社会調査にみるトルコの地域格差 もっとも貧しい地域はアナトリア南東部
2007年03月20日付 Milliyet 紙

■ 数字で見る人口、教育の現状

人口統計学上の情報は、通常では人口統計と関わる調査が生み出すものである。つまり調査者が得た人口統計学上の情報と他の調査機関が得た情報とが、比較対照されて使用される。しかし(本紙とコンダKonda調査・コンサルタント株式会社が共同で実施し)これほど信頼性のある代表的な調査は、独自に現状に関する情報を得ている。したがって、ここで提示する数字を、最新情報としてみるべきであると確認しておく。

トルコでの教育水準を示したグラフが明らかにする、最も希望を抱かせる結果は、この25年で女性の教育問題に関して重要な変化がみられたことだ。44歳以上の女性のうち41,28%を占めた、初等教育しか受けていない者の割合は、29~43歳では13,71%、18~28歳では6,37%にまで下がった。高校や高等専門学校、大学の卒業生では、男女間の相違は徐々になくなっている(高等教育を受けた若年女性の割合は10,76%、若年男性は15,59%)ことがわかる。

近年進められている「さあ女子を学校へ」「お父さん、私を学校へ行かせて」といったキャンペーンによって、女性の教育上の問題は、近い将来に相当解決されるだろうと予想できる。

■ 人口の半数が初等教育のみ、またはそれ以下

統計結果でわかる第2点目は、人口の12,48%が未だに卒業証書を持たない、つまり小学校さえも終えていないということである。別の観点では全人口の半数以上(52,31%)が、小学校のみを卒業、もしくは未修了者である。

第3点目は、職業教育を受けている者の割合(全人口の2,85%)が、トルコ社会が必要とする数字に遠く及ばないことだ。この数字は、地域差がなく、国土全体で非常に低い水準を示している。

■ 地域間の教育格差は甚大

調査は、地域間の教育格差という観点からも顕著なデータを示した。

中央アナトリア以東の全東部地域の教育水準は、未だに国内平均より遥かに下である。8年間の基礎教育、もしくはそれすらも十分に受けていない者は、南東アナトリアで79,45%、北東アナトリアで75,45%、東黒海では73,17%に達する。教育水準の最も高い二地域は、イスタンブルと西アナトリア地域である。

■61%が一世帯3~5人

一世帯における居住人数は、人口構成上の変化やそれと関わる要因を理解する観点から非常に重要である。

全人口の61%が3~5人からなる世帯で生活している。東部に進につれ、一世帯の人数は増加していく。本調査によると、一世帯に9人以上で暮らす者の割合は、南東アナトリアで16,47%、中東アナトリアで15,97%、北東アナトリアでは14,16%という水準であった。

■ 所得分布の格差も甚大

トルコの所得分布における不均衡問題は、本調査によって今一度確認される。調査で設定された所得層により、一世帯の1ヶ月の総所得は、300新トルコリラ(約25,495円)以下、300~700(約59,489円)新トルコリラ、700~1200(約101,982円)新トルコリラ、1200~3000(約254,956円)新トルコリラ、3000新トルコリラ以上と5段階に区分された。

この設定でみると、トルコでの所得層間の格差や不均衡が明らかになる。1ヶ月に300新トルコリラ、またはそれ以下の所得を持つ最も低い所得水準の者は16,40%、300~700新トルコリラの第二区分は44%であった。全体を見ると、87%が第三区分以下に属し、つまり1ヶ月に1200新トルコリラ以下の収入で生活しており、3000新トルコリラ以上の区分に属している者は、人口の僅か2%であった。

■ 失業率は16,3%

調査の結果、面談者の41,63%が職に就いており、48,12%が退職者、主婦、学生、もしくは働くことのできない状態の者、8,11%が無職という状況であった。だが無職の者の割合は、非就業者のうち働くことが可能な者(退職者、主婦、学生以外の者)を加えると、16,30%へと上昇する。

■ 最低所得水準は南東アナトリア

一世帯における所得を地域ごとにみてみると、最低の所得層の45%を南東アナトリア地域が占めているのがわかる。これに、36,38%の北東アナトリア、32,90%の中東アナトリアが続いている。イスタンブル、東・西マルマラ地域は、所得水準が他地域に比べて最も高い地域となった。

上記所得層設定を都市部・非都市部の区分でみてみると、まず目を引くのは、最低所得層の割合が非都市部で都市部のそれよりも少なくとも2倍、またはそれ以上であるということである。こうした特色は、地域を問わず、都市と非都市部間の所得分布に格差があることを示している。しかしもっとも顕著なのは、エーゲ海地域ではこの差が7倍(最低所得層が都市部では6,37%、非都市部では39,33%)、西アナトリア地域では5倍(同様に、都市部7,05%、非都市部37,65%)という結果が出たことであろう。

■村は貧困と同義
都市部と非都市部の状況をも考慮して(得られた)所得層の分布状況は、貧困が減少したとみられる地域でさえも、所得増加は都市中心部に限られるという重要な結果を示している。

つまり所得分布上、東に進むにつれて貧困は増加し、(所得水準の高い)西部でさえも村落部では都市部に比べて非常に所得は減少し、地域を問わず村落部が占める所得分布は類似しているのである。

(注)本記事は、「4万8千人との面談。私たちは誰?」というシリーズ記事の第2回である。


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( 翻訳者:岩根匡宏 )
( 記事ID:10441 )