モスクでは靴下の穴に注意!― 世銀総裁の招いた悲劇
2007年02月02日付 Hurriyet 紙

トルコ訪問の際、穴の開いた靴下姿がカメラに映し出された世界銀行のポール・ウォルフォウィッツ総裁をトルコと世界のメディアが報じると、トルコの靴下生産者は彼に“靴下攻撃”をお見舞いした。ウルトラ靴下が60足の靴下を贈る一方、アイトゥー靴下はウォルフォウィッツの名前入り靴下144足を発送した。靴下製造者協会はも12足の靴下を送っている。

■靴下の穴はメッセージ?

イスタンブル既製服・既製婦人服輸出業者組合靴下業委員会の委員長でウルトラ靴下オーナーのオズカン・カラジャは、ポール・ウォルフォウィッツ総裁のもとへ最高級の靴下60足を送ったことを明らかにし、「穴の開いた靴下で何かメッセージを伝えようとしていたのだろうか?総裁は我々にメッセージを送らないでほしい。EU加盟の支持をしてほしい」と述べた。

■靴下の重要性

オズカン・カラジャは、世界経済の立役者の1人がお金がないからではなく靴下を重要なものと思っていなかったために穴の開いた靴下姿をとらえられてしまったとし、次のように述べた:「彼が靴下をあまり重要でないものと思っていたことは、靴下産業に従事する者として私をとても悲しませた。このため、彼に靴下を送ることに決めた。トルコの靴下の品質を彼に知ってもらいたかった。靴下産業についても我が国についても知ってもらうのに役に立ってほしい」。

■一生分の靴下を提供

アイトゥー靴下のイスマイル・カヴンジュ社長は、生涯にわたってウォルフォウィッツの靴下のスポンサーになると宣言、「ウォルフォウィッツの補佐官のうち、世界銀行タジキスタン代表のジェヴデット・デニゼルと面識がある。彼に相談した。こういうことをしても大丈夫かと尋ねた。色よい返事が得られたのでそれではと着手した。12ダース、つまり144足の靴下にポール・ウォルフォウィッツという名前も入れて生産した」と話した。足の大きなウォルフォウィッツに合わせて作ったというカヴンジュは、毎年靴下を送り続けるつもりであることを明らかにした。「靴下産業も、我が国についても知ってもらおう。せめてつぎ当てを我々があてがおう」と語るイスマイル・カヴンジュは、次のように続けた:「穴の開いた靴下というのは大変人間らしいものだ。望んでいなくとも人の身に起こりうる。外国人は靴を脱ぐ習慣がないので我々のように気を付けていない」。

■靴下製造者協会から12足

靴下製造者協会のウミット・オズレン副会長は、起こった出来事はとても不運なことだったと言い、「トルコの靴下のアメリカでの消費量が伸びればこうした出来事は減るだろう」と語った。オズレンは、靴下に穴が開くというのは、製品の品質や履いた回数と比例して起こるものであり、品質のよい靴下では正しい履き方に従えばこの種の問題は短期間では起こらないと述べた。オズレンは、靴下製造者協会として高品質のトルコの靴下に目を向けてもらおうと、ポール・ウォルフォウィッツのためにアメリカの世界銀行本部に12足の男性用靴下を送る予定であると話した。

■ウォルフォウィッツの経済状態はトルコほどよくない

イギリスのガーディアン紙は「頂点にいるエコノミストの靴下予算に穴」という見出しでこの事件を報じた。記事では、毎年何百万ドルもの借款を提供する世界銀行のリーダーの服飾費はわずかであったと伝えられた。トルコのたどった道筋を評価したウォルフォウィッツが、かなり以前に財政的な落ち込みから回復したトルコほどいい(経済)状態にはないとする一方、皆と同じように動揺したウォルフォウィッツが状況をしっかりと受け止め、服装についての不備を隠そうとしなかったと述べた。同紙のブログのページは出来事をより無慈悲に受け止め、「穴につぎ当てをしろ」や「畜生、参ったな」という意味の「Darn it, Wolfowitz」という見出しを付けて報じた。「切れ者が揃ったチームと明晰さで知られるウォルフォウィッツが隠れた身なりのだらしなさを露呈させた」という記事では、「我々のページに視覚以外にニュースのにおいも伝える技術が備わってないことはいいことだ」という解説が添えられた。

■AFP通信も「トルコ人が靴下送る」と報じた

世界の主要通信社であるAFPも、ポール・ウォルフォウィッツが(エディルネの)セリミイェモスクを訪れたときに2つの穴の開いた靴下を履いている姿を映像にとらえられたとし、「イスラム教徒の伝統に従ってモスクに入る前に靴を脱いだ世界銀行総裁は、グレーの靴下に開いた2つの穴を人目にさらすことになってしまった」という表現で報じた。AFPは、トルコの靴下生産者が高級なトルコ製靴下を送るつもりであるとも伝えた。

■穴の開いた靴下はユーチューブで最も閲覧された映像になった

全世界のメディアの報じた世界銀行総裁の穴の開いた靴下は、動画サイトのユーチューブでも最も閲覧された映像の1つになった。穴の開いた靴下を履いたウォルフォウィッツの映像は、ユーチューブで前日、ニュースカテゴリーで「最も閲覧された」と「最も多くの(格付けの)星を得た」映像にランクインした。インターネットのブログ上でも、ウォルフォウィッツの穴の開いた靴下は数多くの意見が交わされた。イラク戦争について批判を受けたウォルフォウィッツは、映画「ロード・オブ・ザ・リング」の登場人物になぞらえられた。

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( 翻訳者:穐山 昌弘 )
( 記事ID:10077 )