Taha AKYOLコラム:イスラム世界におけるトルコの位置づけ
2007年01月30日付 Milliyet 紙

 あらゆる観点において、トルコはイスラム世界で最も成功し、最も発展した国家である。
 フォーチュン誌による調査もこれを立証している。イスラム世界における大企業の上位100社のうち、25社がトルコ企業なのだ!
 人口が10億人を超えるイスラム世界のうち7千万人を有するトルコ人は、企業の上位100社の4分の1をも占めているのである!
これは何を意味しているのだろうか。あるものは教育の成果だという。またあるものは企業や生産組織、経営、技術、世界への進出、競争力のおかげだとし、またこれら全てを成し遂げうる“合理的精神をもった進取的階層”の存在のおかげであり、自由な進取の精神のおかげであるとしている。
イスラム世界の大企業100社のうち上位10社にはアラブやイランの企業が名を連ねている!なぜか?理由は原油である!この10社はどれも原油関連企業なのだ!サウジ・アラムコを筆頭に…。
ファリード・ザカリアが指摘した通り、地中から湧き出る原油によって得られた富は合理的、そして進取的な中産階級を生み出すことはない。むしろ封建的な価値の強化や格差拡大を金銭的に支えているのだ!というのは、産油国の富は地下から溢れ出すからである。近代化の結果ではなく、合理的、進取的な中産階級の活動によってでもないのだ…。

■トルコの特徴
これとは正反対にトルコでは、あらゆる富が経済活動によって得られている。今日、コチ、サバンジュ、ドアン、ウルケル、ドウシュ、イシュ銀行、アク銀行、ワクフ銀行、ヴェステル、エンカ、エジュザジュバシュといった、上位100社のリストに名を連ねた企業や、このリストには載らなかった多くの企業の存在はトルコにとって、サウジの原油より価値のあることなのだ!
 これは経済学的に、より価値のあることである。なぜならこれらの企業はトルコに対して原油よりも大きな富をもたらしているからである。
 社会学的にも、より価値のあることである。なぜならこれらの企業は小さな小売商から発展し、進取的中産階級の成功を象徴しているからであり、社会的合理性、勤勉さ、創造性の向上、個性化、そして民主主義、つまり近代化を反映しているからである。
 こういった観点で、トルコと比較することのできる唯一のイスラム国家はマレーシアである。我々が「極東の奇跡」と呼ぶ発展の裏には、原油のような天然の、そして「封建的な」富ではなく、勤勉さ、教育、進取性といった文化的、経済的ダイナミズムが存在している。
こうした要素がなかったがために、あのソビエト帝国は滅んでしまったのだ!

■形式論争
 経済歴史学者のシェヴケット・パムク教授によると、10年間続いた戦争(第一次世界大戦から独立戦争:訳者註)によって人的、経済的崩壊を経験したトルコは1925年にはエジプトと同様の所得水準であった。より正確には、同様の貧困水準であったのだ!だがトルコは急速にエジプトとの差を広げることとなる。というのは、トルコには経済政策を創案する官僚層が存在し、タンジマートに端を発し共和国として頂点に上り詰めた法的近代化を経験したからであり、その勤勉さが19世紀に形成され始めたからなのだ…。
 この要素はトルコを前進させた。フォーチュン誌の指摘は、この歴史的プロセスの成果なのである。
 トルコの地理的状況によってもたらされた戦争や政治問題から、我々は多大なエネルギーを失った。経済歴史学者のチャールズ・イサウィが論じたように我々は、近代化の形式的、象徴的側面にあまりにも囚われすぎていた
 これらにも拘らず、我々は成功への道を辿った!だが、まだまだ不十分である。これからは近代化をそれが持つ本来のダイナミズムの観点から考慮しよう。そして、不要なイデオロギー、アイデンティティ論争によってこれ以上エネルギーを浪費するのはやめにしよう。
 共和国建国100周年には、トルコの世帯平均所得を2万5千ドルまで引き上げようではないか!…それが実現した暁には未来の人々は、今日の我々の論争を見て笑うだろう。!

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( 翻訳者:岩根匡宏 )
( 記事ID:10033 )