トルコ、核開発すすめるイラン政府に警告 -両国関係は崩壊寸前(Hurriyet紙)
2006年05月09日付 Hurriyet 紙

トルコは、核問題危機を深刻化させているイラン政府に最終警告を行い、「ご留意あれ。両国関係は崩壊寸前だ。」とのメッセージを送った。昨日、アンカラで会談を行ったイラン国家安全最高評議会長官アリ・ラリジャーニ氏は、「核兵器開発をするつもりはない。これに関してはフトバ(*1)がある。」と述べた。


イランの核問題の交渉責任者でもあるラリジャーニ氏は、最初に国家安全保障評議会のイート・アルポガン事務局長、続いてアブドゥッラー・ギュル外相、レジェプ・タイイプ・エルドアン首相と個別に計6時間もの会談を行った。得られた情報によると、トルコ政府はラリジャーニ氏、および同行していた一行に対し次のメッセージを伝えた。

・「近隣諸国の一員として、非常に心配している。現在、緊張状態が続いているが、両国関係が切れてしまえば、それを取り戻すことは不可能だ。今の時点でこのことをはっきり伝えておきたい。後になって、『警告しなかったではないか。』と言わないように。

・貴国(イラン)は国際原子力機関(IAEA)を説得する必要がある。貴国がすでに手にしているウラン濃縮技術について、ロシアやヨーロッパから出された申し出を最大限に利用することが公開性と透明性の立証につながる。

・核問題危機に関連して(貴国の)イスラエルに対する言動は、貴国自身のイメージにダメージを与えている。問題は外交ルートで解決可能だ。現時点ではイランは結束している。しかしその結束の糸が切れたとき、崩壊する可能性がある。イラクのようになってはならない。」



■核問題に対するフトバ

ラリジャーニ氏は軍事目的の核開発は行っていないことを明らかにした。同氏は、「核兵器の開発は行っていないと保証する。さらにはこの問題に関するフトバもある。」と述べ、トルコ政府説得に努めた。ラリジャーニ氏は、イランが核施設を国際監視下においているとし、「(国際社会が)言っていることは間違っている。彼らの本当の悩みの種は、イスラーム諸国の核技術保有の阻止だ。」と話した。ラリジャーニ氏は、トルコがこの地域の「賢人」的地位にあると述べ、「我々の誠意を世界に説明する際、貴国の助けが必要となる可能性がある。貴国がご尽力くださると信じている。」と述べた。


■アメリカはテレビ会議で対応

イラン政府がラリジャーニ氏をアンカラに派遣する一方、アメリカはこの訪問に「テレビ会議」という方法で対応した。ラリジャーニ氏との会談の直前、国際原子力機関の米常任代表グレッグ・シュールト氏は、駐トルコ米国大使館に集まった記者らの質問にテレビ会議で回答した。シュールト氏は、「今回の訪問でイランが目的とするのは、国際社会を分裂させることだ。」と述べた。

他方、エルドアン首相は13日、インドネシアでのイスラム途上国8カ国(D―8)首脳会議でイランのアフマディネジャード大統領と会う予定で、1週間に2回、顔をあわせる予定だ。


*1:フトバ・・・金曜日の集団礼拝等で行われる説教のこと。


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( 翻訳者:栗林 尚美 )
( 記事ID:2396 )