テヘランの市営電車が文化的に ハムシャフリー紙
2006年09月14日付 Hamshahri 紙

【ギーティー・アーベディー】バスや地下鉄の乗客が駅に着くまでの短い時間に読めるよう、本のかさが小型化される、《地下鉄本》計画が進行中だ。この計画では、本の一部や要旨が紹介され、しかるべき教養が得られる社会的テーマでもって、人々に読書を奨励することを狙っている。
(中略)

この計画はテヘラン市役所文化芸術機構文化次官、《風刺画の家》、そして地下鉄会社の協力で実施される。文化作品サービス提供ネットのアミールホセイン・デフガーニー局長はこの計画の目的が「市民権の概念の導入」、「読書文化の定着」、「市民の文化水準の向上」だと述べる。

同局長はこの計画の詳細について次のように述べた。「これらの本の多くは、マンション居住文化、環境保護、文化遺産保護など都市や市民権をテーマにしており、テヘラン市役所文化芸術機構文化次官によって内容が保証されています。短時間に今日のニーズを満たすため、風刺映像や風刺画の多様が試みられています。本は一般人向けに書かれており、100トマーン〔約13円〕で誰でも買えます。週替わりのテーマで5000部ずつの配本です。短時間で読めますよ」。

この計画は地下鉄ミールダーマード駅での『托鉢僧の小屋』と題する第一回配本で試験的に始まった。デフガーン局長によれば、この計画は夏の終わりまでにテヘランの20の地下鉄駅で実施される。さらに秋には利用客の多い全ての駅で実施したいという。

この計画の他に《バス本》計画も練られている最中で、これは小型図書が収められた本棚をバス内に設置し、人々にバスの中で過ごす間に読んでもらおうというものだ。

先月、市役所文化芸術機構公共図書館局のマーズィヤール・ニールチー局長はこの計画を少し違った風に説明していた。それは外国の形式により近い、バスと地下鉄での「貸し本」形式で、一定の設置場所から本を取り出し、移動途中で読んでは降りる駅で引渡す。今度はそれらを他の人たちが利用する、という形だ。

同局長は《バス本》計画についても述べた。「バスの本数が少ないとかバス内がすし詰めだという理由で、この計画に消極的になるべきではない。このような問題は別の当局に解決を委ねることにして、我々はこれくらいの理由で文化的事業や文化の醸成に目をつむってはならない。これらの本は軽量で、バスと地下鉄の乗客が降りる駅に着くまでの短時間に読めるようになっている。本の一部や要旨も紹介されており、しかるべき教養が得られる社会的テーマでもって、人々を読みたい気にさせる」。

▼外国の例
この計画の目的の一つは読書文化の普及だという。我々は読書にあまりなじみがなく、常に本を映画やテレビ番組の脇に追いやってきた。今時の若者に、世界の有名な役者10人の名を挙げてみろと言えば、どの若者も容易に役者の名を挙げる。が、一方で有名な作家の名を挙げることはできない。イランはある意味で読書の危機に直面しており、この計画はその解決策になるだろう。

外国も読書の普及に面白い手法を使ってきた。ユニセフは他の機関と協力し、「読書も刺激的」と題した計画を実施した。ポケットサイズの本400万冊をサッカースタジアムで配るというものであった。この計画は2004年のアルゼンチン対ブラジル戦にも引き継がれ、2005年の同じような対戦でも行われた。この計画は地下鉄や公共の場でも実施された。

地下鉄が輸送以外にも使えるという結論に達したのはイランだけではない。1995年、ストックホルムで初めて地下鉄新聞が無料で配られた。その後、チェコ(1996年)、ハンガリー(1998年)、オランダ、フィンランド(1999年)、チリ、アメリカ、イタリア、カナダ、ギリシャ、アルゼンチン、スイス(2000年)、スペイン、デンマーク(2001年)、フランス、香港、韓国(2002年)、ポルトガル(2004年)でこれが実施された。現在、世界17カ国63都市で16言語の地下鉄新聞が発行されている。

ロンドンで初めて地下鉄新聞が配られたのは1999年。現在、バーミンガム、マンチェスター、リーズ、リバプール、ニューキャッスル、シェフィールドのような英国の主要12都市でも見られるようになった。毎週月曜から金曜、地下鉄で入手できる。20分で読めるように構成されており、他の新聞と違うところは政治論議と切り離され、旅行、家庭、健康などの記事で構成されているところだ。

報告によれば、英国の地下鉄新聞の読者は最初の5年で一日100万人。英国で4番目に大きい新聞になった。2005年9月に出た最新の統計では一日100万部刷られ、170万人の読者がいるという。乗客はこの新聞を読み終えると、次に座る人が読めるよう、地下鉄の座席に置いておくのだという。


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( 翻訳者:吉村 かすみ )
( 記事ID:3513 )