Koray Düzgörenコラム:クルド人の合法的政治参加を妨げる最低得票率条項(Yeni Şafak紙)
2006年08月14日付 Yeni Safak 紙

 国民の意思を真の意味で初めて議会に反映させたことで賞賛されている公正発展党は、実は人々の自由選挙権に対する制限を維持しようと画策している。そのうえ、その制限をより強化しようとさえしているのである。

 議員選出にかかる最低得票率条項や、現在もこの条項をクリアするために望まれている、合法的な無所属議員という手段を妨げる目的で導入されようとしている全国区最低得票率条項のことを言っているのである。

 この問題は、ただ代表権における公正原則の実現やそれへの違反という問題ではない。公正発展党が今度の選挙で得票を減らすことのないようにととった戦略とも無関係だ。この問題は、誰が何と言っても、クルド人の議会における代表権行使の是非にかかわることなのである。

 まだ事態ははっきりしていない。公正発展党は公式にはこのような動きに出ていないし、クルド系政党の民主市民党が今度の選挙で無所属議員として参加するという決定を明確に出したわけでもない。いずれにしても大差はない。この問題についての議論、複数の公正発展党議員の言葉、またこの問題が話題になっていること自体、無所属候補に最低得票率条項を適用することが、いくつかの段階を経た後で検討される一つの選択肢であることを示しているのである。

 トルコ国内に存在する諸問題の拡大や爆発の原因となりうるこの問題が、(実現しないとしても)話題となることに重要性がある。

 その結果は、クルド人にとって合法的な政治手段が閉ざされるという意味を持つ。

 クルド・アイデンティティやクルド人問題を持ち込まずに、公正発展党や(トルコにおけるマイノリティの存在や民族的多様性を否定する)共和人民党の内部で政治を行うことは可能だ。実際、公正発展党と共和人民党には、クルド系の議員が存在する。
 この議員たちは、クルド問題に関して、所属する党の政策や党総裁の設ける限界を超えはしない。
 そのため、彼らの存在は問題の解決にはならない。これまでも解決にはならなかったし、将来的にも解決法にはなりえないのである。

 トルコはまた、対テロ闘争の名において武装したクルド運動を壊滅させようと躍起になっている。他方でこの運動を支援する人々が合法的に政治を行い、国の民主政治に参加することは阻害されている。
 クルド人の合法的政党の解散を妨げたり、政党の解散を困難にしたりするような法の整備は不十分だ。

 他方で、10%の最低得票率条項のため、クルド政党が議会で代表権を行使できる見込みはない。このようにしてクルド人たちから、―武装闘争だろうとテロと呼ばれようとどちらでもかまわないが―非合法な活動以外の選択肢を奪ってしまうのである。議会に参加して民主的方法でクルド人を代表することは望まれず、現在でも最低得票率条項によって無所属議員として議会に参加することも妨害される。この状況がこれほどはっきりと知られていながら、なおも最低得票率条項の援用が話し合われているとすれば、まさにこれは「火に油を注ぐ」としか言いようがないではないか。

 しかも、クルド労働者党の闘争停止や解散はアメリカ頼みだ。また、この問題の解決を妨げるようなこうした妥協を許さない態度に執着している。この態度のまえに、アメリカに何をさせようというのか。無所属という遠回しで姑息な手段に頼らずに、最低得票率という制度を廃止することで、民主市民党が議会に代表を送れる可能性を保障するならば、トルコにおけるクルド問題の解決に向け、合意と緊張緩和が同時に達成されるだろう。

 無教養なスポーツ評論家たち、そしてこの連中に、クルド人やムスリムや自由を守る者や人権擁護派の人々に対する暴言を吐かせ、クルド人に向けた破壊活動へ将軍たちをそそのかす無教養な編集者たち、クルド人に対する全面闘争を主張するトゥラン主義の元大使たち、そして彼らにペンで物言う機会を与えるいわゆる民主派の出版社と編集者たち、彼らは、日々新たな扇動の材料を作り出すことを、とてもよく知っているのだ。

 このため、トルコのこうした画策を無為に終わらせるには、緊急の和平、社会的合意、問題の民主的解決がどうしても必要だ。

 このような状況下で公正発展党ができることは、無所属候補の出現に障壁を設けてクルド人を議会に入れないようにするのではなく、現行の最低得票率条項という障壁やその他の障害を廃止することだ。
 でなければ、今の問題に対し、火に油を注ぐことになるだろう。
 

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( 翻訳者:宇野陽子 )
( 記事ID:3276 )