イランの国民遺産、イスラエルに接収の危機 シャルグ紙
2006年07月01日付 Sharq 紙

2006年7月1日付シャルグ紙31面

【ファールス通信】歴史家のアブドッラー・シャフバーズィー氏は、シカゴ博物館所蔵のイラン人の国民遺産がイスラエルに接収される危険性があるとの警告を発している。

 彼は自らが運営するインターネット・サイトに、「ハカーマニシュ(アケメネス)朝時代の粘土板を救え」と題した報告を掲載、その中でアメリカの、特にシカゴのマス・メディアがこの件に関連して、非常に気がかりなニュースを伝えていると警告している。

 1302年〔1923年〕以降ペルセポリスで発見された粘土板の数は、3万点以上に上るとされているが、しかしシカゴ大学が所蔵を主張しているのは2千点にすぎない。

 シャフバーズィー氏は、陰謀のこれまでの経緯について、次のように記している。「2006年1月13日にシカゴ大学の学生新聞『シカゴ・マルーン(Chicago Maroon)』が、ハサン・アリー執筆の記事の中で報じたところによると、ハマースによって行われたとされる1997年のイスラエルでの自爆爆破事件の遺族らが、イランに対して賠償金を要求する訴えをアメリカの裁判所に起こしたとのことである。それによると、遺族らはイランがこの爆破を支援していたと主張、シカゴ大学東洋学博物館に所蔵されているハカーマニシュ朝時代の粘土板を賠償金の一部として要求したという」。

 シャフバーズィー氏によると、2006年3月13日付のシカゴ・トリビューン紙がラン・グラスマン執筆の記事の中で、原告団の弁護士でロードアイランド在住のデイヴィッド・ストラチマンがシカゴ大学に対して訴えを起こし、上記テロ事件の遺族らへの賠償金として、イランの貴重な古代遺産を要求したと報じたという。ストラチマンはハーヴァード大学、ミシガン大学、地方博物館、デトロイト美術研究所、ボストン美術博物館の各機関に対しても、同様の訴えを起こしたとのことである。これらの各機関には、イランに属する古代遺産が所蔵されている。

 シャフバーズィー氏はさらに、次のように続けている。「これらのイスラエル人の原告らは、以前にもアメリカの裁判所でイランを訴え、7100万ドルの賠償金の支払いを要求している。そして今、彼らは賠償金を手に入れるために、イランの貴重な古代遺産に触手を伸ばそうとしている」。

 シャフバーズィー氏が伝えるところのによると、2006年6月27日付のシカゴ・トリビューン紙はアンドリュー・ハーマン執筆の記事の中で、地元のフィールド博物館が裁判所への回答の中で、〔同博物館所蔵の〕ハカーマニシュ朝の粘土板に対するイランの所有権を全面的に否定、「これらの遺物は、われわれが明朗な方法で購入したものである」と主張したと報じたという。このような経緯を経て最終的に、翌28日のシカゴ・トリビューン紙がラン・グラスマン執筆の記事の中で報じたところによると、関係の裁判官はシカゴ大学の弁護士の主張を却下したとのことである。

 イランの歴史家シャフバーズィー氏は、このようなニュースを「気がかりである」とし、これらの貴重な遺産について次のように記している。「イスラエル人ら、というよりむしろ実際にはイスラエル政府だが、彼らの強欲の対象となった遺物は、レザー・シャーの時代にペルセポリスで出土したものの一部である。これらは当時の首相であったザカー・オル=モルク・フォルーギーの共謀と、その息子モフセン・フォルーギーの仲介によって、ポープ教授(Arthur Upham Pope)とその妻フィリス・エイカーマン博士(Phyllis Ackerman)により、アメリカに持ち出されたものである。この事件については、革新的で多産なワシントン在住のイラン人歴史家モハンマド・ゴリー・マジード博士(Mohammad Gholi Majd)が、2003年の著書『アメリカによるイランの古代遺産の大規模な強奪1925年〜1941年』(The Great American Plunder of Persia's Antiquities, 1925-1941)の中で、機密指定を解除された米政府公文書にもとづき明らかにしている」。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:2878 )