Sami Kohen コラム:東地中海での資源探索、エーゲ海の教訓は生きるか
2007年02月21日付 Milliyet 紙

先週レフコシャ(ニコシア)の南キプロス(キプロス共和国)側地区で、華やかな式典で東地中海での石油・天然ガスの探索プロジェクトの最初の重要な一歩を踏み出したパパドプロス政権は、トルコの反対にもかかわらず国際的な支持獲得に向けた動きを速めている。
加盟しているEUを初めとして、さまざまな場にこの「新たな問題」を持ちかけている南キプロスのリーダーは、今日アテネを訪れる。パパドプロス(大統領)の望みと期待は、ギリシャがこの壮大なプロジェクトで後ろ盾になってくれることだ...
この計画は実現するだろうか?
とても疑わしい。アテネからのニュースは、(ギリシャの)カラマンリス政権はこのプロジェクトに関わりたがっていないという論調だ。この理由も明らかである:かつてエーゲ海での石油探索活動のためトルコと一触即発の状態になったギリシャは、最近になって改善した両国関係を危うくしたり、新たな火種をまくことを望んでいない。ギリシャ政府が今日のパパドプロスとの会談で示す態度は重要だ。南キプロス政府が今後この問題についてとる行動に影響を与えるという点からも、トルコ-ギリシャ関係の将来に指針を示すという意味でも...

■無理強いはよくない

パパドプロスが東地中海における石油・天然ガス探索プロジェクトでの最初の一歩で成功を収めたことは事実だ。「特別経済地域」の策定についてエジプト、レバノンとの間で達した合意は、南キプロスに希望をもたらした。2国が(式典でエジプトのエネルギー大臣が表明したように)南キプロスとの協力関係を維持していくことを宣言したことも、トルコの強い警告に直面しているパパドプロスを勇気付けた。南キプロスは今、地震研究の観点から、実は石油・天然ガスを探索するボーリング作業を行う企業と交渉中だ。これは時間のかかるプロジェクトだが、世界がエネルギー不足に直面している時代に、多くの企業や国の(エネルギーに対する)要求は高まっている。
法的に見て、南キプロスはトルコを除くどの国からも承認された主権国家であり、また1982年に採択された国連海洋法条約に署名した国としてこうした活動を行う権利を有していると主張している。
一方トルコはといえば、南キプロスがそもそも分断した島に作られた国であり、ギリシャ系住民の居住地域だけから成り立っているとし、こうした形での主権の行使などあり得ないという立場を表明している。トルコ政府はパパドプロスがこのプロジェクトを計画したときにトルコ側(北キプロス)をのけ者にしたとし、またトルコも同じ海域に権利を有していると主張している。

■最善策は「計画を凍結すること」

もちろんこの二手に分かれた法律論争全てが大いに議論の的となるかもしれない。にもかかわらず、実際に東地中海で石油・天然ガスの探索活動が行われうるか否かを決めるのは、はっきり言って法的な思索だけではない。
パパドプロス政権は、トルコの強い警告―そして今後これに引き続いてとられるかもしれない行動―にもかかわらず、プロジェクトを続けられるだろうか?同様に、このプロジェクトに投資をする意欲を持っている大企業は、トルコによる妨害を全く無視できるだろうか?南キプロスと共同してプロジェクトを進める国々は、トルコの反論に無頓着でいられるだろうか?
最新の分析を見れば、こうした危機を引き起こす危険を誰もわざわざ引き受けたいとは思わないはずだ。これと同様のことを1990年代のエーゲ海で体験した。そして最終的には常識により危機は乗り越えられた。どのように?問題を(探索活動を)「凍結する」ことで...
キプロス問題が解決することなく、合意に達することなく南キプロス政権が地中海で石油・天然ガスを探索することは実に危険な「冒険」となろう。危機的な状況を引き起こさないためにできるもっとも正しいことは、少なくともプロジェクトをキプロスでの問題が解決するまで「凍結すること」であり、このような形で危機(の発生)を防ぐことである。ちょうどエーゲ海でとられた方策のように...

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( 翻訳者:穐山 昌弘 )
( 記事ID:10241 )