Fikret Bila コラム:大統領選、エルドアンが立たなければ誰のチャンスが広がる?
2007年04月06日付 Milliyet 紙

レジェプ・タイイプ・エルドアン首相は、大統領職への立候補について市民社会組織から意見を聞くため、一連の会談を行う。

最初の会談を昨日、トルコ労働組合連盟(Türk-İş)のサリフ・クルチ書記長と行った。クルチは会談後、「中立な」大統領を求めたことや、(社会に)緊張が生じることなく選挙の過程が完了することを重視していることを明らかにした。同書記長は、以前にも(大統領は)「幅広い集団の中に浸透できる人物」と定義付けていた。
トルコ真の労働組合連盟(Hak-İş)は、「大統領選挙が体制の問題に変えられないこと」を求めた。
トルコ実業家協会(TÜSİAD)は、大統領とは「合意により選ばれ、(各勢力の)同意を得られる人物」のことだと述べた。
独立実業家協会(MÜSİAD)は、大統領を含む「高位の役職は誰かの独占物ではない」という考えを明らかにした。
大学の学長たちは、大統領は「中立」でなければならないと主張し、「民主主義や世俗主義を擁護し、近代的な学問を身に着けた人物」と定義付けた。

■野党の態度

最大野党として、共和人民党(CHP)と同党のデニズ・バイカル党首の態度は明確だ。バイカルは、エルドアンに常々「立候補するな」と呼び掛けている。
民主左派党(DSP)と同党のゼキ・セゼル党首もまた、エルドアンの立候補には反対だ。DSPはこの(=エルドアンの立候補阻止の)目的で次の日曜日にアンカラで集会を開く。
正道党(DYP)と同党のメフメト・アアル党首は、CHPほど(エルドアンに)厳しい態度を示していない。しかしアアルは、エルドアンは「自党の長の立場で(総)選挙を戦い、国民に信を問わなければならない」と主張している(※)。
民族主義者行動党(MHP)は、エルドアンがチャンカヤに上れば「引きずり下ろして我々が審判にかける」と言っている。

野党各党と市民社会組織の見解はおおよそ明確になった。エルドアン首相は会談を通じて、市民社会組織の見解をよりよく探ることができるだろう。

■エルドアンの立候補

エルドアン首相が立候補した場合、トルコ大国民議会(TBMM)で公正発展党(AKP)が多数を占めることから選出されるチャンスは非常に高いというのが現実だ。首相が候補になれば、AKP内外の他の人物のチャンスはほとんどゼロと言ってもよいほど小さくなる。アンカラの舞台裏には、エルドアンが大統領になる機会やチャンスをうまくつかむだろうと見る向きがとても多い。今日まで自身の決断を明らかにしていないことも、このような解釈を生んでいる。

■ギョニュル国防相が候補者になる可能性

首相が立候補しなければ誰のチャンスが広がるのか?エルドアンを除いて(AKPから)候補者として示される可能性が高い人物の筆頭に、ヴェジュディ・ギョニュル国防相がいる。国務の経験が豊富なことや、県知事や事務次官、会計検査院の総長といった要職を歴任したこと、5年近くの間トルコ軍に奉職したことが、大統領職にとって望ましい特質だと見なされている。ギョニュルが国防相として日々の政治の枠の外に身を置こうと努力していることは、中立性の観点からも肯定的に語られている。

エルドアンが立候補しない場合、候補になるチャンスが増すと考えられている人物には、国務大臣のメフメト・アイドゥン教授もいる。アイドゥンが「現状で満足している」と言い、(候補者をめぐる)論争で自分の名前が取りざたされることを不快に感じていることが伝えられているとしても、ギョニュル同様アイドゥンもエルドアン以外の(候補者候補の)2人のうちの1人として名前が挙がっている。

TBMMのビュレント・アルンチ議長も、やはりエルドアン首相またはギュル外相がならなければ候補になり得るというのが舞台裏でのもっぱらの観測だ。エルドアンとギュル以外の第3の名前が候補者として示されることになった場合、アルンチが運試しをする可能性は高いと言われている。

首相が自身の見解を明らかにするまで、政府の舞台裏でさまざまな人物の名前が挙がっては消え続けるように見える。


(※)総選挙は今年11月に行われる予定で、大統領は特定の政党に在籍してはならないことから、事実上エルドアン首相の大統領就任を求めていないことになる。
参考記事:Murat Yetkinコラム:2007年大統領選に向け軍の2つの懸念(2006年1月26日、Radikal紙) http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/html/pc/News2006128_1788.html

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( 翻訳者:穐山 昌弘 )
( 記事ID:10581 )