イラン全土で反シオニスト・デモ シャルグ紙
2006年07月08日付 Sharq 紙

2006年7月8日付シャルグ紙2面

【政治部】エルサレム占領体制による最近の犯罪行為に対するイラン国民の抗議のメッセージが、昨日(7月7日)イラン全土に鳴り響いた。全国各地の礼拝参加者は、政府・軍両当局者とともに、午後金曜礼拝後デモ行進に参加し、抑圧されしパレスチナ国民に対する支持を示した。

 テヘランでも、人民各層、マフムード・アフマディーネジャード大統領、一部閣僚、国会議員、その他当局関係者らが、テヘラン大学からパレスチナ広場に向けて出発し、シュプレヒコールを上げながら、アメリカとイスラエルの国旗に火をつけて、シオニスト政権がパレスチナ人民に対して一連の非人道的振る舞いを続けていることに異議を唱えた。

 コーランの節の朗唱とともに抗議集会が正式に開始されると、テヘラン臨時金曜礼拝導師であるアフマド・ハータミー師が演壇に立ち、シオニスト体制によるガザ地区での最近の犯罪行為を厳しく断罪し、これに対する国際機関の沈黙を批判して、パレスチナ人民の抵抗継続の必要性を説いた。

 ISNAの報道によると、同師はコーランの一節に言及し、次のように続けた。「我々はイスラーム世界で発生した、イスラーム教徒に対する一連の犯罪の目撃者である。彼らは、一方ではガザ地区を破壊し、他方ではパレスチナ人民の代表を拘束して、まさにパレスチナの人民政府の基礎となっている制度をぶち壊しているのだ」。

 テヘラン臨時金曜礼拝導師はまた、イラクでの米軍の最近の恥ずべき行いと、一米軍兵士に対する裁判実施の決定に触れ、次のように続けた。「重罪人のアメリカ人たちは、一イスラーム教徒を襲撃、その名誉を陵辱し〔注1〕、その家族を殺害した〔注2〕。イラクでは毎日このような犯罪が起きている。そして昨日〔6日〕には、マイサム・タンマール廟の付近で敬虔な神の下僕たちが殉教した〔注3〕」。

 ハータミー師は、さらに次のように述べた。「イスラーム世界全体、特にイスラーム的イランにはマイサム・タンマールのような〔死を恐れず大義に殉ずる〕人々が多いということを、アメリカは知るべきだ。これらの一連の連鎖的犯罪行為は、罪深きアメリカにその元凶があるということを、一瞬たりとも疑ってはならない。罪深きイスラエルはアメリカのゴーサインがなければ、このような犯罪行為を犯すことなどできはしない。これらの犯罪行為が行われたのは、期待に反する政府が選ばれたがために、パレスチナ人民に対して報復せんとするアメリカがゴーサインを出したからに違いないのだ」。

〔中略〕

 専門家会議議員のハータミー師の演説が終わると、次にハマース運動のテヘラン支部長を務めるアブー・オサーマ・アブドゥル・マアティ氏が演説を行い、次のように述べた。「もしイスラエルとアメリカ、ブッシュとオルメルトがこのような野蛮な攻撃で、このパレスチナ国民を滅ぼすことができると考えるなら、大きな誤りだと知るべきだ」。

 同氏はさらに、シーア派とスンナ派が連合するならば、世界の強権主義的な国家、中でもアメリカとシオニスト体制を葬り去ることができるだろうとした上で、「これこそが、イスラーム世界の、世界の強権主義国家に対する強烈な答えとなるだろう。知るがよい。圧力は爆発を生む。そしてその爆発はパレスチナから生じ、世界の強権政治の根源を焼き尽くすことになるということを」と述べた。

 昨日華々しく行われた街頭デモは、10項目からなる決議を発出し、終了した。

〔後略〕

★★★

訳注:
*1:「名誉(ナームース)」とは、同時に「貞節」を意味する語で、「家族の名誉」を指すと同時に、妻や娘の「貞節」を意味する。ここでいう「名誉の陵辱」とは、女性がレイプされ、その家族の名誉が傷つけられたことを指すものであり、最大の侮辱であるとされる。なお、この名誉を守る(汚名をそそぐ)ための殺人事件が、中東イスラーム世界ではしばしば起きる(それは女性の純潔を傷つけた男性に対する報復だけでなく、傷物となった家族の成員である女性に対する殺害も含む)。

*2:2006年3月にイラク駐留の米軍兵士らが4人が、バグダードの南30キロの町マフムーディーヤの民家に押し入り、少女をレイプした上で、一家4人を惨殺したとの疑惑を指す。このうち1人が6月末に米当局によって逮捕されている。

*3:現地時間6日朝、イラク・クーファのイスラーム教シーア派のマイサム・タンマール聖廟近くであった自動車爆弾テロをさす。この事件で、イランからの巡礼者も死傷した。なお、マイサム・タンマールとは、ウマイヤ家からの死の脅迫にもかかわらず、初代イマーム・アリーへの忠誠を守ったシーア派の偉人の名。

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( 翻訳者:飯田 晃大 )
( 記事ID:2941 )