Abdullah Aymaz コラム:失業率改善のお手本となるアイルランドモデル
2007年04月01日付 Zaman 紙

アイルランドをあちこちまわりながら、この国の経済状況についても情報を集めている。

トルコでは2001年危機の後に経済が順調に成長している一方で、11パーセント前後で推移する失業率の改善では、IMF(国際通貨基金)との取り決めや予算不足から投資に資金を回すことができなかったため残念ながら大きな成果を上げられなかった。しかしながら、世界には慢性的な失業に苦しめられながら、一方で短期間で非常に大きな成功を収めたお手本となる国々がある。こうした国の1つがアイルランドである...

トルコのモデルになると言われているアイルランドでは、1987年の経済危機で20パーセントに達した失業率は、今日4.6パーセントでヨーロッパの平均以下である... アイルランドは失業問題を、投資にかかる最も大きな負担の1つである税金の引き下げによって解決した。EU基金も外資の誘致促進のために使った。また労働コストを下げる目的で興味深い政策を実施した。これにより、労働者と雇用者の代表が集まって賃金の上昇率を固定にし、最低賃金を低く保つ協定について合意が形成された。「社会的パートナーシップ」と名付けられた協定の合意には教会が積極的な役割を果たした。

この政策をすぐに利用した半導体メーカーのインテルや製薬会社のファイザー、それにマイクロソフトのような巨大企業を含む1050社がアイルランドに進出した。15万人分の雇用を生み出した企業は、高収益の見返りに投資を拡大することを決めた。今日、人口400万人のこの国は1000億ドルの輸出をしている。アイルランド開発庁のバリー・オドウド最高責任者は、薬品と情報技術部門への投資が大きな割合を占めていると話す。オドウドは、企業は安定した安全な環境を求めていると述べ、次のように続けた:「税金は(投資促進にとって)有利な条件となり得る。しかしこれはあくまでプラスアルファの部分である。我々は投資のためにやって来た企業に適切な解決法を提供できるよう努力している」。

人口400万人の国が1000億ドルの輸出を成功させることは、皆にとって重要な教訓を含んでいると話すトルコ・アイルランドビジネス評議会のスュレイヤ・ユジェル・オズジャン会長も、「EU基金を無駄使いせず、投資家が必要としたインフラの整備に使った。アイルランドは今日、技術と製薬産業への投資で名の知れた存在である。外資(誘致)の成功は我々にもお手本となり得る」と言う。

アイルランドは、面積で言うとトルコの10分の1よりも小さい島国である。人口410万人のこの国で1人当たりの所得は4万ドルを超えている。アイルランドの人口はヨーロッパ(全体)とは逆に急増しており、高等教育を終えた人々の割合はライバル諸国と比べてずっと高い。ヨーロッパ全体の2倍の経済成長率で成長するアイルランドは、30年前までは農業に依存し、人口流出の続く、生産したジャガイモをイギリスに売って収入を得る、1人当たり所得が1500ドルのヨーロッパ大陸で最も貧しい国であった。政治的、経済的な不安定さや失業、宗派間の戦争、またイギリスによる占領の遺物である(領土の)南北分断といった理由が、この国を隘路のただ中に留まらせていた。アイルランドは、国民所得に対して最も対外債務の割合の高い国であった。国民所得に対する対外債務の割合は、1987年に65パーセントだったが、昨年には29パーセントに低下した。

アイルランドは投資の決定を受けたとき、非常に適切に行動していると話す研究開発型製薬企業協会のエンギン・ギュネル総書記は、アイルランドモデルを「時代を正しく読んだ結果、賢明に作り上げられた輝かしいシステム」と評した。第8代大統領だったトゥルグト・オザルの相談役を務めていたギュネルは、「亡きオザル大統領が20年前にトルコに課した役割を、私は今日アイルランドが果たしているのを見ている。アイルランドはオザルの理想を実現させた」と語った。

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( 翻訳者:穐山 昌弘 )
( 記事ID:10547 )