EU加盟交渉へのギリシャ系の妨害続く―実質交渉は開始したが・・・(Hurriyet紙)
2006年07月02日付 Hurriyet 紙

トルコとの実質交渉の開始を妨害しているギリシャ系キプロス(キプロス共和国)政府は、激しい駆け引きの末、昨日最後の最後に説得され、科学・研究の分野における実質交渉の開始・終結がEUによって承認された。ギリシャ系キプロスによる、最初の2つの拒否権行使の危機はこのようにして乗り越えられたことになる。しかし69回のさらなる妨害がありうる。

昨日、EUは「ぎりぎりの」決定でトルコとの実質加盟交渉の開始を承認した。ルクセンブルクで昨年10月3日に起こった出来事(EU外相会談での加盟交渉枠組み採択が難航したため交渉開始がぎりぎりの時間にずれ込んだこと)の「小さな」再来があった。35項目からなる交渉プロセスにおいて、それぞれの国には合計71回の拒否権が認められている。項目ごとの交渉の開始・終結と、最終的に全体で「参加合意」を承認する権利を有するEU各国は、合わせて71回拒否権を行使する権利を持っていることになる。昨日の科学・研究分野での交渉の開始・終結により、(拒否権を行使しうる残り)回数は69回になった。つまり、7月1日のルクセンブルクで経験した痛みは、あと69回繰り返される可能性があるのだ。

先週、大使レベルでは合意に達しなかったため、昨日EU加盟国の外相の議題に上った「加盟交渉」問題は、3時間半にもわたる駆け引きをもたらした。トルコ時間の午前11時に集まった各国の外相は、科学・研究分野における実質交渉の開始と同日中の終結を午後2時半に承認した。この3時間半の間に、ギリシャ系キプロスのヨルゴス・ヤコブ外相とEU議長国オーストリアのウルスラ・プラスニック外相は何度も話し合っていた。オーストリアは木曜日以来、ギリシャ系キプロス側に5回にわたって「提案」を行ってきた。関係の正常化、港湾の開放、ギリシャ系キプロスの承認を求める表現が、科学・研究分野の「交渉経過報告書」に書き連ねられるべきだとのヤコブ外相の要求は退けられた。科学・研究分野に関する交渉が終結しないよう求める要求も認められなかった。

■後戻りする可能性も

最終的にEU諸国は折衷案を見い出し、一つの文章について合意に達した。文章には、トルコのキプロス宣言に対しEUが2005年9月21日に出した宣言が参照されていた。加えてEUは、追加議定書やEU関税同盟のように共同合意を含む事案にトルコ側が完全に従うことの重要性にも言及した。また、必要な場合には(交渉が)「科学・研究」分野に後戻りしうるとも書かれた。

EUが「アキ・コミュノテール」となったキプロス宣言とともに、アキ・コミュノテールたる追加議定書とEU関税同盟といった問題に言及したことは、トルコ側に念を押したものと受け止められた。

10月3日以来加盟交渉の「スクリーニング作業」の過程にあったトルコは、昨日ルクセンブルクで合意に達した後、初めて実質交渉を開始したことになった。しかし、「科学・研究」といった(合意が)「最も容易な」分野の交渉でさえ「痛みをともなう」ものであったことは、ギリシャ系キプロスが加盟するEUとの交渉プロセスが「容易ではない」という現実を明らかにした。

※アキ・コミュノテール(Acqui communautaire)・・・共同体の基本条約から規則、指令、判例法等の全ての蓄積された法体系の総称(外務省HPより)

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( 翻訳者:松岡聡美 )
( 記事ID:2883 )