美術品盗難スキャンダル、トプカプ宮殿博物館でも(Milliyet紙)
2006年06月09日付 Milliyet 紙

クロイソス王の財宝の盗難でふきだした博物館スキャンダルに、イスタンブルのトプカプ宮殿が加わった。ミッリイェト紙が2005年12月25日に「我々の歴史を一掃している」という見出しで報道したニュースがきっかけで、トプカプ宮殿に対する調査が始められた。その調査の結果、スルタンの衣装、道具類、書美術のセクションで、登録済みの43点の美術品が紛失していることがわかった。
文化観光省は、査察官の報告にもとづいてトプカプ宮殿の聖具ならびに宝物部も含む全体の目録と現物の確認作業を開始させた。


■作業は4ヶ月続いた

トプカプ宮殿の専門職員らが撮影した博物館収蔵庫のひどい状況がミッリイェト紙に掲載された後、文化観光省のアティッラ・コチ大臣の指示で調査が開始されていた。
調査を担当した二人の査察官は4ヶ月にわたって収蔵庫の目録をひとつずつ確認し、4月に報告書を完成させ、アティッラ・コチ大臣の承認をえるため提出した。調査された収蔵庫では43点の美術品が紛失していることが明らかになった。


■コチ大臣「恥ずべき状態」

報告書では以下のような記述がみられる。
「2005年5月6日付けの引継ぎ記録をもとに行った調査の結果、スルタンの衣装ならびに道具類のセクションで「キスワ(カアバ聖殿を覆う黒色の布)」をはじめとするかなりの点数の美術品が紛失していることがわかった。
文化観光省アティッラ・コチ大臣が「恥ずべき状態」と評した博物館の状況は本当に起こっていることなのだ。30年間にわたる管轄省庁の官僚の見通しの甘さが、残念なことにトプカプ宮殿博物館管理の責任の所在を法律的にあいまいにしている。


■終わらない引き継ぎ作業

道具類とスルタンの衣装のセクションでは、3年以上の間、引継ぎ作業が終えられないでいる。
このセクションの美術品は、博物館外部から指名される専門家で構成される委員会とともにひとつひとつ調査される予定だ。
紛失してしまった美術品は、委員会の決定に従って、責任者ヒュリヤ・テズジャン氏に弁償させることとなった。また書のセクションでは、目録番号49/663の美術品をチャーマン氏に弁償させることになった。この美術品は、フィリズ・チャーマン氏の管理下にいるギュレンダム・ナキポウル氏への引継ぎ時に査察官が行った確認作業で(紛失が)明らかになり、別のセクションでも見つからなかったものだ。

建築家スィナンもその建設に関わったトプカプ宮殿のアトリエと作業所のうち、現在まで残っているのはセデフハーネ(螺鈿工房)と写真室のみだ。この二つのアトリエでは、技術機材と人材が不足している。」


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( 翻訳者:近岡 由紀 )
( 記事ID:2667 )