誌は、先日発行した号で「トルコ政府はヨーロッパから遠ざかろうとしている可能性がある」という見方を示した。
「間違った方向へ行ってしまうこと」という見出しの、アンカラとディヤルバクル発の記事の導入部分には、次のように書かれている:「EU加盟を望むトルコで最近おこった数多くの懸念すべき出来事のうちの2つについて考えてほしい。ディヤルバクルで4人のPKK党員の葬儀の後に行われたデモに参加したという理由で約80人のクルド人の子どもに24年の懲役刑が求刑されている。ファトサでもAKP党員の首長が、アタテュルク像の前でガムを噛んだという理由でアタテュルクに対する侮辱罪で逮捕された。政府はといえば、このような出来事を終わらせるどころか、新しいテロ対策法案で表現の自由をさらに制限しようとしている」。

■疑問符のつく法案
同誌は、法案に盛り込まれた措置が、トルコ政府がEUによる2005年10月3日のトルコとの完全加盟交渉開始の決定をもたらした改革に従属しているということに疑問を抱かせたと書いた。

記事では、フランスやオーストリアといった国が絶えずトルコに(EU加盟に対する)新たな障壁を設けることに辟易したレジェプ・タイイプ・エルドアン首相がEU加盟を断念し始めたのではないかと考える、何人かの専門家の見解を紹介。「ヨーロッパに起因する失望感は、エルドアン政権によるイランやシリア、ハマスへの接近を説明できる」と記された。
こうした専門家は、新テロ対策法案を、政府と「治安組織の中にいる敵」(深層国家※)との間で生じているより大きな闘争の一部として見ていると伝えられた。「この闘争では将校たちが優位を保っているように見える」と書いたエコノミスト誌は、シェムディンリ事件の起訴状に陸軍司令官ヤシャル・ビュユクアヌト大将の名前を書いたヴァン共和国検察局のフェルハット・サルカヤ検察官が罷免されたことを例に挙げた。

同誌は、次のような表現で記事を締めくくった:「過去の経験が示しているように、抑圧的な法や軍事的手段はテロを一掃することはできない… エルドアンが昨年ディヤルバクルで行った演説で語っていたように、真の答えは『より一層の民主化』である」。

※深層国家(derin devlet):国家のさまざまな段階、また情報機関と明瞭・不明瞭な関係を持ち、意思決定のメカニズムに影響を与えうる、国家内部での違法な組織化の総体。
参考:http://tr.wikipedia.org/wiki/Derin_devlet

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( 翻訳者:日南田桃子 )
( 記事ID:2374 )