トルコ・ギリシャ外相会談:信頼醸成の促進が主眼(Radikal紙)
2006年06月11日付 Radikal 紙

 トルコ外相アブドゥッラー・ギュルとギリシャ外相ドラ・バコヤニは、ボスフォラス海峡の美しい風景を見ながら、エーゲ海に平和な夏をもたらす合意を行った。エーゲ海の平和のためには、空海両面で両国の摩擦の原因となっているカルダック岩礁近辺の訓練を取り上げる必要があった。両国外相は二時間続いた会談でこの問題についても話し合った。会談では軍事的側面から重要な信頼醸成措置が取られた。

1)両国参謀総長間にホットライン開通。
2)エスキシェヒルとラリサの空軍基地間にホットラインを開通させ、7月1日から利用できるようにする。
3)1988年以降適切に運用されていない7月1日から9月1日までのエーゲ海における軍事演習停止に関し、このモラトリアムを確認する。さらに1ヶ月間モラトリアム期間を延長して6月15日から9月15日までの期間とする。
4)カルダック危機〔訳注:1996年にエーゲ海のカルダック岩礁(ギリシャ語ではイミア岩礁)にトルコ船が乗り上げ、この救助における意思疎通の不備によってトルコ・ギリシャ両国の救助隊の間に起きた摩擦〕については、両国の沿岸治安部隊間で相互に訪問を行い、定期的に連絡を取り合う。
5)参謀総長ヒルミ・オズコック将軍がギリシャのパナヨティス・ヒノフォティス司令長官を招待する。ギリシャの参謀総長は来月アンカラを訪問する。トルコ・ギリシャ両国史上初めてギリシャの軍司令官がアンカラを来訪することになる。
6)自然災害対策分野では、両国軍は共同演習を行う(初回は2006年11月、トルコで行われる)。並行して、トルコ・ギリシャ自然災害対策共同文民隊も秋に演習を行う。
7)トルコ・ギリシャ間で陸上の国境線となっているメリチ川(イプサラ・キピ国境門)に二本目の橋を架ける。
8)メリチ川の洪水対策として、ブルガリアも含めた専門家委員会を招集する。

 両国外相はエーゲ海問題に関する意見の不一致のため、「地平線上にハーグ仲裁裁判所が見えるような対話(外交代表者間の調査的会談)」について話し合うことは避けた。事件をよい方向に生かせるよう努力を続けたと述べるギュル外相は、今回新しく3つの軍事的予防措置が決定されたことで、エーゲ海に関する信頼醸成措置の数は19に増えたと語った。ギリシャ側はエーゲ海のモラトリアムを2ヶ月間に延長し、このモラトリアムにエーゲ海上空の飛行も含めることを望んだが、トルコ側から拒否されたということだった。

 7月には両国の参謀総長の間にホットラインが引かれることになる。国防省にも類似の回線が引かれており、あわせると両国間のホットラインは3本になる。

 会談でギュル外相はギリシャの外相に、西トラキアにおけるトルコ人マイノリティの諸問題について言及した。ギュル外相は、ムフティー、ワクフ、学校などが抱える解決しがたい問題に対処するよう望んだ。他方バコヤニ外相は、ヘイベリ島にある修道学校再開の許可を求めた。これに対しギュル外相は、1971年にヘイベリ島の修道学校だけでなくあらゆる宗教学校が閉鎖される決定がなされたと説明し、この件については解決に努めていると答えた。

■バコヤニ外相を困らせた質問
 記者会見でバコヤニ外相は「ギリシャは領空を6マイルにすることは考えないのですか」と質問を受け、困惑した。バコヤニ外相はギリシャでもそのような議論があることを示し、「誰も飛行情報区をギリシャの領空だと言っているわけではありません。我々はこの区域における飛行の安全に対し責任があるのです。もちろん民間機の飛行に対してだけですが」と述べた。外務省筋によれば、ギリシャの外相がこの問題についてこうした発言を行うのは極めて重要な意味を持っているという。




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( 翻訳者:宇野陽子 )
( 記事ID:2703 )