バグダード会議開催:イランとアメリカが同じテーブルに
2007年03月10日付 E'temad-e Melli 紙

【エッテマーデ・メッリー】一日間の日程でイラクで行われる会議は、イランとアメリカ両国の代表者が同じテーブルの席に座る機会を与えた。この国際会議で、イラン側は10名からなる代表団を派遣、アッバース・エラーグチー外務次官が団長を務めた。他方、アメリカ側も10名からなる代表団を派遣、団長には米国務省のイラク問題担当上級調整官で国務長官補佐官を務めるデイヴィッド・サターフィールド(David Satterfield)が当たった。また、ザルメイ・ハリールザード現駐イラク米大使も同席した。

 イラクで行われた国際会議に10名もの代表団を派遣したのは、イランとアメリカの二国だけであり、これ以上の人員を派遣した国はなかった。同会議は、エジプト、バーレーン、ヨルダン、クウェート、サウジアラビア、シリア、トルコ、アラブ首長国連邦、国連、中国、ロシア、イギリス、フランス、そしてイランとアメリカといった国や機関から、17の公式の代表団が派遣され、60名の参加者がバグダードにあるイラク外務省の建物で一堂に会した。

 中でも注目は、アメリカ代表団とイラン代表団に集まった。正式な話し合いとして、あるいは会議の合間のロビー活動として、イラン・アメリカ両国の代表者の間で話し合い・対話が行われるのではないかと、その瞬間を関係者らはかたずを呑んで見守った。

 イラン・アメリカ両政府は28年間、この種の会議の場を除いて、話し合いを行うことを避けてきたことが、両国に注目が集まる原因となっている。またイラク会議開始の数時間前にも、米大統領がイランとシリアに対して、イラク政府を支援するよう要求すると同時に、バグダード会議開始前に不穏な動きを起こさぬよう警告するなど、アメリカ側は依然としてイランとシリアをイラクの不安定化の要因であると指摘し続けていることも、このような注目の背景にある。

 ジョージ・ブッシュ大統領はこれ以前に、イラク会議はイランとシリアにとってチャンスであると述べている。他方、アッバース・エラーグチー次官もイラクに出立する前、バグダード会議はアメリカの政策を計る良い機会だと述べ、この会議の最初の主唱者はイランであると表明していた。法律・国際問題担当の同次官は、米代表との協議の可能性について、「われわれはイラク政府を支援するために、この会議に向かうのだ」と答えている。

 アリー・ラーリージャーニー国家安全保障最高評議会書記もまた、このことについて、次のように語っている。「この件に関して、さまざまな分析が出されているが、重要なのは、隣国イラクの安全と平和・安定が図られるよう、われわれは同国政府による治安確立と強化にあらゆる支援を行うつもりだ、ということである」。

 ラーリージャーニー書記はさらに、「〔バグダード会議での〕協議のあり方については、アメリカ側も分かっているはずだ。イラク会議では、時間も限られており、さまざまな議題が提出されていることから、その場でこの種の問題〔=核問題?〕が提起されるとは思わない」と付け加えている。

 サターフィールド米国務長官補佐官も、イラク国際会議開催前に、米政府はイラン核問題について話す予定はないと明言しているが、同時に「もしイラクの平和と安定の確立に資するような議論が提起されるならば、われわれは外交官として、それに〔積極的に〕関わるつもりだ。顔を背け、会議を後にするということはしない」強調している。

 サターフィールド補佐官はまた、イラク国際会議ではイランとシリアに対するアメリカ側のこれまでの非難を繰り返すつもりであることを明らかにした上で、「イランとシリアの代表者らは、この多国間会議の場で、この問題の矢面に立つことになるだろう。彼らはこのことについて、きちんと答えねばならない。これは二国間だけの問題ではない」とした。

 サターフィールド補佐官とともに会議に出席する予定のザルメイ・ハリールザード駐イラク米大使——彼は程なくして、駐イラク米大使館をライアン・クロッカー次期大使に譲ることになっている——も、イランとアメリカが直接協議を行う可能性を肯定した上で、「もし二国間協議が有用であると判断されるならば、それを行う用意がある。われわれはそれを望んでいる」と述べた。

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 イラク国際会議は、イランとアメリカによる二国間協議が行われることなく、終了した模様である。

 AFP通信のみが、アリー・アル=ダッバーグ・イラク政府報道官の発言として、アメリカ代表団とイラン代表団、及びシリア代表団がバグダード会議開催の流れの中で、互いに握手をしたが、両者間で直接的な話し合いは行われなかったと伝えている。

 イラン国営通信(IRNA)も、ある情報筋の話として、ハリールザード駐イラク米大使がバグダード会議の傍ら、イラン側代表団を出迎えるために〔会議室の入り口の方に〕行き、イラン側代表団と握手を交わし、彼らの会議への参加を歓迎したと伝えている。

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 イラクのフーシヤール・ズィーバーリー外相もまた、イラク国際会議をイランにとってチャンスであるとの見方を示した。それというのも、同外相によると、「イランは包囲網のもとにある(!)。イランが話し合いを行い、(イラクの安定確立を支援するとの)自らの約束を実行する意思があることを示す絶好の機会を逃すべきではない」からであるという。

 ズィーバーリー外相はさらに、「われわれは、諸外国が自らの恨みを晴らすための戦場として、イラクを用いないよう望む。アメリカに対する恨みを晴らすために、われわれを利用しないでいただきたい」と述べた。

 他方、イラン学生通信(ISNA)によると、セイエド・アッバース・エラーグチー次官は、バグダード会議で行った演説の中で、外国軍の存在はイラクとって深刻な問題であるとした上で、「われわれの考えでは、治安維持はイラク政府に任せることが、現在の危機打開にとってもっとも効果的な方法である」と述べた。

 エラーグチー次官はまた、「われわれにとって、イラクの安全と安定の確保は非常に重要である。それゆえ、われわれは国民和解案の実現と治安回復案の実行へ向けて支援を行う用意があることを、イラク政府に対して表明してきたのだ」とした。

 同次官はさらに、「イラク周辺国に対して非難を浴びせるなどの非現実的な対応は、破滅的なやり方であり、イラク情勢のさらなる悪化をもたらすだけである、というのがわれわれの考えである」とも述べた。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:10373 )