北イラクのクルド人自治区の石油めぐり、クルド側は強硬姿勢(Milliyet紙)
2006年06月16日付 Milliyet 紙

北イラクの石油利権をめぐり、クルド人とイラク中央政府の政治的緊張が高まっている。

トルコ国境付近の地域でノルウェーのDNO社が行った試掘で、1億バレルの石油が埋蔵されていることが判明した。これをうけ会見を行ったクルド地方政府の石油相、エシュティ・ハヴラミ博士は、他の企業とも油田探索契約を結ぶために話し合いを行ったことを明らかにした。
同博士は、クルド地域での油田探索活動に関わる契約に、連邦政府の承認が必要であるとの主張を一蹴。バグダッド政府を批判し、油田探索活動に対して中央政府からの承認を要求する者たちを、失脚した独裁者サダム・フセインの支持者だと非難した。

クルド人が石油会社に試掘許可を与えたことをきっかけに、中央政府内では議論が巻き起こった。中央政府のヒュセイン・エル・シャリスタニ石油相は先月行った会見で、油田探索活動はイラク石油省によって行われるべきだとの意見を表明していた。政府に直属する石油販売機構のシェムキ・ファラジ委員長も、クルド地域で得られた石油は中央政府が販売すると説明した。

しかし昨日(15日)、アルビルで話したハヴラミ博士は、イラク憲法の油田およびガス田に関する条項の改正に向けた呼び掛けを拒否。「こんなものは無効だ。こうした見解を主張するのは、連邦政府を望まず昔の体制を恋しがっている者たちだ」と話した。
さらに同氏は、憲法では既存の油田・ガス田の採掘と販売のみを連邦政府の管轄と定めていると主張。「もはや、自分たちの資源は自分たちで管理している。こうした資源は、クルディスタンの人々と全てのイラク人の利益のために使用する」と話した。
クルド人は、統治する地域で新たに油田を掘る目的で、石油関係の多国籍企業を昨年末クルディスタンに招いていた。その中には「ペトイル」「ジェネラル・エネルギー」という名前のトルコの会社も二社含まれていた。これら会社が採掘する石油による利益はクルド人に属するとの見方が示され、そうなれば石油の出る地域を持たないスンナ派アラブ人との間で新たな摩擦の火種になるであろうとの声が聞かれていた。

■憲法はあいまい

クルド人は、新イラク憲法の石油に関するあいまいな表現にもかかわらず、過去にフセイン政権の時代に被った損害の埋め合わせをしようとしている。クルド人は「新憲法は自治地域に対し、将来発見される油田から出る石油の利益を獲得する権利を与えている」と主張。この主張を根拠に、まだ油田の見つかっていない場所で油田探索を行う目的で、ヨーロッパの石油会社を招待していた。

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( 翻訳者:倉本さをり )
( 記事ID:2734 )