「シリアへの侵略は、イスラーム世界への侵略」:アフマディーネジャード、イスラエルに警告 シャルグ紙
2006年07月15日付 Sharq 紙

2006年7月15日付シャルグ紙3面

【政治部:エフサーン・アブタヒー】「イスラエルによるシリアへの侵略は、イスラーム世界への侵略であり、それに対しては断固たる応答を伴うであろう」。これは、マフムード・アフマディーネジャード大統領が、シリアのバッシャール・アサド大統領との電話会談で、イスラエル体制の指導者らに向けて発した警告である。

 16回目となる地方遊説として東アゼルバイジャン州を訪問していたアフマディーネジャード大統領は、訪問先のタブリーズからシリア大統領に電話連絡を行い、イスラエルによるレバノンおよびパレスチナ占領地域、特にガザ地区への侵攻の最新状況について話し合った。

 イスラエル・レバノン間で新たに高まっている緊張状態は、まずパレスチナ人戦闘員が一人のイスラエル兵士を人質にとり、パレスチナ人捕虜との交換を要求したことに始まる。イスラエル政府指導者らはしかし、この要求に対して激しい反応を示し、ガザ地区を陸海空三方面から攻撃、ハマースのメンバーであるパレスチナ政府の閣僚数名を人質にとった。その後レバノンのヒズブッラーも、占領地域に侵入する行動に出て、イスラエル兵士二人を人質にとった。しかしイスラエル軍はヒズブッラーのこのような行動に対して、レバノン侵略で答え、ベイルート市の主要な空港を爆撃、昨日も二日連続となる攻撃を繰り返した。イスラエル側はまた、シリアとレバノンを結ぶ道路や橋を爆撃した。このような攻撃に対し、レバノンのヒズブッラーは二発のロケット砲をイスラエル人が居住するハイファに向けて発射した。

 このような衝突の一方で、コンドリーザ・ライス米国務長官は、地域の不安定化に関わっているとしてイランとシリアを非難、イランはレバノンのヒズブッラーを支援・保護していると主張した。米国務長官はさらに、イランとヒズブッラー、ハマースの対外部門の間には、明瞭かつあからさまな連携が存在するとも主張している。ライス国務長官はアフマディーネジャード大統領が最近行ったシリア訪問について指摘した上で、「イランは(ヒズブッラーとハマースとの)関係を隠そうともしていない。彼らはヒズブッラーとつながっており、〔ヒズブッラーの最近の行動に〕イランが関与していないと想像することは不可能である」と述べた。さらに「現在イランとシリアは間違いなく、このことと極めて直接的な関係を有している。ハーリド・ミシュアルはシリアに住んでおり、ハマースの事務所もそこにある。ヒズブッラーもまたそこで活動を行っている」と付け加えた。

 現在、イスラエルがシリアを攻撃するのではないかとの噂が囁かれているが、アフマディーネジャード大統領はこれに対し、明確にシリア支持を打ち出し、攻撃が行われた場合には、極めて厳しい応答を伴うだろうとの見方を示した。アフマディーネジャード大統領はアサド大統領との電話会談の中で、さらに「イスラエルによる狂気の沙汰としか思えぬような侵略行為は、作り物の体制の底の浅さ、無力さを物語るものである。イスラエルは崩壊と瓦解へと転落しようとしている」と語った。

 アフマディーネジャード大統領はまた、バッシャール・アサド大統領の賢明なる政策と、パレスチナ及びレバノン人民の抵抗運動の堅持に感謝の意を表した上で、シオニスト体制の侵略行為の被害に遭われた人々に対してイランが緊急人道援助を行う用意がある旨表明した。

 しかしアフマディーネジャード大統領の発言でもっとも重要だったのは、イスラーム諸国会議機構がより積極的に動くべきである旨強調すると同時に、次のようにイスラエルに対して警告を発したことである。「もし占領体制がさらなる愚かな行為を犯し、シリアに対して攻撃を加えるようなことがあれば、そのような行為はイスラーム世界全体への攻撃であるとみなす。この体制は、〔イスラーム世界からの〕断固たる応答に直面するだろう」。

 シリアのアサド大統領もまた、この会談の中で次のように強調した。「これまでさまざまなイスラーム諸国の多くの市民団体が、危機的状況に陥った地域に馳せ参じ、占領者たちと対決する用意がある旨表明している。イスラエルがさらなる過ちを犯し、シリアをも攻撃するならば、厳しい反応に直面するだろう。シリアは彼らの脅迫を決して恐れてはいない」。

 中東の新たな危機に関するイラン・シリア両首脳の会談は、ヒズブッラーはイラン政府から財政援助を、シリア政府から政治的援助を受けているとのショーン・マコーマック米国務省報道官の発言を惹起した。マコーマック報道官はさらに、「イランとシリアがレバノンのヒズブッラーに大きな影響力を有していることは、すでに誰の目にも明らかである。それゆえ、二名のイスラエル兵士の解放に向け努力するよう、国際社会は両国に対し求めるべきだ」と続けた。

 他方アフマディーネジャード大統領はレバノンのエミール・ラフード大統領とも電話会談を行った。木曜日の夜訪問中のタブリーズからラフード大統領に電話連絡を行ったアフマディーネジャード大統領は、レバノン市民の人的・物的被害に対し遺憾の意を表明し、レバノン政府・国民に対するイラン政府及び国民の共感を表した上で、地域の最新状況について話し合った。ラフード大統領はこの会談の中で、レバノンの抵抗組織及び軍は〔イスラエルの攻撃に対して〕毅然と立ち向かう旨強調した上で、「安心していただきたい。われわれは敵に対して屈することはない。最終的には必ず勝利を収めるだろう。敵は侵略行為を働いたり、騒動を起こしても、レバノン人民の堅固なる意志に打ち勝つことはできない」。

〔後略〕

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:3014 )