Yılmaz Çetinerコラム 早期選挙論にもの申す:社会民主系政党に合同のすすめ(Milliyet紙)
2006年06月08日付 Milliyet 紙

 政治において議論が激しくなればなるほど、民主主義の存在は明確になる。しかし国を不穏の中に引きずり込むような、つるはしやシャベルで掘るような地道なやり方を避けてブルドーザーでなにもかも粉砕して突き進むようなやり方がまかり通るようでは、心を込めて我々が守り続けてきた民主主義は鳥のように飛んでいってしまうだろう。
 選挙の前倒しがささやかれている。国民は、あたかも半月後には投票することになるかのように焚きつけられている。政権が出す決定や見解に対し、国民やメディアが反応を示すのはもちろん必要だ。しかしそれにも限度があるべきだ。現在のトルコは内外に敵がいる状態だ。政党がこれらの敵に機会を与えるようなことがあってはいけない。

■政治家の公約
 だいたいにおいて、政権についた政党は選挙中に発表した公約を忘れてしまい、守ることはない。これまでの政権も多くの公約を守らなかった。
 しかし公正発展党は公約破りが桁違いに多い。おそらくは次の選挙でもそんな公約破りをやってのけるだろう。選挙後にはわかる。

■「10%ハードル」を越えられなかったら…
 通常選挙まであと1年半ちょっとある。「もっと早くに…」「前倒しして早期選挙を」などと焚きつけ、国の政治経済構造を荒廃させる必要がどこにあるというのか。多くの経験豊富な友人たちも同じように言っている。
 さらに、この大きな試練に対し、野党はあらゆる意味で準備不足だ。党首への歓迎ぶりや党大会の熱狂的な雰囲気にだまされてはいけない。人々は現政権に満足しているわけではないが、単独政権に代わるものとして何があるというのだろうか。前回の選挙で10%ハードル〔注:トルコでは「国会議員選挙法」第33条の規定により、得票率が有効票の10%を超えない場合、その政党は議席を獲得できない〕を超えられなかった正道党、祖国党、民族主義者行動党は果たして今回の選挙では超えられるのだろうか。もし失敗したらどうなるか。

■散り散りの議員たち
 彼らがフリーレスリングを行うように「さぁ勝負だ」とばかりにリングに上がっていく様子はつらいものがある。政治の繊細な技が役に立つ場合もある。しかし党首たちは自分たちや自分の側近のことしか信じていない。
 正道党・祖国党・民族主義者行動党や公正発展党には、同じ政党でともに何年も戦ってきた元議員や元大臣たちがいる。デミレルやオザルの理念を継承しているのである。彼らはともに行動すべきだ。そうすれば開ける道は多い。

■社会民主系政党
 そして、今日最も強力な野党である共和人民党は、ムラト・カラヤルチュン〔注:2002年に共和人民党から離党して社会民主人民党を形成〕を始めとして散り散りになった強力な元党幹部らを一つにまとめねばならない。党首たちはこの熟練の技を見せることができるはずである。それができて初めて選挙に勝つことができるだろう。
 民主左派党と共和人民党の合同実現のためには、両党ともに譲歩する必要がある。
社会民主系政党の合同が実現した暁には、トルコの不安は解消され、民主主義が根付き、安定がもたらされるであろう。



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( 翻訳者:宇野陽子 )
( 記事ID:2687 )