EU加盟交渉の事実上の開始直前、南キプロスが妨害(Milliyet紙)
2006年06月12日付 Milliyet 紙

ギリシャ人の事実上の加盟交渉に対する拒否権の脅威によってトルコ・EU関係が危機的状況に陥っている。EUのオッリ・レーン拡大担当委員は、「改革の遅延は我々の関係に悪い影響を与える」というメッセージを送った。

トルコ・EU関係の形成における最高決定機関である共同委員会の第45回会合が、今日ルクセンブルグで開催された。キプロス共和国政府が出した要求と、今日始まる予定となっていた事実上の加盟交渉に対する「拒否権の脅威」が、トルコ・EU関係を危機的状況に導いた。キプロス共和国政府は、「研究と調査」という名のEU・トルコ間の事実上の加盟交渉が開かれて、その中断が一時的なものであることに不満を表明した。
 EU側は、キプロス共和国側を説得できるという見通しをもっている。しかし他方で共同委員会においては、改革プロセスをはじめとして、トルコを厳しく批判する準備を整えている。決定的に重要な2つの会議の前に会見した欧州委員会拡大担当委員オッリ・レーンは、トルコ政府に最後通牒を発して次のように話した。「改革の遅延は我々の関係に悪い影響を与える。」ブリュッセルでの会見で何ヶ月もの間発してきた警告を繰り返したレーンは、アンカラ政府がしばしばそれに逆行するような言葉を発することに対して「改革プロセスにおいて深刻なつまずきがある」と述べた。レーンは共同委員会において、政治的基準に照らして継続的に改革が実行されることが必要であることを強調し、「改革のスピードが加盟交渉の前進を決めることになるだろう。今年中にもっと前進することが絶対に必要だ」と述べるつもりとのことである。

■オーストリアとイギリスの圧力

 時にトルコへの対抗姿勢のために批判される期間議長国オーストリアは、キプロス共和国が作り出した危機を解消するために尽力している。週末までウィーン・ブリュッセル・アテネとキプロス共和国の間で電話会談が継続的に行われた。オーストリア外務大臣ウルスラ・プラスニックはギリシャの外務大臣ドーラ・バコヤニスとレーンと何度も話し合いを行った。レーンもキプロス共和国政府と連絡をとった。
 内容が適切でなくても、情報と調査において事実上の加盟交渉を完結させることで、港や空港の開放と国家承認につなげようとするキプロス共和国政府の要求に応えるためにEU委員会は方策を探っている。そこでオーストリアは、今日EUの大臣たちに新たな提案をする予定である。これによればEUの交渉態度を示す文書では、EUによって2005年9月21日に発行されたキプロス宣言の内容が踏襲されるとのことである。この宣言では、トルコの追加議定書に定められた義務が再度指摘され、2006年中に査定が行われることが強調されていた。現在のところ、EUがこの路線を外れる見通しはない。キプロス共和国が望む国家承認と関係正常化に関しては予定されている会見で言及される予定である。南キプロス側の策略は今回はEUの中でも賛同を得ていない。EU幹部は「私たちの提案に対する彼らの策略を考えると、キプロスが本当の意味で何を望んでいるのかを私たちもちゃんと理解しているわけではない」と言う。危機に対し今朝ルクセンブルグで行われたEU外務大臣の会議において政治的解決法がみつかることが期待された。

■重要な警告

EU・トルコ間の最高決定機関である共同委員会でEUはトルコ政府を激しく批判し警告するとのことである。主なメッセージは以下の通り。

・改革のプロセス:EUは、プロセスが遅れており、実行が不十分であるという見解を持っている。とくに実行の分野で「さらなる努力」を行うことがEUはとりわけ期待している。表現の自由と信教の自由もEUが最重要視している点である。軍部は軍に関係する事柄について政府の許可を得て発言することも要望のひとつである。
・追加議定書:トルコの港と空港をキプロス共和国の船や飛行機に開放することを望む追加議定書について、トルコ政府が義務を履行することが望まれる。これが行われない限り関連する交渉が開始されないという警告がEUのこの内容におけるメッセージの中心部分である。
・関税同盟:EUはトルコ側がいくつかの義務を実行しないことを遺憾に思う。

■ギュルは待つ

 カイセリで演説した外務大臣アブドュラー・ギュルはトルコとEUの間の「研究と調査」の分野で事実上の交渉が開催されたが閉会されたことを、トルコの港をキプロス共和国の船に開放するという条件と関連付けようとするキプロス共和国政府を批判した。ルクセンブルグで今日行われるEU外務大臣の会議に参加するかどうかの決定は、朝の会議の状況によって決めるというギュル外相は次のように語った。「これに関して声を大にして話す。そこに政治的意図があるなら行かない。期間議長国ともこの件について話した。空港に行って待つようなことはしない。ギリシャ側キプロスのせいで発生したこの遅れと問題をEUの大臣たちまでも受け入れるようなことになれば、トルコは新しい政治的方策を採るまでだ」。


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( 翻訳者:山本裕一 )
( 記事ID:2694 )