アフガニスタン:愛妻を失った悲しみに石を食べる夫 ハムシャフリー紙
2006年06月03日付 Hamshahri 紙

2006年6月3日付 ハムシャフリー紙

[社会部]
 愛妻を原因不明の病で失った夫が、悲しみの重圧に耐えかね、心の傷を癒そうと石を食べている。
本紙の報告によると、スーフィー・アブドルラッザーク氏は[アフガニスタン北部の]サマンガ-ン州ワルスワークに住む62歳の老人であるが、日に少なくとも1㎏の石灰岩を水とともに食事の代わりの食べるという。

 アブドルラッザーク氏は、記者団の招きでサマンガ-ン州の州都アイバクにやってきた。彼は、この14年で、丘陵や山麓から石灰岩を集め、もはや数トンは食べただろうと断言した。彼は「石を食べる事を始めたのは14年程前、愛妻を原因不明の病で失ってからである。私は妻を非常に愛していて、4人の子供もいる」と述べる。

●未だ癒えぬ傷
 アブドルラッザーク氏はこう語る。「自分よりも歳若い妻がこんなに早く死ぬとは夢にも思わなかった。彼女は明朗闊達で健康でおしゃべりで、私を愛してくれた。ところがある日[突然]病気になって、数時間後に死んでしまった。まだそのショックが消えない。」

●苦しみと石
 アブドルラッザーク氏は最愛の妻の死以来、再婚はせず、その後も男手一つで子供達を育て上げた。子供達に石を食べさせる事はしない。彼は「私は子供達をとても愛していて、学校にも通わせてている」と語る。
 
 このサマンガ-ンの住民[であるアブドルラッザーク氏]は、記者団のカメラの前でも石を食べ始めたが、石をかじるその体は震えていた。しかし氏は、「石を食べる事に全く不快さは感じないし、石を食べたからといって何の病気にもなっていない。寛大にして慈悲深いアッラーのお陰で私はこんな事が出来もし、慣れる事も出来たのだ」と語った。

●神経の病
 現地の医師たちはアブドルラッザーク氏が石を食べるのを何度となくやめさせようとしたが徒労に終わった。バルフ医科大学教授のサディーク・ラウーフ氏は、「髪や爪、石など周囲にある物を食べてしまう事は一種の精神的、神経的ストレスに起因している。この種の精神的なストレスはビズワーレ(Bizware)と名付けられていて、アフガニスタンのような戦禍に巻き込まれた国ではこのような例証が見られる」と述べる。

 同医師によると、石の摂取は、量によっては身体に支障を生じさせる。まず消化機能の不調に表れると同時に消化管が閉塞状態に陥り、慢性的な胃炎を併発し、胃粘膜を傷つけてしまうという。

 アブドルラッザーク氏は、「何度も石を食べるのをやめようとしたが、一人ではこの習慣を断つことは出来なかった」と語った。


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( 翻訳者:井上 貴恵 )
( 記事ID:2661 )