アルメニア人虐殺問題のトルコ側主張をとりあげた百科事典に仏裁判所、表現の自由認める
2007年03月09日付 Hurriyet 紙

フランスの百科事典Quid2003年版がトルコ人の論文を掲載し、アルメニア人虐殺を否定したとの理由でフランスのアルメニア人団体から訴えられていた裁判で、パリ控訴審裁判所は、Quid2003年版がアルメニア人虐殺を否定しておらず、客観的に情報を伝えているとの結論に達した。同百科事典の発行元ロベ-ル・ラフォン出版社が前回の有罪判決を控訴し、パリ控訴審裁判所での再審を要求したことを受け、昨夜行われた審理で、裁判所はトルコ人の論文を掲載し、アルメニア人虐殺を否定したとの理由からフランスの『アルメニア訴訟擁護委員会』、『私は告発する』、『記憶 2000』といったアルメニア人団体に訴えられていたフランスの百科事典Quidの主張を認め、他者の見解を掲載することにより責任は問われないとの判決を下した。

■表現の自由

出版社側の弁護士は公判で、Quid百科事典に対し下された判決は表現の自由に反しており、百科事典が歴史的出来事に関し様々な立場の見解を掲載するのは自然なことであるとした。

控訴審裁判所は「異なる見解を掲載することは、他の見解を否定することにはならない。アルメニア人虐殺について掲載された情報においても、こうした範囲のなかで掲載されている」とした。次いで、2005年7月6日、虐殺についての情報がバランスのとれた中立的な形で掲載されなかったとの理由で、同百科事典出版社の編集者らに1ユーロの象徴的罰金を課したパリ第一裁判所の判決を破棄した。判決の理由について同裁判所は、「Quid百科事典2003年版はアルメニア人虐殺を否定しておらず、客観的情報を伝えている」とした。さらに、判決の中で「百科事典の情報は、アルメニア問題についてのトルコ人の論文もまたそれを認め尊重することのできない人々の意見をも正当なものと見なし、なんら強制の下に置こうとするものではない」と述べた。

■総領事への訴訟

フランスでは「アルメニア訴訟擁護委員会」が、トルコのパリ総領事館の公式ホームページに掲載された、アルメニア人の主張を否定する文言を理由に、アイドゥン・セズギン総領事に対し訴訟を起こした。裁判所は、セズギン総領事にはこの問題について自由に発言する権利があるとし、訴えを退けた。アルメニア人はこの決定を不服とし、その後パリ控訴審裁判所に控訴した。同裁判所はこの訴えを認めず、2006年10月8日控訴を退けた。

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( 翻訳者:倉本さをり )
( 記事ID:10357 )