Ismet Berkanコラム:バクー・ジェイハン石油パイプラインの本当の意味(Radikal紙)
2006年07月14日付 Radikal 紙

私たちは本当にこんなに臆病で自分に自信のない国民なのだろうか?どうしてこんなことを聞くかというと、理由はこうだ。昨日正式に開通したバクー‐トビリシ‐ジェイハン(BTC)石油パイプライン。これを喜び、一つの“戦略的勝利”であると見なし、さらに発展させていこうと私たちが頭をひねっている一方で、「パイプラインの安全を確保できなければ、今後外国の勢力が(自ら)安全の確保にあたることを要求してくることになりかねない」と言う人々がいるからだ。

第一に、石油パイプラインの安全を私たちがどうして確保できないというのか?
第二に、私たちはすでにキルクーク・ジェイハン石油パイプラインの安全を確保しているではないか?
第三に、BTCの輸送能力は今のところ世界に大きな影響を及ぼすほどの水準にはない。西洋は10年以上にわたって世界最大の石油産出国の一つであったイラクを機能停止させていたのに、BTCが数日供給をストップしたからとして、それが本当に重大事になるだろうか?

考えて見て欲しい。昨日BTCは開通した。世界は新たな(石油の)供給源にめぐりあったのだ。ところが、原油価格はまたしても上昇した。ナイジェリアでのパイプライン爆発が価格に影響したからだ。だが、本来ならBTC開通を機に価格は下落するはずだった。違うだろうか?なんにせよ、悲観的な見方を示すことを売りにしている人たちにはこれ位言えば十分だ。それではBTCの持つ真の意味に迫ってみよう。

このプロジェクトは、冷戦終結後の世界でトルコが独力で見出し、発展させてきた最大かつ最も重要で、最も大きな戦略上の意味合いを持つプロジェクトだ。世界を見渡しても、BTCのようなプロジェクトは少ない。

BTCの目的は、ただ一つ。ソヴィエト連邦から分かれた国々のロシアからの独立を支援するとともに、西洋向けの原油供給を安定化させることだ。そのためBTCが経てきたどの段階においても、問題含みのバクー・スプサ(グルジア)パイプラインも含め、トルコの唯一の敵はロシアだった。

ついにアゼルバイジャンは、もしかしたら建国以来初めて、ロシアによらずに自国の石油を販売できるようになった。近いうちにカザフスタンがこのパイプラインに加われば、中国ルートに次いで二つ目のロシアから独立したルートを持つことになる。明日、トルクメニスタンの天然ガスがカスピ海を渡ってBTCに並行して走るパイプラインでトルコに流れてくることに決まれば、トルクメニスタンもロシアからの独立をさらにまた一歩進めることになる。この点を無視して、つまりこのパイプラインがロシアの中央アジアにおける帝国主義的な支配願望を妨害するという目的を持っていることを無視してBTCを理解するのは不可能だ。

BTCパイプラインがあるだけでは不十分だ。先にも述べた通り、このパイプラインを経済的に実りある事業にし、政治面での意味付けも強化するためには、カザフスタンの原油をこのパイプラインに流すことが必須である。にもかかわらずトルコは、10年前のエネルギー政策を放棄したかのように見える。 中央アジアに進出できず、カザフスタンは圧力をかけられない。カスピ海の情勢について議論する時も、重要視されていない。要するに、ロシアに関する見方にまるで軟化があったかのようなのだ。

こうした軟化は正しいものではない。ロシアは古い慣習を捨て、「互恵的な相互依存」の原則を学ばねばならない。彼らがこれを学ぶまで、つまり、帝国主義的な目的を削ぎ落とすまでは、トルコがこれらの国々のロシアからの独立に貢献しなければならない。

トルコが西洋の同盟の一員であるのなら、中央アジアのトルコ系共和国がトルコを介して西洋とつながりを持てるよう手助けすべきだ。BTCの根本的な意味はここにある。

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( 翻訳者:倉本 さをり )
( 記事ID:2986 )